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第21話
「うん…」
「もしかして…なーちゃんも龍くん好きだった?」
「違うよ。私まだそういう相手いないから」
「…やっぱりカナちゃんのこと気になるよね…」
「…うん。」
「ごめんね。でも龍くんは譲れない…」
「これから…私カナちゃんと会うんだ…」
「じゃあ俺行くよ。ちゃんと話す。カナちゃんはいい子だから俺よりいい奴たっくさんいる。」
「俺もいく…」
「…カナちゃんに連絡してみる」
カナちゃんにとっては酷なことかもしれない。でも…どんなにいい子でも俺は譲りたくない…好きなんだ…前世からずっと…だから…君より俺は龍くんを愛してるはずなんだ…
カナちゃんの了承を得てカナちゃんが家に来てくれることになった。本当は外で会う約束してたみたいだけど俺が体調不良ってことになってるのとなーちゃんの電話の声のトーンで何か察したのかゆっくり話せる場所ってことで家になったのだ
暫くしてやって来た彼女は俺と同い年とは思えないくらい大人っぽくて綺麗だった。俺なんか足元にも及ばない。
「愛桜海くん。ちゃんと顔見て話すの初めてだね」
「え?」
「もしかしてわかんない?学校一緒なんだけどなぁ…」
「あぁ…ごめん」
「ううん。いいよ。学校とは違うしね…これなら…わかるかな?」
カナちゃんは髪を掻き揚げ結ぶ。そしてメガネを取り出して掛けた
「あ!!松前さん!!」
「うん。そう。私結構目が悪くて学校ではこれだからわかんないかもね。中学の時はコンタクトだったんだけどまぁ。色々あって」
松前カナ。学級委員で、何でもはっきりビシッと行ってくれる頼れる存在。みんなのこともちゃんと見ててみんなのことを思いやれる人気者だ。
「いきなりだけど…俺の好きな人…あさちゃんは彼なんだ」
「…うん。知ってるよ」
「俺ねあさちゃんじゃなきゃだめなの…だから…答えられないんだ。カナちゃんの気持ちには」
「…松前さん…ごめん。俺も龍くんが好きなの…だから…」
「はぁ…そうなんだね…わかった…いや…もう…ね…叶わないのわかってたの。ただやっぱり本人に言われちゃうと…。流石に相思相愛の人引き裂くほど酷いことはできない。ちゃんと話してくれてありがとうね」
「ごめんね」
「もう!あんまり謝らないでよ!惨めになるじゃん!大丈夫だよ。その代わりずっと仲良くしてないと許さないからね!それと私とも仲良くしてね」
「松前さん。ありがとう」
「…あ!じゃあお詫びの印に私のこと名前で呼んでみて。だめ?」
「えと…カナちゃん」
「…可愛い…」
「いや。ちょっと待って。女の子に可愛いって言われるの複雑なんだけど」
「あははっ!女子の間では愛桜海くんはお姫様だからね。」
「いやいや。意味わかんないんだけど」
「美人だし女子力高いし。女の子の憧れなのよ」
「本当に…複雑…」
「龍くん。愛桜海くん泣かせたら私が許さないんだからね!私たちの姫をぉ!!」
「ごめんね!学校違うからずっと張り付いておくわけにはいかないから学校では守ってね!よろしくね!」
「任せといて!」
「ちょっと!色々おかしいから!俺男!女の子に守られるとかダメでしょ。ってかこれまで何もなかったんだから大丈夫だし」
「もう!わかってないなぁ。静くんが男たちを威嚇してたからこれまで安全だったのよ」
「静が?」
そんなこと知らなかった。気付いてなかった。気付いていたら何か変わったのだろうか…
これから静との関係はどうなるんだろう。
俺はまた仲良くしたいけど静は?
俺はもう大丈夫だよって早く伝えにいかなくちゃ…
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