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オレも奏ちゃんの目の前にチョコンと座る。眼前の奏ちゃんに鋭い視線で見下ろされながら、オレはゴクリと生唾を呑んでシャツのボタンに手をかけた。 ひ、独りでって、目の前に奏ちゃんが……。ああ、視線が痛い……。なのに、な、なんか興奮する……! わあああ、なんだよ、オレって、オレって! これじゃまるで……へ、へんた……! オレはシャツを脱ぎ捨て、Tシャツを捲る。心臓の音がこれでもかってくらい煩い。一度大きく息を吐くと、意を決して自分で自分の乳首を摘まんでみた。 「ん」 口元から小さな声が漏れてしまう。 目の前の奏ちゃんの顔を見ないように俯いて、今度は両手で摘まんで転がす。 「あんぅ」 自分で触れながらも、オレは奏ちゃんの指先を想像していた。段々と、呼吸が荒くなる。奏ちゃんの視線を胸元に感じながら、奏ちゃんの吐く煙の端っこを視界に入れながら、オレの股間は帆を張り始める。きつくなったジーンズを尻の下まで下ろすと、下着の上部に顔を出しかけるその先はもう濡れている。 オレは右手でその熱くなった茎を掴んだ。 ヒクっと体が波打つ。左手で乳首をいじりながら、右手で上下に扱き始める。 「んんんん、あっ」 恥ずかしいのに、声が出てしまう。奏ちゃんは何も言わない。ただずっと、オレのことを見ている。それを感じると、いつも独りでしているのとはまったく違う感情の昂りに驚く。 恥ずかしい……。なのに、もっと見て欲しい……。奏ちゃんに見てて欲しい……。 「ああっ、ん!」 熱が体中に廻り、奥から込み上げてくる快感に汗が噴き出す。くちゅくちゅと右手の中で水音が響き出す。高みに昇る電流はオレを壊していく。 「ああ、奏ちゃん!」 オレの口からは熱い吐息とともに愛しい名前が零れ出る。それと同時に胸の奥から大きな塊のような感情が込み上げる。 目の前が滲み、堪え切れなくなったオレは思い切って顔を上げた。涙で歪む世界の向こうに、真剣な目でこちらを見続ける奏ちゃんが居た。 「奏ちゃん、奏ちゃん、奏ちゃん!」 オレは何度もその名を呼ぶ。 目の端から涙が溢れ、零れ落ちた。奏ちゃんはそんなオレから目を逸らさない。 「奏ちゃんっ、奏ちゃん! ああっ!!」 ビクビクっと体が跳ね、オレの切先から白濁が散らされる。 「ふぅ、はあ、はあ……、」 オレは大きな息を吐くと脱力しながら蹲った。 「……ううっ、ひく、あう、ぐしっ」 すべてを出し終えると、今度は涙が止まらなくなっていた。恥ずかしさと自分の浅ましさと奏ちゃんが好き過ぎてもうどうにかなりそうな自分が怖くなって、どんどんどんどん涙が溢れて止まらない。 すると、頭上の奏ちゃんがやっと声を出した。 「おまえさぁ、独りでヤるとき、いつもオレの名前呼んでイってんの? マジ、引くわー」 奏ちゃんの言葉に、オレは大声で泣き出した。 「ううぅ、あぅ、ひくっ、あああ……っ」 震えるオレの背中に何かが触れる。それは奏ちゃんの大きな手のひらだった。奏ちゃんは温かくてごつごつした硬い手のひらで、ゆっくりとオレの背中をさすりだした。 「ううっ、あああああああ」 その温かな感触が余計にオレの涙を溢れさせた。自分の出した精液で右手をベトベトにしたまま嗚咽を漏らして泣き続けるオレの背中を、奏ちゃんの手のひらは何度も何度も行き来し、泣き止むまでさすり続けてくれた。

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