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天青side
「あれぇ?天青?」
「ん?」
「久しぶり」
「お!久しぶり!縷紅。どした?珍しいね」
声の主は桐の兄である縷紅だった。こんなところで会うなんてなかなかない。そもそも縷紅はこういうところは得意ではないはずなので変な感じ。でも直ぐに謎は溶けた
「うん。デート!ほら。」
「あぁ」
「こんにちは…」
「久しぶりだね。翠くん」
そういえば縷紅の恋人の翠君は映画が好きだった。それで意気投合して俺と仲良くなってそして縷紅に紹介したんだった。
「はい。お変わり無いですか?」
「うん。元気だよ。また美人になったね。お母さんに似てきた」
「そうですか?ありがとうございます」
実は翠君のご両親はとってもすごい人たちだ。
今男性が妊娠できる薬があるのだけどそれを開発したチームにいたのが何を隠そう翠君のお父さんである茜さんなのだ。翠君のお母さんのさなえさんはお医者さんだったことがあり父と一緒に働いていたこともある。
茜さんは綺麗な人。何というか…とても妖艶な感じ。神秘的な魅力をもった人だ。
さなえさんもとても綺麗なんだけどかなり無自覚。若い頃から隣に茜さんがいたから自分の綺麗さに本当に気付いていないみたいで茜さんはかなり苦労したらしい。笑顔は凶器だと誰もがいうくらいとっても綺麗。たぶん…言ったら怒られるかもしれないけど月さんより綺麗かもしれない。その人にそっくりな翠君に縷紅はベタぼれだ。
「お前もデート?それ?新しい恋人」
「違うっ!ビジネスパートナーになる人だよ!」
そう。デートなんて思ってるのは俺だけ…俺の勝手な片想い…
「暉さんだよ」
「あぁ!噂の暉さんね。お前が一目惚…っ!、」
「ちょ…黙って…待って…」
焦って縷紅の口を塞ぐ。実は縷紅には暉さんのこと話してた。そのときはもう会えないと思ってたから実は一目惚れだったことも縷紅には話してしまっていたのだ
急に焦った俺を見て首を傾げる暉さん…
「…?」
その仕草っ!!可愛いなぁ…もう!!
「んー!んー!!」
可愛さに見惚れてたらバンバンと縷紅に背中を叩かれた。なんだよ!お前が余計なこと言おうとするからだろ!!そう思ってたら暉さんが心配そうに言葉を紡いだ
「天青さん…縷紅さん苦しそうですよ。離してあげたらどうです?」
え?あ!!
「あ!!ごめん!縷紅」
本当に気づいてなかった。本当にごめんよ…けどさぁ…
「げほっ…げほっ…お前なぁ…」
「いやだってさ…」
「悪かったって。はじめまして。縷紅です。天青から話は聞いています。天青は仕事になると別人だけど普段はぼんやりしてるから支えてあげてくださいね。天青のこと宜しくお願いします」
「こちらこそ。宜しくお願いします」
待て待て…ぼんやりしてるってなんなんだよ!!そう思う俺をほっといて二人で挨拶してた
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