「お兄様」 「汀子」 「…何か考え事でも？」 「あぁ…」 俺たちはあの日から数日して実の親に引き取られていた。 両親はこちらで事業を立ち上げた人たちだった 俺たちはここで生きていた記憶はほとんどなくて…両親はとても気にかけ優しくしてくれるがどうしていいのかわからない…それは向こうも同じだろう。 元々俺たちを連れ去ったのは同業者の奴だったらしい。 そこの先代の社長とは互いに高めあい一緒に成長してきたようなのだが社長が突如逝去され横暴な人に代替わりして結果潰れた うちの会社がなければいいのだという完全な逆恨みで俺たちは連れ去られたのだ。 始めは身代金を取るだけだのつもりだったらしいけど途中別の奴に俺たちは連れ去られて… そいつらが人身売買を斡旋している奴で前々から俺たちを狙っていたそうだ。 汀子も俺もこの辺りではあまり見ない漆黒の髪を持っていたのだがそういうのを欲していた金持ちがいたらしく高く売れたみたいだ。 そいつが俺たちを手放したのは数年後。ただ単に飽きたから。 その主人の知り合いがパーティーで見掛けた俺をとても気に入っていたようで高値をつけたらしい。汀子だけ残されても面倒だと言うのと俺が汀子と離れるのを拒んだので俺だけでなく汀子も一緒にという条件をつけ俺たちを売った。その金で元の主人は新しい人間を買ったらしい。