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「おまえが男とホテル入ってくの見えたから、ここで煙草吸ってた」
「なっ! 待ってたの?」
「いや? 煙草吸ってただけ」
「だって、に、二時間は……」
そう言いかけると、奏ちゃんは饐えたような匂いのする薄暗い路地にクイッとオレを連れ込み、乱暴に壁に押し当てた。
「な、なに、するの? 離して? オレたちもう会わないって言ったよね? オレが他の男と寝たってどうせ奏ちゃんは……」
「ツベコベ抜かしてんじゃねーよっ!」
奏ちゃんの罵声に思わず首を竦める。怯えた眼差しでその顔を見上げると、凄みのある鋭い目がオレを睨み下ろしていた。
「航、おまえさぁ、どんだけ淫乱なわけ?」
呆れ果てたような溜息を吐くと、奏ちゃんはオレのベルトをカチャカチャと外し始めた。
「ちょ、奏ちゃん!」
焦って止めようとしたオレの右腕は荒々しく掴み上げられ、力任せに壁に叩きつけられる。目の前の奏ちゃんの瞳は何も感じない冷え切った金属みたいだった。
「い、痛いよ、奏ちゃん!」
「おまえ、オレの一本じゃ足りねぇんだ?」
「あっ」
「うわ、まだ柔らけー。生々しっ」
奏ちゃんは棘のある声音で言いながら、ジーンズの尻のほうから手を差し入れ、オレの窄まりに一気に指を沈めていく。
「ああっ、そ、奏ちゃん!」
「何、もうヨガってんの? この、淫乱! どスケベ!」
「ち、ちがっ……、んんん!」
オレは目蓋をギュッと閉じ、その乱暴な手淫に耐える。
これなら佐伯さんの愛撫のほうがまだマシだよ……。
鼻の奥にツンとした痛みを感じ始める。
「そんなに他の男ともヤりたいんならあの男、もう一回呼んでこようか? 三人、なんてのも面白いかもな?」
奏ちゃんは嘲るように笑うとオレの肩を掴んでひっくり返し、壁へと向けさせる。そしてジーンズと下着を一気に引きずり下ろした。
「や、やだ、こんなとこで! 奏ちゃんっ!」
声が震え出すのが自分でもわかる。
「ふざけんな! おまえにこんなとこもクソもあるかっ!」
「ああああっ!」
奏ちゃんの杭が一気にオレを突き刺す。たまらず上げた声を塞ぐかのように奏ちゃんの左手の中指と薬指が口に突っ込まれる。
「あぅ……そ、そ……」
オレの舌を掻きまわすように二本の指が口の中を蹂躙し、口元からは唾液が零れた。その間にも奏ちゃんの抽送は激しさを増していく。
「いい加減にしろよ? おまえホントに馬鹿じゃねーの? いっぺん、死んでこいっ!」
滾るような熱塊で何度も何度もオレの襞を擦り上げながら、奏ちゃんは荒い息を首筋にかける。
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