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みかんを食べ終えると、奏ちゃんはすぐさまオレの肩に手をかけた。 「あっ、ふ」 みかん味のキスをしたあと、オレは奏ちゃんのベルトを解いて前立てを寛げる。現れた半勃ちになってる茎を軽く手で扱いたあと、唇を寄せた。 「んっ」 奏ちゃんのこもった呻き声が好きだ。でも、我慢しないでもっと大きな声出せばいいのに。 オレはジーンズをずり下ろして四つん這いになると、片手で自分の後孔を解しながら、奏ちゃんの反り返った茎に舌を這わせ続ける。 「奏ちゃん……」 ちらりと視線を上げ、その名を呼んだ。目を瞑って感じ入ってる奏ちゃんがますます愛しくなる。くびれた先を咥え込み、キュッと吸い上げると、奏ちゃんの味が口いっぱいに広がった。 「も、だめだ、挿れさせろ」 「わわっ」 奏ちゃんは咥えていたオレを強引に押し倒し、両脚を抱え上げた。熱く湿った浅い呼吸をしながら奏ちゃんがオレの中に分け入ってくる。 「ああっ!」 ぐいと入り口を押し広げられ、熱塊が突き進んできた。オレの中が奏ちゃんでいっぱいになる。 この瞬間がたまらなく幸せ……。 「……くっ」 奏ちゃんは激しい律動をオレの体に刻みつける。 「んっ……、そ、奏ちゃん……っ」 「なんだ?」 目の前の奏ちゃんに呼びかける。奏ちゃんは心がどこかに行ってしまってるような声で返事をした。 「奏ちゃん、い、一度でいいから、嘘でいいから、オレのこと好きだと言って?」 オレはずっと心に願っていたことを口にしていた。 「みかんが好きってくらいの気持ちでいいんだ。いや、いっそ気持なんか込めなくていいから……」 奏ちゃんの動きが次第に止まっていく。 「ただ、言葉だけでいいんだ。オレの心の中に奏ちゃんの声で、好きって言葉がもらえたら、それだけでこれからも生きていけるから」 奏ちゃんはゆっくりとオレの顔を見下ろした。そして口を開いた。 「……おまえ、真正のアホだろ」 冷ややかな声でそう言うと、奏ちゃんはオレの中から出ていった。 「な、なんで、やめるの?」 オレは焦って奏ちゃんの肩を掴んだ。その手が力いっぱい振り払われる。 「奏ちゃん!?」 奏ちゃんは下着とジーンズを穿きながら携帯電話を繰り出した。 「あ、吉田(よしだ)? オレ。これから暇? おう、そうそう。ん、そこで、じゃ、またあとでな」 「奏ちゃんっ! や、待って! 奏ちゃん! 奏ちゃんっ」 追い縋るオレのことなんか見もせずに携帯電話を閉じて着替えを済ませると、『バタンッッ』と容赦ない音を立てて、奏ちゃんはそのまま部屋を出て行った。 「なんで……?」 涙が溢れてくる。 奏ちゃんがオレのこと好きじゃないのはわかってる。気持ちまで要求してないのに。ただ、『好き』って言葉だけでいいのに……。どうしてそれもくれないの? オレは独りきりになっただだっ広いベッドで朝まで泣き伏した。

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