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奥
「ま、って……ぇっ、あうっ、く……あっ、ああっ……!」
彼が中で掻き乱す、奥の、奥のところが、切なくきゅうきゅうと彼を締め付けている。涙がしとどに溢れ出る目蓋を閉じて眉を顰めた。体が全身で渇望している。俺は無心で彼の背中に手を回す。力の入らない腕で、がっしりと彼を抱き込んだ。
ここに、萼の、精が欲しい。
「ここに、注いでいいのかな……!」
耳殻を喰んでいた彼の口元が耳に直接言葉を吐く。
「ちょう、だ、いっ、ちょうだい! っ、が、く……がくの……っ!」
「目を開けて、ねえ、俺を見てて……あざみ……! 見せて……!」
頬の雫を舐め取られて、最後に目蓋にキスをされた。薄っすら目を開けたら酷いくらい欲情した萼の顔が目の前にある。意識が飛びそうなほど快楽に翻弄されていてもなお、彼の与える刺激と温もりと視線だけが鮮明だ。
引き抜かれた虚の肉筒に、彼の性器が弾みをつけて穿たれる。一度じゃ終わらない。苦しいくらい突き刺さった萼の肉槍が、最奥で弾けた。
「っ、……あ、……っ……!」
悦の向こう側で声にならない快楽が内側から広がっていく。
どくどくと彼の茹だるように熱い精を注がれているのが分かる。俺の体は喜んでそれを受け止めている。体全体に幸福感が満ち溢れて、首の後ろがむず痒くてむず痒くて泣きそうになった。ここに鋭い痛みが欲しい。
彼の与える痛みが欲しい……!
大好きだよ、という彼の囁く声が頭の中でリバーブした。
大きな倦怠感と脱力感で口も開かないし声も出なかったし、体に力も入らなかったけど、彼と見つめ合いながら、俺もだよ、って心の中でつぶやいた。伝わるかな、って思ったけど、彼のキスが答えだった。
腹の中がまだ蠕動している。
彼の精に歓喜する身体中を差し置いて俺は目を閉じた。
もう無理。おやすみ。
萼がくす、と笑って、おやすみって呟いた。
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