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翌日日本に発ち神楽坂の家に連れていってもらった。
山善寺家と同等…嫌…それより大きいかもしれない
天青さんの父である十夜さんは医師だそうだ。
神楽坂家は代々医師の家系らしい。おそらく俺の精神のことも考えこの家に招かれたのだろう
「俺の父にまず紹介するね」
柔和な表情で言うと俺を書斎へ招いた。
部屋の中に入ると黒髪が綺麗な父親とは到底思えないほどの美しい紳士がいた
「初めまして。暉だね。俺は神楽坂 十夜。話は天青から聞いてるよ。これからよろしくね」
「よろしくお願いします」
「十夜ー!ただいま」
次にやって来たのは色白で天青さんをそのまま小柄にした感じの人
「あぁ!いらっしゃい!君が天青だね!」
「えと…」
「夕燈さん…ちょっと落ち着いてください…」
「この子美人だねぇ!若い頃の十夜にちょっと似てる!スッゴい体!!鍛えてるの?すごーいすごーい!」
そういいながら俺にペタペタと触れてくる。それを見ていた十夜さんが呆れたようにこちらを見た
「夕燈さん。こっちおいで」
その十夜さんが夕燈さんに甘く声をかけると途端に真っ赤になって俯き静かに隣にいった。何だか可愛い人だ な
「驚かせたかな?ごめんね!俺は夕燈。華稜院の現当主の弟で天青の母親だよ。飲食の方を任されてるの」
母親?見えない…見ようによっては俺とそんなに年が変わらないようにも見える。
「天青は店とかホテルとかのデザイン担当してくれてるの。でね、君に手伝って欲しいお仕事なんだけど天青の秘書件華稜院グループ会社の建築デザイナーとして動いて欲しいの。資格持ってたよね?君のこと色々調べさせてもらったときに書いてあって。ごめんね、勝手に調べて。」
「あ。いえ…それは大丈夫です。俺に出来ますか?こんな大企業の…」
「出来るよ。俺はそう思ってる。君の学生時代のポートフォリオみたよ。俺が求めてる物だった。あの発想は天青にはない。君には君の良さがある。それに華陵院グループだけでなく多くの企業と一緒にやっていくことで君の実力を存分に発揮出来ると思うんだ。二人で一緒に下を引っ張ってくれるとみんなも延びると思うんだよね。だからお願い」
「しかし…新参者で実績もない自分を受け入れることは出来るのでしょうか」
「そう言うと思った。だからね、天青が前もってみんなにも君のこと話していたんだよ。な?天青」
「はい。みんなも是非にといってたよ。自分達では思いもしなかった発想が素晴らしいって。だからその発想力は自分達の成長にも繋がる。だから自分達はついていくって」
驚いた…そこまで根回ししているとは…
実は義父は政治家ではあるが元は建築家だった。だから触れる機会は多くあり興味をもった。それからそちらの道の勉強をしたいと向こうへいったのだ。たぶんデザインが天青さんと違うのは俺が学んだ場所が海外だから。
「是非君と仕事をしたいと言う人が殆どだよ」
「自分にどこまで出来るのか…皆目検討はつきませんが…そう言っていただけるのであれば尽力したいと思います。よろしくお願いします」
「うん!今日明日はゆっくり休みなね。天青の家に部屋を用意させてるから」
「部屋が余ってるから使ってくれると助かるんだよね。出ていきたいときは言ってくれれば手伝うよ。だから一先ずは俺の家でこれまで手掛けた資料もあるから参考になれば良いけどな」
住居まで準備してくださるなんて…驚くことばかりだ。
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