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第158話
「静音さぁん」
「はいはい」
後輩君とはいえ俺より年上の彼。久しぶりに飲んだらしく酔ってしまったようだ。
「静音くぅん」
「…」
さっきからこの調子で俺にもたれかかってくる
「ねぇ。俺魅力ない?」
「どうしたの?」
「俺さぁこれまで色んな人にチヤホヤされてきたわけよぉ」
「うん。」
「言っちゃえば俺に口説かれて落ちなかった人いないのね。あ。俺ゲイなんだけどさ。静音くんお仲間でしょう?」
「えと…はい?」
今は善くんと、付き合ってるし初恋はあさちゃんだし…けど女の子もいけたからたぶん俺はどっちも行けるんだと思うけど面倒だから敢えて言わないけど…
「静音くんさぁ。俺に全く興味示してくれないじゃん?」
うん。彼をそんな目で見たのは一度もない
「俺ずーーーーーっと静音くん狙ってたのね?」
「はい?」
突然の発言だ。
そうなのかぁ。気付かなかったなぁ…善くんといるのが楽しくてそういった意味で彼を見たことはなかった。そう考えると俺はもう随分と前から善くんしか見えてなかったんだなぁ…
「それでねぇ?今日どう?」
「は?」
「俺のことを抱いてよぉってことよぉ」
「…あぁ。悪いけど無理」
「えぇ?そんなことある?」
「あるよぉ。だって俺興味ないもん」
「うーん…手強いなぁ」
「ごめんね?俺付き合ってる人いるの。昔はね確かに誰でも相手できたよ?彼女いてもね。けど今の人を大切にしたいんだ。だからごめん」
「…いいなぁ…そういうの…」
「そういうのいないの?君だけを愛してくれる人」
「…んー…俺が一人を愛せないんだよねぇ。いつも誰かに愛されていないと不安で不安で仕方なくなるの。だから一人になっちゃわないように毎日色んな人といるんだ」
「そうなの?」
「バイトのときとかは平気なの。だってお客さんとお話できるでしょ?でも帰ったら俺一人だから…誰かしらを呼んで…けどね、初めてね、君を見たときにあぁ…この人とならって思えたんだ…なかなか俺に靡かないところにも惹かれたし見た目も勿論だけど仕事もすごくできるしかっこいいなぁって…静音くんみたいな人なら…もしかすると…」
そういうと俺の手に小さな手を重ねた
「…俺そんなに言ってもらえるような人じゃないよ?」
そういって手を離す。
「でもね、俺知ってるよ。君が安心感を持てる人のこと」
「え?」
「気づいていない?」
「…わからない…」
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