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第22話

「静はずっと愛桜海くんのこと大切にしてた。彼女よりいつも優先してた」 「…そっかぁ。」 「でも龍くんと両想いってことは静くんは遠慮してこれまでみたいに出来ないんじゃないかな?」 そうなのかな?静… 「あさちゃん?」 急に黙りこんだ俺を心配そうに覗き込む龍くん。 やっぱり龍くんのことが好き…静…ごめんね 「龍くん…俺と付き合いだしたこと静に伝えに行ってもいい?」 「いいけど大丈夫?」 「うん。大丈夫。だって静は大切な人だから…」 そう。それは変わらないのだ。どうしたって何があったって俺にとって静は唯一の人。大切な人なのだ 「私も次探そうっと!なかなか龍くん以上の人いないかもだけどね」 「色眼鏡で見てるんだよ。変な時期に来た奴だし」 「そうかなぁ?まぁ私は私で…」 「何かさ。学校と雰囲気違うね」 「あぁ。学校のは自己暗示かけて演じてるの。変な人が来ないように」 よっぽど過去に何か嫌なことがあったんだろう。 「でも俺の前では頑張らなくていいよ」 「うん。ありがと。こうやってプライベートで会うことあればお願いします。学校では…ん~これまで通りで」 「わかった」 「はぁ。失恋しちゃった!やけ食い付き合って!愛菜ちゃん」 「うん。」 「美味しいとこ見つけたの。早速行こ」 「はぁい」 二人を見送ってまた二人きり。 「…静のとこ…行ってくる…ちゃんと話してくる…だから…」 「何かあればすぐ連絡してね」 「うん」 そうして龍くんを見送ったその足で静の家に向かった インターホンを押したけど静は出てこない。留守なのだろうか 「あら。あさちゃん」 「こんにちは葉さん」 声をかけてくれたのは静の母である葉さん。とても美人で年齢不詳だ。 「静なら部屋にいるよ。…ごめんね。静何かしたんでしょ?」 心配そうに言う葉さん。俺と何かあったのは察してるけど内容までは知らないのだろう 「お邪魔してもいいですか?」 「えぇ。どうぞ」 葉さんに家にあげてもらってそのまま静の部屋にいく。ノックもしないで扉を開けるとベッドの中心がこんもりとしていた ゆっくり近くに行き覗くと頬がまだ少し腫れてて頬には涙の跡が残る静が眠っていた 「静…」 「んん…あさ…ちゃ…ん…」 静はまだ目が覚めていないのか俺の腕を引きベッドに引きずり込んだ そしてキスしてきた。何度も何度も繰り返される。眠ってるのにすごい力…逃れられないでいた 「静…静!静!」 「っ…あ!あさちゃん。ごめん…俺」 やっと覚醒した静が俺を解放してくれた 「痛かったな…ごめん」 腫れた頬を撫でるとまた泣き出してしまう 「ごめんね…ごめん…あさちゃん…俺…俺ね…ずっと…ずっと…あさちゃんが好きで…なのに…」 「…ごめん…気付いてやれなくて…でも…もう…遅いよ…」 「ん…うん…わかってる…わかってるよ…ごめんね…」 「俺…龍くんと…付き合うことになったから」 ぼろぼろ泣きながらうんうんと頷く姿に胸は痛むけどこれが現実だから… 「でも…勝手なことを言うようだけど…これまで通り仲良くして欲しいんだ…これからも俺の隣にいて欲しい…」 「いいの?あんなことしたのに…いいの?」 「うん…だって俺たち親友でしょ?」 「あさちゃん…」 「でもさもう色んなこと遊ぶとかやめなよ」 「うん…」 「次の俺を出さないでね…」 「うん…あさちゃん…俺…がんばる…あのさ…最後に抱き締めていい?もう…しないから」 「わかった」 静は弱々しく俺を抱き締めた 「あさちゃん…大好きだよ…大好きだから…龍と幸せになってね…」 「ん…ありがと。」 暫く抱き締めあってゆっくりと離れる。 大好きだよ…本当に大好きだった…誰よりも側にいたかった。でも俺は俺の選んだ人と共に生きるから…静も…そんな相手を見つけてね…気持ちに答えられなくてごめんね 「明日学校行くとき呼びに来てもいい?」 「うん。待ってるね」 それから家に帰宅して龍くんに連絡を入れた。 他愛もない話を沢山して通話を終えた。

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