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「おはよ。暉さん。大丈夫?お酒ダメみたいだね」 「すいません…俺…」 「ううん。ごめんね。俺が無理に飲ませちゃったし」 「いえ…あの…ここ…」 「ん?俺んち。天青君には連絡しておいたから心配しないで」 「ありがとうございます。帰宅しますね。お世話になりました。またこの埋め合わせはいつか」 危険信号が点滅していた。桐さんはいつもと変わらないきらきらな笑顔だけど…少しの違和感を感じたのだ 「いいけど。動ける?」 「大丈夫だと思います」 そういって立ち上がるとふらつき膝をついた 「ほらぁ。今日は無理だって」 「けど…」 俺は知ってる。この倦怠感の理由。酒ではない。これは…身に覚えのあることだから。 「何…盛りました?」 「え?何いってるの?」 「すごい人ですね。桐さん」 「何が?」 「…そのハリボテ…いい加減に捨てたらどうですか」 「…くすっ…すごいね。よくわかったね」 「えぇ。いつもと違いますから。何故こんなことを?これは酒でのものではない」 「君が天青君を本当に愛してるのか確かめてあげる」 「やはりそうでしたか。貴方がこれまで天青さんと好みが同じになる理由がよくわかりました」 「やだなぁ。いつから気付いてたの?」 「どれですか?あなたの理由ですか?それとも何か盛ったタイミングですか?」 「へぇ?気付いてて飲んだの?」 「えぇ。あなたの真意が知りたかったので。殺すようなものは入れるはずないって思っていましたし。でも流石に量が多かったようですね。まさか意識を失うほどとは…」 「俺ね。君が嫌いなの。これまでの誰より君が嫌い」

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