103 / 169
34
亜咲斗と片岡が出会ったのは…まだ亜咲斗が高校に通っていたとき。智輝をどう落とすのか話をしに会社に来たときだ。それ以来あっていないはずだが…片岡も亜咲斗に想いを寄せていたとは…確かに佐藤がそうなのはわかってた。俺の付き人の中では一番亜咲斗と会話をしていたし、亜咲斗はいつも笑顔で佐藤と楽しそうに話していたから。佐藤は見た目が他とは違うので裏の人間でもあまり顔を見て話をされることはなかった。けれど亜咲斗だけは違ったのだ
だから佐藤の想いには気付いていたが俺は亜咲斗を許すことができていなかったため気付かない振りをしていた…一番嫌悪する相手に俺の大切な付き人は渡せない。ただ…亜咲斗があの店に入ったとき…あのときの教育は…佐藤に任せた。俺のことを想う亜咲斗に教育なんてできない。そう言う風に佐藤には話し、気紛れに任せたのだが…一度くらい佐藤の想いを遂げさせてやりたかったのもあったのかもしれない。
…律の語りは続く
「貴方の葬儀には多くの人が来た…それってさ貴方の作った人脈でしょ?貴方は表の仕事に対してはとても真摯に向き合ってた。それは俺も一緒に仕事をしたからわかります。表の仕事の関係者は皆貴方に感謝してた。貴方の父親が滅茶苦茶にしてしまった体制を整えた。父親が気付かない程度にね」
…律は若くして会社を立ち上げた。文房具を扱う企業で、出せばどの商品もバカ売れする。その会社から代表作を譲渡してもらったことがある。律の会社の商品はどれも魅力的で人気もあってうちの社員が一緒に作ってみたいと言っていたから律に話を持っていったのだ。律の体の方も気に入ってたこともあったから何度も呼び出し仕事の話しをし、その後体を重ねていた。あの頃はまだ路夏くんとは出会ってなかったから多くの人と関係を持っていたのだ。
とはいえ律にとっては律の想い人であった京を人質にとられているようなものだったからこそ製品を譲渡したし俺と体を繋げていたのだけど。俺が死んだ後律と仕事をしたあの会社はどうなっただろうか?成長できたのだろうか?親父に潰されなかっただろうか…
「裏の仕事の人たちに関しては……調べさせてもらいました」
今度は由斗さん…定広さんが語り出す
「どうしてあんなに非道な扱いをしていたのかってこと…
俺たちは悪い方の噂しか耳にしてなかった…その理由はなんなのか…それだけはどんなに調べても見付けられなかった…
でも…わかったことがあった…。
…貴方がそんな扱いをしてきた人たちは皆…下を無碍に扱う人たちばかり、そしてそれに感化されとんでもないクズに成り下がった人たちが集まる企業ばかりだった。元は貴方の父親が管理していた会社だった
そしてあの亜咲斗がいた風俗店の男娼たちは…過去に罪を犯したにも関わらずのうのうと笑って生きていたやつばかりだった。殺人…窃盗…暴行…強姦…横領…詐欺…他にも多くの罪を犯した人たちがいた…何の罪もない人たちを泣かせ、人生を奪った人たち…
その人たちへの制裁のためのお店だったんでしょ?」
ともだちにシェアしよう!