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第9話
「静!!何してんだ!!」
何度静が俺の中で果てたのかもう数はわからない。意識が朦朧として来てた。そのときその声が響き俺の上から静が剥がされた。やっと静の猛りが抜けた俺の後ろの穴がくぱくぱとひくついてるのを感じた。
俺の後ろはもう静の形になってしまっていた
「…やだ!!やめて!!あさから…離れて」
「ふざけんな!これ同意の上じゃねぇだろ!」
「お前に言われたくない!!」
「亜咲斗さん!亜咲斗さん!!大丈夫ですか?」
俺の前世の名前を必死で呼びながら俺を抱えて抱き締めてくれるこの人…
「…佐藤…さん…?」
そんなはずないのにふと脳裏によぎった仕舞われた記憶の底から唯一俺を人として扱ってくれた人の名…何で…その人の名を呼びながら俺は意識を手放していた…
次に起きたときは体は綺麗にされていて静の姿はなかった
身体中が痛い…
「愛桜海…大丈夫?入るよ」
心配そうな母の声が扉の外から聞こえた。声は枯れて出ないけど母はゆっくりと扉を開けて入ってきた
「愛桜ちゃん…お水持ってきたの。飲もうか」
頷いて母からグラスを受けとる。少しずつそれを飲みやっと声が出た
「かあ…さ…ん」
「よかった…」
よしよしと俺の頭を撫でながら安堵した表情になる
「静…は…?」
「母さんが帰ってきたときにはもういなかったわ…」
「…そう…」
母はあまり深くは聞いてこなかった。でもこの苦しそうな顔は…きっと何が起こったのか察しているのだろう
「…話はいつでも聞くからね。ご飯食べられそう?」
「ううん…」
「でも…なにか食べないと…おかゆならどうかな?」
「…ありがと…じゃあ…お願いしても良い?」
「待っててね」
母が出ていった後そっと目を閉じると静の表情が思い出された…
「…静…」
前世の俺みたいに割りきれば良い。でも…それができないのは…あまりにも幸せすぎたから…
「…どうして…こうなったんだろう…」
静は俺の大切な幼馴染みだ。こんなに長く一緒にいたのに…静のことがわからなくなってしまった…
そして助けてくれたあの人がどうして前世の名で呼んだのか…
暫くして母が持ってきてくれたお粥をゆっくりと食べながらある人を思っていた
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