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「神楽坂?…」 「あぁ…華陵院っていった方がわかるかな?あの時、勝手に過去を調べてごめんね?」 華陵院はわかる…そこの関係者が俺達のことを調べてくれたとは聞いてたから。この人がその関係者なんだ…そして両親に伝えてくれた人だ。この人が調べてくれたお陰で俺たちは帰ってこられたし起訴されなかった。 「あのときは…ありがとうございました」 「私の調べた内容は少し違ってましたけど…もっと酷いものでしたね…あなたたちが戻ってこられてよかったです。顔色が優れませんね。暉さん」 初めて会ったのに心配そうに俺を見る彼と目を合わせると初めて感じる感覚を覚えた。何かが胸の奥でざわざわと…それが何かはわからないが… 「…夢見が悪くて…」 「暉さん。私と一緒にきませんか?」 「え?」 「あなたはとても優秀だと聞いているんです。私と一緒に働いてくれませんか?」 「そんな…俺は…」 「お兄様…私といると苦しみから逃れられないのかもしれません…だから…私からもお願いしたのです。お兄様を救って欲しいと…連れ去って欲しいと… もう…ご自分のために生きていいのですよ。私は大丈夫ですから。お父様もお母様もいらっしゃいます。友人もおります。ですから…私は大丈夫…お兄様…もう…私と言う呪縛から逃れてください。私たちは兄妹です。会おうと思えばいつでも会えます。今は離れなければならないときなのでしょう…お願いです…解放されてください」 「暉…」 「お父様…お母様…」 「お前とまた離れるのはとても苦しい…だが…今のお前の姿は見ていられない…親なのに何もしてやれなくて…申し訳ない…」 「俺は…いらない?」 「いらないわけないだろ!!」 実父の大きな声を初めて聞いた。 「お前たちは何者にも変えがたい存在なんだ!!幼いお前たちを守ってやれなくてすまなかった…見つけられなくてすまなかった…せっかく再会できたのにお前の笑顔がまだ見られない…何もできない…不甲斐ない…でも…華陵院さんなら…お前を…お前の笑顔を取り戻してくれると…そう信じてる…」 大の男が大粒の涙をこぼし唇を噛み締め心から叫んでる… あぁ…ちゃんと愛されてる…だったら…俺は…笑えるようになりたい。この人についていけば…なれるのだろうか? 「…わかった…この人と…行く」

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