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「切れちゃった…」 「聞けました?」 「聞けなかった…けど…ずっと俺のこと好きだったって…言われた…俺…全然気が付かなかった…桐…苦しかったよね…」 「…桐さんのやり方は俺は嫌いです。けど彼にはそれしか浮かばなかったんでしょうね。貴方を守る方法が…昨日桐さんが一緒に来た理由は…とても単純なことですよ。大好きな貴方を助けたい。その一心でした」 「そうなんだね…」 「はい。貴方の事がとても大切だということがとても伝わってきました」 「桐はねいつも明るくて悩みなんて言わない子で…誰かに甘えるようなこともしなかった。卯月さんも忙しかったし藤さんも忙しかったから…たくさん我慢してきたと思うんだよね。俺は両親がいれば甘えたりもしてたけどそれを桐はしなくて…」 「それが桐さんの選んだ道だったのですね… …だからこそ…これからは…彼自身のため彼の人生を生きて欲しい…そう願うしか俺にはできません」 「うん…俺も…でも…桐はとても良い子だから幸せになれると俺は確信してるよ」 桐さんのやって来たことは全く好きになれない。けれど彼なりの精一杯の愛だったんだ… とはいえ…俺はそんな偉そうなことを言えるような人間じゃない。最低なことをたくさんしてきた。 それも前世から今世までずっとだ。 本当に最低で最悪で絶対的な悪で… けれど…気付けたから…愛すると言うことがどれだけ尊くどれだけ暖かいかということ…。 「桐さん…一緒に幸せになりましょうね。貴方に出会えて…愛されると言うことをこれからもずっと感じていたい」 「俺も。暉さんと一緒にいたい。愛し愛されていたい…だから…一緒に並んで歩いていこうね」 「はい」 これからの人生はまだまだ長い…苦しいことも辛いこともある。でもそれと同じくらい嬉しいことや楽しいことがあるはずだから… 俺の隣には天青さんがいて欲しい… 願わくば…俺が苦しめてきた人たち皆が愛されるということを知り愛するということを知って幸せに人生を送って欲しい 完

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