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食事を終えて店を出る 「このまま買い物でもいく?何か必要なものある?」 「そうですね。」 「人混み苦手?」 「いえ、そういう訳ではないのですが買い物というものに久しぶりにいくから…」 「緊張してる?」 「…恥ずかしながら…」 「何それ…可愛い…」 「何か言いました?」 「ううん。なんでもないよ。じゃあ取り敢えず行ってみて無理そうなら教えてくれる?」 「わかりました」 天青さんの運転で大型ショッピングモールにきた。 こういう店には入った記憶はない。大学時代は飲食店やスーパーなどには良く行っていたけれど服などは山善寺の主人が用意してくれたものを着回していたから洋品店などには行ったことがなかった。 こんなに沢山のものが同じ場所にあることがとても新鮮だった。 ただ歩くだけでも色とりどりの物が飛び込んできて刺激を受ける。 それぞれの店がそれぞれの個性を持っていて今後の仕事にも役に立ちそうだ。 「面白い?」 「はい。面白いです。こういった場所に訪れたことはないから…」 「…可愛い…」 「え?」 「何か必要なものは?」 そう言われたけど何も浮かばなくて一先ずは日用品を購入した。 「桐がここの中にあるテナントで働いてるんだ紹介するね」 着いていった先はオーダースーツを繕ってくれる店だった 「久しぶり。桐」 「おぉ!!久しぶりぃ!天青くん。」 「桐さん…藤さんの息子さん」 「そうそう」 「この人は?天青くんの新しい彼氏?」 「違うっ!」 「そうなの?天青くん好みの人じゃん!」 「ちょっ…桐…黙って…」 「え?最近浮いた話のなかった天青くんがこんな人連れてるんだからそう思うでしょ?お名前は?」 「…暉です」 「暉さん!あ!あのね!さっき新しい生地入ったの!暉さん似合いそうだからちょっと合わせてくれない?」 「暉さん。桐は煩いし空気読めないけどセンスはいいから合わせておいで」 「わかりました」 どっちにしてもこれから仕事していくのなら殆ど着ることはないけれど持ってきたスーツだけでは心許ない。そう思ってはいたので取り敢えず合わせることにした。 何がいいかはわからないがこの生地がとても良質なものはすぐにわかった。 俺はあまりファッションには詳しくない。これまでは人に与えられたものをそのまま着てたし拘りも全くない。 どんなものがあってどんなものが流行りでどんなものを選ぶのが正解なのか?何が何なのかさっぱりわからないので言われるまま大人しく聞いていた。 「どう?桐」 「うん。スタイルいいしどんなもの合わせてもスッゴい似合う」 「そうだろうね。これから俺と一緒に働くんだ。着ることは少ないかもしれないけどプレゼントしようと思ってるんだ。全てお前に任せるよ」 「OK。任せといて」 「プレゼントなんて!そんなの頂けません」 「ううん。無理やりこっちにつれてきたようなものだからもらってほしい。」 「そう言う訳にはいきません」 「じゃあ。出世払いにしよっか?今持ってるお金はご両親から貰ったものでしょ?出来れば使いたくないって言ってたじゃない?」 「そうですが…」 「うん。そうしよ。桐。宜しくね」 「すいません」 「そゆ時はありがとうだよ!暉さん」 「ありがとう…ございます」 あれよあれよという間に採寸されてデザインがあがって店の奥に併設されている工房へ。 出来上がりは約一ヶ月後になるそうだ 同じ店でネクタイやネクタイピン。シャツやカフスなども天青さんに購入してもらい店を出た。

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