58 / 169

第58話

定広side 「よかった…ありがと…龍くん…あさちゃん自然に笑えてたね。龍くんのお陰だね」 「ううん。俺は何もしてない。ただ側にいただけ」 「やっぱりあさちゃんには龍だね」 「だと嬉しいな。ねぇ。定くん本当に大丈夫なの?」 「昨日のこと?平気だよ。俺は服脱がされたくらいで何もされてないし」 「ほんとに?」 「もう。心配しすぎだよ。佐藤さん」 「え!?」 「ん?あ…えと…」 「…由斗さん…なんでしょ?律さんに聞きました」 「あぁ…そっか。なら俺が大丈夫な理由わかりますよね?」 由斗さんは何度も亜咲斗さんや他の皆さんが目の前でされるのを見てきている。 由斗さんも荒れていた時代があったから…今の定くんからは想像できないくらいの性生活を送っていたのは何度も由斗さんについて調べたから知ってた。 由斗さんは政治家の息子だった。お父様はかなり正義感の強い方で日本中だけでなく世界中でも評判のいい人だった。 いつもその人の息子だからと相当プレッシャーに苛まれていた由斗さんはその反動もあり一時期、荒れてしまったのだ。 ただ智輝さまと付き合い、その後別れてからはそこまで激しい交際はなくなりさらに路夏さんと出会い落ち着きを取り戻したのだ。そして深雪さんという天使のような人と一緒になった 「あーいうところに連れていかれたのも無理矢理されたのもあの頃は多くあったからあれくらいはなんともないよ。ただ…あさちゃんが…亜咲斗だったのは知ってる?」 「知ってる」 「うん。あさちゃんは亜咲斗の時とは全く違う人生を今歩んでいる。だからとても心配だったんだ」 亜咲斗さんのときから由斗さんはいつも彼を気にかけていた。 彼の過去を知ったときも自分に何かできないかと奔走していたのを覚えている。 どんなに動いてもそれを潰してきたのは琉輝さまだった。まだ学生だった由斗さんは琉輝さまには敵わなかった。どうすることも出来なかった…。 どっちにしても亜咲斗さんは琉輝さんに心酔していたから由斗さんがどうにかしようとしても亜咲斗さんは聞く耳を持たなかったはずだ 「亜咲斗には幸せになって欲しい…あいつはずっと神経をすり減らしながらそれでも強くありたいと沢山の仮面を被って生きて自分と言うものを見失いそして壊れてしまった…俺は何もしてやれなかった…だから…」 「うん。わかってるよ。大丈夫」 「そういえばさ暉さん…琉輝さんみてるみたいだったよ。亜咲斗への謝罪をしているみたいに見えた。もしかすると…まぁわかんないけどね」 「…その可能性もあるかもしれないね」 「そうだとしてまた会いたい?」 「そうだねぇ…うん…でもどうしていいかわからないかも…ただ最期のとき何を考えていましたか?ってのは聞きたいかもな。路夏さんを思っていたのかその片隅でもいいから亜咲斗さんのこともすこしでも考えていたのか…」 「…龍くん。…ずっと…佐藤さんの頃から亜咲斗を…あさちゃんを想ってくれてありがとう…」 「ふふ…定くんお父さんみたいだね」 「そうかもね。心配でたまらないの。あさちゃん大好きだから」 「あげないからね」 「もう。わかってるって」 「何がわかってるの?」 その時あさちゃんが戻ってきた

ともだちにシェアしよう!