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第52話
龍吾side
帰宅したら先にお風呂を進められてあいくんの服を借りた。
あいくんは俺より少し背が高いし体つきもがっちりしてるからちょっと大きいけど…
「あがったか?」
「うん。ごめんね。お家の人より先に借りちゃって」
「いや構わないよ。飯食えるか?」
「あんま…食欲ないかな…」
「なら軽いもん作ってやるからこいよ」
「いや…でも…」
言い合ってたらご両親が一旦一緒に帰宅した。
二人とも不安で堪らない顔してた…
そうだよね。だって大切な子供が巻き込まれたんだもんね…
「おかえり」
ドアの音が聞こえたからか自室に籠ってた愛菜ちゃんも降りてきた
そして両親の顔をみるなり泣き出して
「ごめんなさい…ごめんなさい…私が手紙なんて預かってきちゃったから…ごめんなさい」
「愛菜…。愛菜は悪くないわ…悪いのは他でもない加害者よ。だから…ね?」
お母さんが優しく声をかけてお父さんは寄り添ってた。
水を指すのもダメな気もするけどご挨拶はしないとならない…そう思って一歩踏み出そうとすると
「龍吾くんだね」
お父さんがこちらを見て俺の名を呼んでくれた。
「愛偉兎から大体のことは聞いてる。見つけてくれてありがとう。戻ってきたら愛桜海のこと…頼むよ…俺たちの大切な家族だから」
「はい」
若輩者であり初対面である俺にお父さんは深く深く頭を下げた。
この感じだともしかすると俺たちの関係のことも知ってる…?わからないけど…
「ご飯用意するけど食べられる?」
「うん。頂くよ」
皆食欲はなさそうだったけどあいくんもまた大切な家族。これ以上心配はかけたくないのだろう。
黙々と無言で食べ進めて愛菜ちゃんは早々に部屋に戻っていった。心配したお母さんは警察から連絡が来るまで愛菜ちゃんと過ごしていた。
お父さんはリビングで落ち着かないまま少しでも気を紛らわせる為なのか持ち帰った仕事を黙々としていた。
「あい。龍吾くんもここでは落ち着かないだろう。お前の部屋にお通ししなさい」
「わかった。父さん平気?」
「大丈夫…」
あいくんの部屋はあさちゃんとは違う男の部屋って感じだった。乱雑にものが積まれてるとかはないけどスポーツ関係のものが沢山置いてある。
あいくんは卒業後の進路は決まってる。スポーツ推薦で強豪校へ行くのだ
「そういや俺の部屋には入れたことなかったな。」
いつも遊ぶときは外か定くんのとこか俺の家だから何だか新鮮だ。
「そういえばそうだね…」
「龍吾」
「変なこと聞いていい?」
「うん。何?」
「あのさ龍吾はさ、前世の記憶がある人存在すると思うか?」
「…思うよ。信じらんないかもけど俺にはそれあるし…」
「…やっぱりか…」
「え?」
「…佐藤さんだろ?」
「あ…え?あの…」
「俺は律だった」
「えぇ!?あの律さん!?」
「そんな驚くことか?」
「見た目違いすぎるじゃん」
「確かにね」
律さんはとても小柄でどちらかと言うと可愛い感じの人だったイメージ。でも若くして会社を立ち上げたやり手で幼い頃から愛し続けた京さんと結婚し家庭をもった
「律さん…」
「はい」
「亜咲斗さんのお墓…俺が死んだあとはどうなりましたか?」
「あの後も俺たち会いに行ってたんです。俺たちが行けなくなった頃は子供にお願いしていました。それが今も続いてるといいのですが…俺たちの中で一番長くそこを訪れたのはミッチーだった…」
「そうですか…じゃあ亜咲斗さんは寂しくなかったですね」
よかった…俺が行けなくなっても会いに行ってくれる人がいたんだ…その事に安堵した。
亜咲斗さん…貴方はあの頃も愛されていましたよ…確かにそこに愛はありました…
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