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「奏ちゃーん!! 会いたかったよぉ」
いつものラブホで、扉を開けて走り込んできた航が、オレの寝そべっているベッドにダイブする。
「っぶねえなあ」
そのままオレの腰に腕を回し、頬を擦り寄せてきた航を足で引き剥がした。
「ひどいよぉ、奏ちゃん! 一ヶ月ぶりなのに!」
航はうらめしそうな顔をしつつも今度はオレの脚にしがみつこうとしている。
どこから走って来たのか、そのこめかみには汗が光っていた。一ヶ月ぶりに見る航は相変わらず生っちろくて、嬉々とした黒い目でオレを見上げている。
もしこいつにしっぽが生えてたら、今、千切れんばかりに振ってんだろうな……。
そんな想像をして思わず口元が緩みそうになり、オレは視線を逸らして煙草を口に運んだ。
「二日も早く帰って来ただろうが」
「そうだけど! でもすげー寂しかったんだもん。あ、奏ちゃん、すごい日焼けしたね! 」
「ま、外の仕事だかんな」
「それになんか逞しくなった!」
「そんなことねぇけど」
「いや、絶対一回り大きくなった気がする! もしかして仕事、楽しかった?」
オレは煙を吐き出しながら師匠の元でやった一ヶ月間の仕事を思い返す。
近藤さんたちとやる、お客さんと身近な仕事ももちろん好きだが、師匠のとこでやった仕事は規模がでかくて、学ぶことも多かった。
それに色んな業種の人たちと力を合わせて一つの工事をやり遂げた充実感は、すげーでかかった。
「そう、かもな」
オレの返事に航は嬉しそうに頷くと、急に何かを思い出した顔つきになる。
「ああっ! 昨日、せっかく画像送ったのになんで無視すんのさ!」
「あ? 画像?」
……そういえば、航にエロい画像送らせといて、その後、近藤さんと話し込んですっかり忘れてたな……。
「何その顔! もしかして忘れてたの? 放置プレイなの!? オレ、あのあと収拾つかなくなって、ひとりで抜いたんだから!」
航が頬を膨らませながら、オレの顔に近づこうと腕を伸ばしてもがいている。しかしオレはまたそれを足でゲシゲシと追いやる。
「へえ、どうやって抜いたんだ?」
「え?」
途端に航の顔が真っ赤になった。
「見せろよ」
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