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天青side 山善寺家のことを調べて欲しい。その依頼が来たのは突然のことだった。 叔父である華陵院家当主の華陵院 千景から連絡が入ったのだ。 末息子の友人でもあり、想い人である 倉持 愛偉兎の弟が山善寺家へ連れていかれたと連絡が入ったのだ。 もともと情報収集は千景さんの十八番なのだがその日は日本におらずうまいこと動けないと言うことで父に協力を依頼したそうだ。 というのも父方の祖父が山善寺と古くからの友人であったから。山善寺の主人のことは誰より知っているはずだし祖父になら何かしらの情報が入っているはずだから。 それなのに山善寺の黒い噂はこれまで一度も聞いたこともなかった。 山善寺の主人はあのとき世界各国を仕事で飛び回り家にはいないはずだから連れ去ったのが何者なのかがわからない。 とはいえ最近山善寺の近辺で若い男が消えている事件は多発していたのでマークはしてたそうだ。 その情報は俺にも共有されてそれを元にいろいろ調べたのだ 結果養子が二人いると言うこと。連れ去ったのはその二人で恐らく養父である彼は知らないと言うこと。そしてその二人は実の兄妹で幼い頃に誘拐されてしまいその後酷い仕打ちを受けてきたことがわかった。 そして家主が留守にしているにもかかわらず金の動きが激しい。 そしておかしな動きをしている使用人がいる 他にも多くの不穏な動きがあった。 そして多くの事実がわかった。 それを各方面に知らせ2人と他使用人を保護した。 幸い被害者である愛偉兎くんの弟さんも家族も二人を訴えはしなかった。 その後本来のご家族に返すため住所と彼らの会社を調べた結果を千景さんに報告するとその日千景さんがいた場所が彼らの故郷だということがわかりスケジュールの調整をして俺が千景さんに引き渡すことになった 警察に拘束されていた彼らの身元引き受け人として俺が代理で行ったのだがまだ暗示から解放されていない二人の目は虚ろ…特に兄の暉さんの方がその様子が酷くて…俺の事を写していなかった。 とても美しい兄妹だった…俺は強烈に彼に引かれた。その瞳に写りたいと思った。 虚ろな意識の中でもふと我にかえることがあった汀子さんとは少し会話もできた… 「お兄様は…ずっと私のために多くの事を耐えてきた…お兄様は…もう…私から解放されたらいいと思うんです…」 「君もだよ。君も暉さんと一緒に苦しんだ…もう解放されていいんだよ」 「私は…私は大丈夫です…でも兄は…どんなに酷い目に遭っても泣かなかった…側に私がいたから…兄は弱味を誰にも見せられない…きっと父様と母様の元に戻ってもきっと…弱味も強みになる…そう思うのですけれど…このままだと…兄は壊れてしまう…そして…起き上がれなくなってしまう…どうか…お願いです…救って頂いたのに厚かましいかもしれませんが…兄を…支えてくれませんか?貴方なら…出来る気がするのです…貴方を信じてみたいのです…」 「俺はそんな大きな人間じゃないよ。でも…君が…そして暉さんが助けを求めてくれるなら俺は全力で力を貸すよ。いつでも頼ってきてね。これからの人生の方が君たちは長い。これまでは周りに自慢できるものではなかったかもしれない。でもこれからは作っていける。死に逝くとき胸を張りいい人生だったと言える人になって。自分を大切に生きて」 「はい…」 その返事を最後に汀子さんは眠った。 それと入れ替わるように暉さんが目を開けた。やはり虚ろなままだけど。その彼が呟く… 「亜咲斗…ごめん…」 亜咲斗?誰だ?…最後の被害者は愛桜海さんだったはず…間違っているのか? 「俺を…殺させて…ごめん…」 どういうことだ?わからない。

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