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天青side 空港につくと千景さんが迎えに来てくれていた。 「あれ?運転手とか秘書とかは?」 「今日は暇をやってる。2人とゆっくり話したかったから。」 「九頭竜さんは?」 「九頭竜は…あぁ。あそこ」 指差した方向に相変わらずしゅっとした美丈夫がいた。 「天ちゃーん!!久しぶり」 「お久しぶりです。相変わらず綺麗すね」 「もうすっかりおっさんだよ。この子達が汀子ちゃんと暉くんね。初めまして」 九頭竜さんは人好きのする笑顔で二人を見つめた。 二人はまだぼんやりしてる 「大丈夫?直ぐにお家におくるね」 「ありがとうございます」 汀子さんは恭しくお辞儀をする。暉さんはそれを側で見守ってた 車に乗り込み家へ向かう。その道中ずっと背筋をピンと伸ばしていた暉さん。それに寄り添うように汀子さんが並び暉さんの手に触れていた 二人を送った家は大きな家だった。土地が広いのもある。庭には多くのバラが咲き誇っていた。 アーチを抜けてから玄関まではかなりの距離があった。 どのバラも手入れが行き届いていて美しかった。 玄関に着き扉が開く。中から二人に良く似た紳士淑女が出てきた。 「暉っ…汀子っ…」 「お父様…お母様…お久しぶりです…」 二人は戸惑いがちに両親に挨拶する それはそうだろう。親と一緒に過ごしたのはたったの数年なのだ。 暉さん8歳。汀子さん3歳の時に彼らは誘拐されたのだ 暉さんは覚えていてもおかしくはないがその後の多くの苦難により忘れてしまったのかもしれない 二人に抱き締められて汀子さんは安心したのか涙を流した。暉さんは相変わらず直立不動のままだ 感情をどこかに置き忘れてきた人間場馴れした美貌。 両親の戸惑いはこちらにも伝わってきた。 「すいません…俺…」 「いいのよ。二人がこうして帰ってきてくれた…それが私たちはとても幸せなの…」 はらはらと涙を流しながらお母様が言う。自分よりずっと背の高い暉さんの髪を撫でていた。 「こんなに…立派になって…ごめんね。直ぐに見つけてあげられなくて」 「いえ…仕方がないと思います。俺たちは同じところに留まっていたわけではないですから見付からなくて当然です」 暉さんは淡々と事務的に言葉を紡ぐ あぁ…どうすれば彼を救えるのだろうか…俺に何かできないのだろうか… 少し話をして俺たちは暉さんの家を離れた。

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