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「んん…」
「暉さん!大丈夫?」
目を開けると目を真っ赤にした天青さん
「天青…さん…俺…」
「お話ししてたら倒れちゃったの…縷紅と翠くんが手伝ってくれた…大丈夫?ねぇ?大丈夫?痛いとこはない?」
涙がたまっていく天青さんの表情に胸が締め付けられる…無意識に彼を抱き寄せ唇を食んでいた
「ん…」
俺のキスに気持ち良さそうに目を閉じる天青さん。
俺は…
「んん…」
唇を重ねたまま天青さんの体を引き寄せ組み敷く。さっきまでベッドの脇に座ってたのに気づけば押し倒されていることに天青さんはびっくりして目を見開いたけどもう一度口付けると大人しくそれを受け入れてくれてた。
「天青さん…」
「暉さん…」
「俺…どうすればいい?…貴方が欲しくて堪らない…なのに…何かが…邪魔する…俺は欠陥ばかり…どうしたらいい?こんなに…好きなのに…でも…あなたは…貴方には他に運命の人がいるかもしれない…俺…一度貴方を手にしたら…どんな手段を使ってでも…泣いて逃がして欲しいと懇願しても…きっと…離さない…例え…貴方を殺してでも…どうすればいいの?俺…精神も安定しない…何するかわからない…貴方を…貴方に…どうしたら…」
「…暉さん…貴方になら殺されてもいいよ。何されてもいい…俺が…」
「いいの?俺…っ…たい…痛い…」
今度はひどい頭痛に襲われる…痛い…痛い…痛い…気付けば涙が溢れてて天青さんの頬に落ちる
「天青…さ…ん…だめ…亜咲斗…亜咲斗…ごめんなさい…ごめんなさい…」
「…琉輝…さん…」
わからない…誰?
「他の男の名を呼ぶな…」
「くっ…」
ギリギリと首を締め上げる。あんたの口から他の男の名前なんて聞きたくない!!
「他にやるくらいなら…いっそのこと…っ」
「…」
首を絞められてるのに笑顔にさえ見える天青さんにはっとする。天青さんは俺の頬を撫でた
「…っ」
「天青っ!!あんたなにやってんの!?!?」
力を強めたその時縷紅さんがやって来て俺を剥がそうと必死になる。けれど俺は全く動かなかった
「やめろって!!天青死ぬぞ!!お前らこれからなんだろ!!なにやってんだ!!」
「…他にやるくらいなら…」
「天青はお前に心底惚れてる。わかるだろ?ほら!!良くみろ!天青を良くみろ」
もう一度視線を天青さんに戻すと涙を流しながら…でも…本当に幸せそうに微笑んでて…
「天青…さん…」
その表情に思わず手を離した
それと同時に天青さんは意識を手放した
「あぁ!俺…何てこと…天青さん…天青さん…天青さんっ!!」
「落ち着けって。な?直ぐに目を覚ますさ。だから取り敢えず落ち着け」
そういうと縷紅さんが優しく抱き締めてくれた。どこか懐かしい優しい匂い…
「ごめんなさい…」
「ん…天青には聞いてたんだ。お前のこと。今の状態とか…だから…何かあっても守ってくれって」
「ごめんない…」
「縷紅さん!」
「おぅ。翠。おかえり」
「母さん連れてきた」
「ありがと」
「久しぶり。縷紅君」
「さなえさん。急にすいません。」
「ううん。いいよ。彼?暉さんって」
「はい」
「天青さんを…助けて…」
「…うん。わかった。君は縷紅君と翠と飲み物でも飲んでおいで」
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