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天青side 屋敷を出て自宅に戻った。 暉さんの荷物は仕事で先に帰国した九頭竜さんが自家用ジェットに乗せて先に持って帰ってくれてた。俺たちのために自ら進んでやってくれたのだ。 そして暉さんのご両親や山善寺さんに暉さんの使っていた家具とか壁紙とかインテリアの配置とかを聞いてくれて用意してくれ、暉さんの部屋そのものみたいに配置してくれた。 初めての場所だけど少しでも安心できるスペースになればと俺からもお願いしたのだ。喜んでもらえるだろうか? 「ここは元は父が独身時代に使っていた場所でね、母との思い出の場所だからとそのままにしてあってそのまま俺が住むことになったんだ。どうぞ」 そわそわしながら招き入れる。すると直ぐに気づいてくれたみたいだ 「あれ?」 「ん?気付いた?君のご実家の間取りと山善寺家の間取りをミックスさせて作ったんだよ。その方が君が落ち着けるかなって思って」 「そんな…俺なんかのために…」 「こーら。俺なんかとか言わないの。ね?」 「…すいません…」 「ふふ…大丈夫だよ。取り敢えずそこ、掛けて。お茶いれるね」 キッチンで準備していると刺さるような視線を感じたので声をかけた 「んー?どした?そんなに見て」 「あ…すいません」 申し訳なさそうに暉さんが謝る。その姿はいたずらに気付かれた子供みたいで可愛かった 「まぁた謝る。大丈夫だよ。はい。山善寺さんに聞いたよ。この紅茶が好きだったんだってね」 これは汀子さんにも聞いたのだが彼の山善寺の家で唯一落ち着いていられる時間はこの紅茶を自室で嗜んでいるときだったらしい。 山善寺さんに華陵院で暉さんを預かることを伝えたら山善寺さんがこの茶葉をわざわざ用意してくれた。とても心配そうにしてたからいつか会わせてあげたい… 「彼に会ったのですか?」 「うん。とても素敵な方だよね。君たちのことを今も案じてらしたよ。今度またお会いする機会を伺ってる。会いたいでしょ?」 「はい。ぜひ」 まだまだ固い暉さん。少しでも楽になって欲しくてさっきまでより話し方を通常通りに戻したのだけれど…気になる… 「それと…仕事以外ではもっと気を抜いて良いよ。俺と君同い年なんだよ」 そう。同い年なんだ。それを伝えたらまた驚いたみたいだ。 「そうなのですか?てっきり年上だと」 元々俺は童顔で背も父ほど高くはない。声も低い方ではないので少しでも上に見られたくていつも敢えて更けて見せるように髪のセットもしてスーツも選んでるのだ。だから暉さんのその反応は正解だ 「スーツきて髪セットしてると上に見られるんだよね。むしろそう見えるようにしてるの。華陵院傘下だもん。嘗められたら面倒だし。ちょっと着替えてくるね。あ!暉さんも着替えておいで。こっちに荷物運ばせてるから。おいで」 でも本音を言えば仕事以外でこれでいるのは結構しんどいんだ。だから早く着替えたかった。でも俺だけ着替えるのもあれだし早く部屋にも案内したいから部屋の場所を教えるために手を引いた。ほぼ無意識だった

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