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第160話

「それって…」 「覚えてたみたいだね。そうだよ。」 「うそ…」 「本当に。ねぇ。どうしてその頃彼にキスしたの?」 「あ…う…あの…俺…さ…チヤホヤされてきたって話したでしょう?」 「うん…」 「それは小さい頃からで…でも…彼だけは違った…俺を…対等の立場で扱ってくれた…それが嬉しかった…口数は少なくてもとても…真摯な人なのはわかってた…人の心に寄り添える…そんな人だった…だから…俺…けど…違う…から…彼は…女の子も…好きになれるから…もし…もしも…一緒にいたのに…女の子を選ばれたら…俺は…立ち直れない…死んじゃいたくなるかもしれない…」 「…ねぇ。あの頃と見た目は違っても中身は変わってないよ。彼が自信満々に見えるのはみんなに寄り添ってるからだと思う。寄り添っているから自信のある人といるとそう見えるのかもしれない。知ってるよね?本当は誰よりも努力して勉強してお客さんと向き合っていること」 「…知ってる…」 「いつも誰かに愛されていたいのならその人一人に絞るのもいいんじゃない?色んな人と出会ったからこそ怖さもある。けれどそれも大切なことだと俺は思うよ。ねぇ。話してみたらどう?一人を愛してみたらどう?」 「でも…俺…酷いこと…」 「そんなのあの人は…笑って許してくれる。君の…これまでのことだって全部まとめて愛しくれる。俺はそう思うよ」 「…話して…みる…」 「…だって。ついたんでしょ?」 空間に声をかけると個室の戸が開く 「酔って大変って聞いて…来ちゃった」 「っ!!あ…あの…ごめんなさい…すぐに…気づかなくて…ごめんなさい」 「いいよ。俺だって気付かないと思うよ。昔と違うから。」 「取り敢えず場所変える?静かに話せるとこ行きたいでしょ?」 「そうだね…行こうか」 そうして店を出たとき彼の足がふらつき俺の胸に飛び込んできた。 「ごめん!すぐどくから」 そう言うけど思った以上に酔ってるみたいでうまく行かない。その時だった 「静音くん…」 「え?善くん」   「こんなところで会うなんて…偶然だね…」 仕事?にしてはラフな格好で隣にはきれいな男がいて腕を絡めていた 「…ぜーん…早く行こうよぉ…もう…我慢できないよぉ…」 そう言うと男は善くんに自分のナニを擦り付けながら頬にキスした 「…いこぉよぉ」 善くんは振り払うこともせず男の腰を抱いてキスをした。そのまま俺の方は見ないままにホテル街へと消えていった  

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