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第23話
静音side
起きては寝てを繰り返す。何度も夢であさちゃんが泣き叫んでるのを見た
その度何度も飛び起きて…自分のしたことの重さを知る
龍に獲られたくないからってあんなことするべきではなかった…
あの時きっとあさちゃんの中で龍への想いが確かにあったことに気が付いていたのに…
「ごめん…あさちゃん…」
あさちゃんと龍が付き合ったとしても俺にそれを攻める権利はない…わかってるけど哀しくて苦しくて…このまま離れた方がいいのかもしれない…でも…でも…あさちゃんを邪な目で見る輩はとても多い。あさちゃんは気付いてないけど…
「あさちゃんを…守らないと…」
守りたい…離れたい…ずっとずっと同じ思いの繰り返し…
でも結局行き着く先は…
「どんな形でもあさちゃんの側にいたい…」
そこに至る…
「あさちゃん…」
何度も泣いて重たい瞼がまた閉じてきてしまう…
ふっと意識を手放したとき俺を呼ぶ声が聞こえた…
「静…」
大好きなあさちゃんの綺麗な声…
「んん…あさ…ちゃ…ん…」
きっとこれは夢なのだろう。だったら少しの勝手は許されるだろうか?あさちゃんの腕を引きベッドに引きずり込み抱き締めた
大好きな人の柔らかい唇にキスをする…。大好き…大好き…何度も何度も繰り返して…。
「静…静!静!」
夢の中のはずなのに次第に鮮明に声が聞こえてきた。
ゆっくりと目を開くと困ったような顔をしたあさちゃんと目があった
「っ…あ!あさちゃん。ごめん…俺」
抱き締めていたのに気がついて慌てて離した。どうしよう…どこからが夢でどこからが現実なのだろう…嫌われちゃう…どうしよう…不安になってたらあさちゃんの掌が俺の頬を撫でた
「痛かったな…ごめん」
自分の方が辛かったはずなのに優しい眼差しで見詰められ心配そうに紡がれた言葉に涙が溢れた…
「ごめんね…ごめん…あさちゃん…俺…俺ね…ずっと…ずっと…あさちゃんが好きで…なのに…」
それなのに…ごめんなさい…嫌いにならないで…
「…ごめん…気付いてやれなくて…でも…もう…遅いよ…」
「ん…うん…わかってる…わかってるよ…ごめんね…」
わかってた…あんなことすべきじゃなかった…その前にあさちゃんが好きなのに他の女の子と一緒にいるんじゃなかった…そのせいであさちゃんは俺のことを諦めてしまったのだから…今さら気付いても遅すぎた…
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