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第17話

「明日学校終わったら龍吾ここに様子見に来てくれるって。あさ。一人で平気か?」 「うん。ありがとう。あいくん。」 「…なぁ。あさ」 「うん」 「静のことどうすんの?」 「…静くんの気持ちには答えられない…暫くは気まずくなるかもしんないけどどうしようもないんだよね。だってさ確かに前は好きだった。だけど…焦ったりもしなかった。それが普通だって思ってたし。それに静はいいやつだよ。知ってるでしょ?俺に拘る必要なんかない。どのくらい気まずくなる期間が続くのかわかるわけないけどそれでも静はやっぱり俺の大切な幼馴染みだから嫌いになんてなれない」 「…静と…ちゃんと話せな…俺結構酷く…だから暫くはあいつ腫れ引かないかも」 「…うん。大丈夫。すぐに会いに行くよ」 あいくんは心配そうな顔のまま自分の部屋へ戻っていった 何だか…疲れたな…それに続いて俺も部屋に戻り再度目を閉じた。気付けば日付が変わってた。 母は今日は休みをとると言ってくれたけど断って仕事にいかせた。あいくんもバイト休みとるとか言ってたけどどうしても二人で話したかったのでうまいこと断った。 そして… 「あさちゃん。大丈夫?」 「うん。ありがとう。少しだけまだ体重いけど大丈夫。来てもらってごめんね。」 「ううん。いいよ。俺も会いたかったし」 お茶とお菓子を用意して向かい側へ座る。 「…ねぇ。龍くん」 「ん」 「俺に前世の記憶あるっていったら信じる?」 「…」 やっぱり…昨日前世の名前を呼ばれた気がしたのって気のせいだったのかな?龍くん…変な顔してる… 「ごめん…変なこといって…」 何だか急に恥ずかしくなって俯いてしまう…もし…龍くんが佐藤さんなら…俺はきっと… …ううん…龍くんが佐藤さんでなくても…昨日初めて会った瞬間から龍くんに…惹かれてしまったのだ。 見た目の美しさもそうだけど話しているときの気さくさや踊っているときのカッコ良さ。さりげない気遣い…全部全部…心ごと持っていかれたんだ… 「…あさちゃんの言うこと…信じるよ…俺もね昨日…前世の記憶が…甦ったの…君は…亜咲斗さん…なの?…」 「…佐藤さんっ…」 「…亜咲斗さん…」 「会いたかった…ちゃんと…お礼が言いたかった…最後まで…俺を人間として扱ってくれてありがとう…俺は…」 「…亜咲斗さん…貴方の心は…ずっと琉輝さまのものでした…でも…私は…貴方を…愛していた」 「…もう…何で…早く言ってくれなかったの…っ…俺…」 龍くんはゆっくりと俺の方に歩いてきて後ろから抱きしめてくれた…あぁ…暖かい…ねぇ…佐藤さん…あなたは…幸せに生きられましたか? 「あぁ…もう…泣かないでよぉ…あさちゃん…俺…俺ね…あの頃も…そして今もあさちゃんのこと好きなの…あさちゃん…君に一目惚れしたの…前ね、写真見せてもらったことがあるんだ…そこから君に会いたくて会いたくて仕方なかった…その時は前世の記憶なんてなかったけど…俺は君に惹かれたの…そして昨日会ってみて益々…好きになった…静とのことみて腹が立った…俺が側にいたいって思った…支えてあげたいって思った…ねぇ…今度は俺の手…とってくれないかな?…俺…あの頃の分まであさちゃんのこと愛したい…ねぇ…あさちゃん…うんって言って…」 「龍くん…龍くん…」 「あさちゃん…好きです…」 「どうしよう…俺…」 「好き…好きなんだ…これから…君に好きになってもらうように頑張るから…隣を歩かせてくれないかな?」 俺は確かに琉輝さんを愛してた…でもね…知ってた?いつしか俺が考えるのは佐藤さん…あなたになってたこと… あの頃の俺は気がついていなかったけど…琉輝さんじゃなく佐藤さんに惹かれていたのだと今ならわかるんだ…でも…どうかしてたんだ…あの頃の俺はどうかしてた…ねぇ…佐藤さん…貴方の気持ち俺気付かなかった…全然気付かなかった… そんな薄情な俺だけど…その腕の中にいっていいですか?

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