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「桐のクラスメイトだったんだけどね。委員会が同じ子で。俺は図書委員会だったんだけどうちの図書委員会って緩くて真面目にしてる人はほとんどいなかった。だから純粋に本が好きで一生懸命仕事に励む彼がとてもよくみえた。でもさ。接点って委員会のときしかなくて…彼のことがもっと知りたくて桐に色々相談してた。」 「そしたら?」 「うん。桐に突然言われた。ごめん。もう協力できないって」 「…それって」 「そう。好きになっちゃったみたい。俺の相談に乗っていて彼を知っていくうちに彼らはとても仲良くなって顔見知りから友人になった。俺のためにとしていたことも気付けば自分のためになってしまった。そう桐に告げられた矢先にね彼から告白された。彼はずっと俺のことが好きだったんだって。正直嬉しかったよ。けど直ぐに答えられなかった。だって桐の気持ちを知っていたから。でもまだ俺も好きだったし。保留にして欲しいと話したら彼は健気に頷いて待ってるって言ってくれた」 「付き合ったの?」 「…ううん。保留にした一週間後くらいだったかな。彼にこの間のは無かったことにしてくれって言われた。ごめんなさい。貴方のことを好きなのに他の相手の誘いに乗り体の関係を持ってしまったと。俺のことは好きだけどこんな勝手な自分ではだめだって。俺への気持ちは嘘じゃなかったけど…本当にごめんなさいって」 「それは…まさか…」 「うん。その相手は桐だった。桐には告白されたことは言えなかったんだ。だから勿論桐はその事も知らなくて…桐は耐えられなくなって告白してそのまま迫ったみたいだよ。あとで謝られた。その後彼とちゃんと付き合った。それを知っているのは俺と縷紅だけかな?桐は相手のこともあるからと秘密にして欲しいって言ってたし。彼とはとても仲良くて見ているこっちも幸せになれたんだけどそれでもその交際も長くは続かなかったんだよね。別れた理由は聞いてないけど。でもね、俺も結構切り替え早いから既に他に好きな人がいてね」 「…」 「軽蔑する?」 「多感な年ですから普通のことでしょ?」 「…ありがと。まだ聞く?」 「えぇ。聞かせてください」 その後更に数人同じような状況になったようだった。全て人と付き合う前に桐さんが間に入って…言い方は悪いけど桐さんが奪った形になってしまっていた。 でも天青さんは桐さんに嫌悪感などは持ったことがないということは見ていてわかった。

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