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第152話
ドアの外から聞こえる声は…善くんの声だ…いつも落ち着く声なのに今日は何だか違う…
「ほら。開けてあげなよ」
「いやっ!でも…おれっ!わか…」
「んじゃ俺が…」
「だめ。」
「じゃあ行っておいでよ」
龍に背中を押され扉を開けると肌寒くなってきたのに薄着の善くんが息を切らして立っていてそのまま俺を抱きしめた
「静音くん!!泣いたの?男になにかされた?大丈夫?」
怒った顔でそこにいたはずなのに何故か今度は心配そうにおろおろしながら俺の頭をなでた
「今晩は。善さん。俺は龍吾っていいます。静くんから善さんのお話聞いてます。静くん寒いから中に入れたげたら?」
「龍吾くん…静音くんが言ってたあの?」
「多分それだとは思うけど。俺のこと聞いてます?」
「あさちゃんに夢中な恋人」
「はい。それですね。今あさちゃん寝ちゃったんで龍くんと話していました」
「何で…泣いてるの?」
「俺から説明する?」
言葉が出なくて頷く。
「どうぞ…って俺の家ではないけど…寒いんで」
「静音くんお邪魔して…いいの?」
頷くと小さくお邪魔しますと言ってた。善くんの手を離さないまま部屋の中に一緒に入った
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