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「な! 奏ちゃん!?」 「ヤりたくなった」 一言そう告げてベルトを外し始めた奏ちゃんの瞳は、獲物を前にした獣のように鋭かった。 「や、なんで? 奏ちゃん!」 「くそっ、おまえも早く脱げよ」 「ひ、人が来るよ!」 奏ちゃんは怯えるオレのベルトも勝手に外し始める。 「それもいいだろ?」 「えっ……」 ニヤっと笑った奏ちゃんの唇がオレの言葉を塞ぎ、それ以上何も言えなくなった。 「あっ……、んんっ!」 唾液を絡ませた奏ちゃんの太い指が窄まりに突っ込まれる。性急な指先に無理やりそこを広げられ、気持ちよさなんかちっとも感じない。 片足を抱え上げられると、すぐさま奏ちゃんの熱い塊がオレを貫いた。 「あんっ」 始まった奏ちゃんの抽送に、オレは必死にその首筋にしがみついた。突き上げられるたびに背中が壁にぶつかり、鈍い音を立てる。 「あ、あ……っ、あっ」 日が暮れ、冷たくなってきた風がオレの尻を撫で上げた。 正直、外でって、ドキドキする……。 い、いや、違う!! オレの想像してた花見はこんなんじゃないだろ! 「くっ」 激しく腰を打ちつけた奏ちゃんが小さく呻いて吐精する。 オレの首筋で荒い息を吐いている奏ちゃんに、なんだかやるせない気持ちになった。胸の中からもやもやとしたものが湧き上がり、居たたまれない。 なんだよ、これ。結局、いつもと同じじゃないか……。 オレはジーンズをずり上げている奏ちゃんに思い切って口を開いた。 「奏ちゃん、奏ちゃんはオレのこと、本当に好きなの?」 その瞬間、暗いながらも目の前の奏ちゃんの眉間に皺が寄ったのがわかった。 え……? 「あ、あの、その、オレは奏ちゃんのこと、好きだよ? だからエッチもしてるんだし、ただその、もう少し恋人らしいこと、というかその……」 ごにょごにょと話し続けるオレに奏ちゃんはくるりと背を向けた。 「オレ、そういうしちメンドクサイこと言う奴、無理だから」 「えっ……」 呆れたような冷たい声でそう言い残して、奏ちゃんはさっさと茂みから出ていく。 固まるオレ……。 い、一体、オレたちのこの半年ってなんだったんだ?  オレたち、付き合ってるんじゃなかったの?  もしかしてオレってただのセ、セ、セフ…………。 イヤ――――――――――――――――っ!!!! 我に返って慌ててジーンズをずり上げ、奏ちゃんを追いかけたけど、奏ちゃんはもう居なかった。 オレは独りで元居た場所に戻り、後片付けを始める。食べかけの惣菜や紙の皿をまとめているうちに段々と鼻の奥が痛くなってきて、必死に唇を噛んだけど、だめだった。 「うっ、ひく、ひく……っ」 オレは嗚咽を漏らしながらジュースで濡れた膝かけをそのままゴミ箱に、捨てた。

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