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それから小一時間ほどしてオレたちはいつものラブホに居た。 「ほんとにほんとに今日はごめん!」 オレは奏ちゃんに何度目になるかわからない謝罪を繰り返していた。 「ああ、もううぜぇから。謝るくらいならオレを口でイかせろ」 「うん!」 元気に返事をし、オレは奏ちゃんのジーンズのジッパーを下ろした。 ああ、また奏ちゃんに触れるなんて! オレは奏ちゃんのまだ柔らかな茎にむしゃぶりついた。口に含み舌を使って先端を弄ると、それはたちまち芯を持って勃ち上がってくる。 「……っ」 奏ちゃんが息を詰めた。奏ちゃんの好きな場所は全部知ってるつもりだ。 根元を手で擦りながら、舌で裏筋を伝い、先端をつつくと一気に熱く、太く育つ。 咥え込んで上下に唇で扱くと、堪えきれないように奏ちゃんの手のひらがオレの頭を押さえ付けた。 「ん……っ!」 「……ちっ、くそ……っ」 喉の奥に硬い茎があてがわれ嗚咽が込み上げた瞬間、奏ちゃんの熱が弾ける。 「……っん! こくっ、ごく」 オレは奏ちゃんの出したものをすべて飲み干した。 「奏ちゃんっ」 急いで口元をティッシュで拭い、寝そべった奏ちゃんの隣にオレもくっついて横になった。 「もちっと離れろや」 その肩に頬を擦り寄せると、オレの頭を嫌そうに押しやる奏ちゃんに必死でしがみつく。 「いやだ! ホントは抱きついたまま寝たいのに! ね、腕一本でいいから貸して?」 「ざけんな」 「お願い! 今日は奏ちゃんの腕を抱いて寝るっ」 「おめぇ、馬鹿じゃねーのか?」 「馬鹿でいいもん!」 「……っ、勝手にしろ」 根負けした奏ちゃんの左腕を抱き締める。太い二の腕を頬で感じたり、ごつごつした節くれだった指に自分の指を絡ませたり、口元に持ってきてはペンキの付いて取れない指先にキスをした。 「オレ、奏ちゃんの手、すごい好きだ」 本当は奏ちゃんが好きだって言いたくて堪らないけど、またメンドクサイとか言われると怖いからそう言って誤魔化す。こうして一緒に過ごせるだけでオレは幸せだよ。オレのこと好きかはわからないけど、オレは奏ちゃんのことが好きで好きで堪らないよ。それを言葉にしちゃだめなのかな。 「ねえ、奏ちゃん?」 オレは奏ちゃんの顔を振り仰いだ。けど、奏ちゃんは目を瞑ってすでに規則正しい呼吸を始めていた。 仕事だったもんね、疲れてるよね……。 枕元にある電灯のスイッチを押すと、フットライトを残して部屋が暗くなった。だけど暗闇に浮き上がった奏ちゃんの横顔があんまりにも綺麗で、オレは思わずその長い睫毛に触れてみた。すると、寝ぼけた奏ちゃんの腕が鬱陶しそうにオレの手を払い退ける。 「奏ちゃん……」 奏ちゃんの名前を囁きながら左耳に三列に並んだピアスに口付ける。その耳元でオレの想いは零れ落ちた。 「好きだ……。奏ちゃん、好きだ……」 オレの言葉は淡く光ってオレと奏ちゃんを照らし、滲んで暗闇に溶けていく。 「おやすみ。奏ちゃん」 オレも目蓋を閉じた。

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