15 / 169

第15話

龍吾side 俺は血だらけの亜咲斗さんを任されて他は路夏さんの救護に入った。 亜咲斗さんの最期の瞬間。誰も亜咲斗さんを見ていなかった。最期も俺しか見送れなかった…何でこの人が…ただ一途に愛を求めただけのあなたが…こんな哀しい終わり方をしなければならないのか… 気付けば周りには誰もいなくて俺は一人亜咲斗さんを抱え店を出た。 秘密裏で手続きを各所でして小さくなった亜咲斗さんを琉輝さんから貰っていた土地へ埋葬した。 誰も亜咲斗さんの遺体がないことにさえ気付かない…琉輝さんは盛大に送られて亜咲斗さんは一人寂しく…そんなの…何で…どうして…毎日のように亜咲斗さんに会いに行き人知れず泣いた。そんなある日のことだった 「…あなたは…」 急に声がかかりそっと振り返るとそこには亜咲斗さんの友人である律さんが立っていた 俺は大柄な体を屈め律さんと視線を合わせた 「律さん…」 「佐藤さん…このお花は…あなたが?」 「えぇ…私は何もしてあげられなかった…だから…せめてもの償いにと…」 情けなくも涙は止まらなかった。だって亜咲斗さんを忘れないでいてくれた人がここにいたから…嬉しかった… 「私が…もっと…早くに何とかしていれば…」 気付いてたのだからちゃんと琉輝さんと向き合うべきだった。亜咲斗さんのことを救いだしていれば…後悔しても遅いけど…でも…そう思わざるを得ない… 「亜咲斗に…惚れてた?」 この人は聡い人だ。多くの社員を抱える大企業の代表なだけあるがそれだけではない。 「…えぇ…でも…私は…助けてあげられなかった…私はこの見た目のせいで…誰にも人として…見てもらえたことはなく…それを…人として見てくれたのが…亜咲斗さんでした。 こんな私を拾ってくれ雇って頂けたのが琉輝様で…私にとってはかけがえのない存在であり絶対的な方でした…あの人に逆らうことは出来なくて…悪いことと知りながらもあの人の言う通りに動いてしまった…それは…そう…化け物…そのものでした…そんなとき出会ったのが亜咲斗さんでした」 亜咲斗さんと出会いそして最期を迎えたこと。ゆっくりと律さんに話した。 律さんは何とも言えないような表情で俺を見つめながらしっかり話を聞いてくれた。

ともだちにシェアしよう!