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第14話
龍吾side
「静くん…何考えてるの?こんなにあさちゃん傷つけて…」
あさちゃんの体には沢山噛み跡があった。血がにじんでた…シーツも真っ赤だった…
「あさちゃん…あさちゃん…」
「近付かないで…」
「やだ…あさちゃん…返して…」
「何言ってるの?信じられないんだけど」
「あさちゃん…」
何度も近付こうとするのを蹴りつける。こんなに大切なあさちゃんを…
「龍…お願い…あさちゃん…」
「だめ。反省して」
そんなこと言い合ってたら定くんが来た
「あさちゃん!静!龍!…」
定くんは状況を理解した。
「タオルと着替え…そこのクローゼットにある…ここ…頼んで良い?龍吾。もうすぐ愛偉兎も帰る…その前に静連れてく」
「ん…」
「やだ!!やだ!!定くん!やだ!」
「…静。だめ。おいで」
「やだ…やだ…」
「静。今はだめ。わかるよね?」
静くんは引きずられるようにして定くんと出ていった。
二人を見送った後キッチンでタオルを濡らしてあさちゃんを綺麗にした。中も静くんのでいっぱいで体を拭う度に溢れてくる。それがとても厭らしくて…ムカついて…。
中のものを掻き出す度苦しそうに呻くあさちゃん…どんなに辛かったろう…とても大切にしていた幼馴染みに強姦されるなんて…
「あさちゃん…少し我慢してね…」
部屋にあったソファーにあさちゃんを移動させてシーツをはいだ。新しいシーツの場所はわからないからとりあえずバスタオルを数枚敷いてもう一度ベッドにあさちゃんを戻して布団をかける。
撫でながらさっきの自分の記憶を辿る…
きっとあれは前世の記憶…怪物と呼ばれた俺の叶わなかった恋の記憶…
「君が…亜咲斗さん…なのかな…」
前世の俺は佐藤と呼ばれてた。本名は違うけど…
亜咲斗さんは強く気高くとても美しい人だった
どんな目に遭っても真っ直ぐ歩き続ける人だった。彼が恋していたのは俺の主人であった琉輝さまだった…
あの人は傲慢で冷酷な人だった。でも俺を救ってくれた人だったから俺は忠実な僕となった。
教育中俺の目の前で乱れ狂う亜咲斗さんはとても妖艶で美しかった。俺にはない美しさ…
俺は顔は左右色が違った。お世辞にも綺麗とは言えなくて体も筋肉の鎧まとってるみたいでその体には無数の傷があった。美しさの欠片もない。
琉輝さまのボディーガードもしてたので仕方ないのかもしれないけど。
俺は亜咲斗さんと同じで両親に愛されたことがなかった。両親だけじゃない。周りの人間も俺が恐ろしいのかかなり酷い目に遭わされていた。
だから見た目は全く違うけれど誰よりも彼の気持ちはわかってるつもりだった。
琉輝さまに捨てられたときも彼は笑ってた。いつか必ず迎えに来てくれると信じて待ってた。
やっと迎えに来てくれたと思った琉輝さまの想いは一つも亜咲斗さんに向いてなくて…その彼の心を支配したのは智輝さまの元恋人で友人である路夏さんだった。
琉輝さまはいつも柔らかい笑みを浮かべ底知れない。非道な行為は人間とは思えないような人だった。その表情を人間に戻してくれた相手が路夏さんだった。
誰がみてもそれは明らかで周りも皆それを喜んだ。俺はそんな琉輝さまの変化を知ってたけど亜咲斗さんには伝えていなかった。伝えられなかった…
会った瞬間に琉輝さんの変化を感じた亜咲斗さんは…琉輝さんの命を終わらせそして路夏さんを重傷に追い込み自害した。
俺は何も出来なくてただ息絶えて行く亜咲斗さんを抱き締めて名を呼ぶことしかできなかった…
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