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「ここで会ったのも何かの縁。一緒にお茶でもしませんか?」
「折角のデートなのにお邪魔したくないよ。」
「いえ。俺もお二人と話してみたいのでよろしければご一緒したいです」
「暉さん。いい?」
「えぇ。構いませんよ」
「じゃあ下のカフェ行こ」
縷紅さんと翠さんに連れられて入った店。
中は思ったより広かった。商業施設内なのにこんなに広いんだな…。各テーブルごとに仕切りもあるから周りの目もさほど気にならなかった
俺と縷紅さんはアイスコーヒーそして
「俺ケーキセット!」
「俺も!!」
二人の可愛い人が目をキラキラさせながらメニューを見ている。
「ケーキどれがいいかなぁ?翠くん何にする?」
「悩みますねぇ」
二人してキャッキャッとしてる姿を見て縷紅さんが
「…本当に…可愛い…」
にやにやしながらそう呟いた。二人はメニューに夢中で聞こえてない
「天青もいくつになっても可愛いな…そう思いません?暉さん」
「確かに可愛らしい方ですね。初めてお会いしたときと全く違います」
「暉さんのことは前に聞いていたんだ。俺たちと同い年なんでしょ?」
「そのようですね。初めてお会いしたとき俺は天青さんを年上だと思ってました」
「天青は格好と物腰で全く違うからね。昔から困ったときは天青頼みだったんだ。翠と引き合わせてくれたのも天青だったから俺の友人でもあり恩人でもあるんだ。だってこーんなに可愛い恋人と出会えたんだから」
「俺も天青さんには感謝しています。天青さんがいなければ今こうしてここにいることはできなかった。妹と俺を助けてくれた…。助けてくれた人がこんなに美しい人なんて…俺はとても運が良かったのかもしれませんね」
「…あの…暉さん。もしかして天青さんのことお好きなのでは?えと…恋愛的な意味で」
先程までメニューに夢中だったはずの翠さんが遠慮がちに問うてきた。
「えぇ!!!」
声をあげたのは天青さんの方だった
「暉さんはあまり表情に出すのは苦手?みたいですけど…天青さんを見る目が優しいし。それにとってもお似合いです」
無垢な笑顔で翠さんが言う。初めて会った人にそう言われるとは予想外だった
「んもぅっ!!翠くん!暉さんに悪いよぉ…」
「いえ。すいません。俺なんかが貴方に特別な好意を持ってしまって」
「えっ!?えぇ!!!」
「だから言ったでしょ?不用意に近付かないでと。それは俺が暴走する危険性があるからです。知ってるでしょ?俺の今の精神状態とこれまでの生活のこと。まだその名残があるかもしれないんです」
「っ…どうしよぉ…どうしよ…どうしよ…縷紅…」
「まぁいいんじゃね?素直になれば?何でこっちに呼んだのか。側に置こうとしたのか。まだ話してないんだろ?お前のことだから」
涙目で縷紅さんに助けを求める天青さん。二人の中で何があったのか?俺には全く検討はつかないが俺をこっちに呼んだのは華陵院グループというより天青さんってことだけは確かのようだ
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