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第42話

三谷side 今日汀子さまと共にお連れした方は汀子様のご学友の兄上だそうだ。 数年前から汀子様は美しい少年を見つけるとこの屋敷へお連れする。美しい人たちに快適な生活をさせたいとお思いだからだ。 ただ今回の方は少し様子が違う。 「…龍くんに…会いたい…」 ベッドに横たえキスをすると涙を溢し、そう呟いたのだ。 これまでの方は汀子様の美しさを見ただけで恋人がいようが奥方がいようが直ぐについてきたのだがこの方は恋人がいるというだけでそれをしなかった… 彼を悦ばせて差し上げたく触れていたのだが…浴室ではあんなに気持ち良さそうによがり俺に身を委ねていたのに… こんなことは初めてで戸惑う。彼の美しい瞳から溢れた涙を戸惑いながらもそっと拭うと強烈な頭痛が襲ってきた 「…愛桜海…ごめんね…」 初対面の方…ましてや汀子様のお客人…そんな方を呼び捨てにしたことはこれまで一度もなかったのに自分自身に驚いている。 すると彼は心配そうに声をかけてくれた 「三谷…さん…」 更に俺の頬に手を伸ばし触れる。 それに驚いた。それと共に申し訳なさが込み上げて彼の手に手を重ねてた。これも無意識の行動だった 「三谷。まだ始めないの?」 この人には触れてはならない…こんな感情も初めてでなかなか始められないでいると汀子様から問われる。すると 「…三谷さん…俺がここに来たらあなたは解放されるの?」 微かな声で俺だけに聞こえる声でそう問うてきた。それにもまた驚いて動けなくなる…何だろう…モヤモヤとした何かが頭の中にあって… 「三谷?」 汀子様の声に我に返る。俺はこの方をよくして差し上げたいだけ。これに罪悪感なんてものは存在してはならない…だって悪いことなんてしていないのだから 「あなたが…解放されるなら俺あなたに身を委ねるよ。…迷ってるなら…もうやめよう?」 それなのに彼はそう言うのだ…どうしたのか…俺の体がうまく動かない…よくわからない…これ以上…亜咲斗を苦しめたくない。ごめんなさい…ごめん…傷つけてごめんなさい…俺を殺させてしまってごめんなさい… 誰かの声が脳内で響く。これはなんなのか?わからない… 「三谷。まだですか?」 再度の汀子様の問いかけに変なもやもやを払拭されてさっきまでの変な声は聞こえなくなった。あれはなんだったと言うのだ?そもそも亜咲斗とは誰だ?殺させたって何? 「やめることはできません」 迷いを断ち切るように重ねた手を離す。 早く…早くよくして差し上げたい… 各部屋のベッドの側にはいつもいくつもの道具が用意されている。怪我をして欲しくないから取り敢えず一旦拘束するようにしている。 「三谷さんっ…」 「すぐ良くなりますからね」

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