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天青side 翌日一旦帰国してからはご両親と連絡を取り合っていた。 相変わらず表情は変わらない。言葉もこちらが話しかけないと発しない。どうしていいかわからない… 涙ながらにそう語るご両親の想いを考えると俺まで苦しかった。 そんな日々が続いたある日。その日は汀子さんが電話を掛けてきた。 どうか…兄を拐いに来てはくれないだろうかという電話だった。 自分が側にいたことで過去の苦しい記憶は消すことができてない。 自分と兄の扱いはそれはそれは大きく違っていた。自分が痛め付けられることより妹である汀子さんが傷つけられるのを見ることの方が辛そうにしていた。自分を見るとその時何もできず助けられなかったことを思いだし苦しんでいる。 自分の傷の方が深いはずなのに兄は未だに泣けないでいる。涙は心を洗うと信じてる。だからこそ一度涙を見せて欲しい… けれど…勿論妹である汀子さんの前で出来ることではない…だから…俺に託したいのだ…そう訴えてきた。 本当は家族と一緒に過ごした方がいい。それはわかるけれど二人が側にいると双方で相手を見ては苦しむのだろう。だったら一度離れてみるのもいいのかもしれない… そう思って両親と千景さん、美景さん、朝陽さんに相談した。皆は快くそれを承諾してくれた。 「天青くんが助けたい人なのでしょ?だったら僕もできることは協力するよ」 優しい笑顔で朝陽さんがいってくれて 「お前の側にいた方が救われるかもしれないな。俺も反対はしないよ」 豪快な笑いで美景さんがいってくれて 「俺にも出来ることがあるだろう。いつでも頼ってくれ。」 力強く千景さんもいってくれた。 「天青が人のために動こうとするなんて嬉しい!いいよ。うちで引き受ける。資料見たけどうちにいた方が彼の才能は延びそうだし同じ仕事してる天青の側にいた方が彼は変われるかもしれないし。精神面のサポートや体調面のサポートも俺たちが適任でしょ?」 母が言うのを父は頷きながら聞いてた。 それから俺の部下たちに話を通して暉さんが直ぐにでも動けるように話を全社員に伝えてもらった。みんな新たに来る暉さんに早く会いたがってた。我ながらうちの社員はいい子達ばかりだと思った そしてあの日暉さんを迎えにいったのだ

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