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瞬間、航の体が強張った。 さらに「あっ」と小さく声を漏らすと、何度か全身を痙攣させる。 え? なんだ? 気づくと、オレの手の中は航の白濁でぐっしょりと濡れていた。 「ご、ごめんっ! 奏ちゃん!」 航は謝りながら勢いよく起き上がると、枕元のティッシュを急いで数枚引き抜いてオレの元に戻って来る。 そして焦った手付きでオレの手のひらを拭き始めた。 オレはあっけにとられた表情で航の顔を見つめる。 「あ? もうイったのか?」 「う、うん……。だって、その……、奏ちゃんがエッチの最中にオレの名前、呼んでくれたのって初めてで……」 航は耳まで真っ赤にしながらオレの手を拭き終えると、ベッドの上に正座して、握り締めた拳を膝の上に置いて俯いた。 「ぶはっ」 オレが名前呼んだだけでイくってどんだけなんだよ……。 呆れたように笑うと航が恐る恐る顔を上げる。 「……奏ちゃん、怒ってないの?」 「怒るかよ、ばーか。でもちっと引いたけどな」 「ええーっ!奏ちゃんっ!」 泣きそうな顔でオレの腕にしがみ付いてきた航をそのままベッドに押し倒し、噛みつくように唇を合わせる。 「んんっ」 航は声を漏らしながらもオレの舌に自分のそれを必死に絡めてくる。 ああ……、こいつ……こんなんなら、もっと早く、いっぱい呼んでやりゃあよかったな。 そう考えながら航の両膝を高く持ち上げると、とっくにはち切れそうになってるオレのものをねじ込んでいく。 「ああっ!」 航が悲鳴に近い喘ぎを漏らす。 白い肌は斑に赤く染まっている。 眉を少し歪めながら、涙をいっぱいに溜めた熱っぽい虚ろな瞳がオレを見上げた。 くそ、なんて目でオレを見るんだ、こいつは……。 薄く開いた口元からは熱い吐息とともに唾液が零れ落ちている。 「うわ、おまえのその顔、えっろ」 オレは航の零れた唾液を舌先で舐めてやると、腰の動きを強めた。 航の中はこれでもかってくらい熱い。 「あんっ、奏ちゃん、奏ちゃん……っ!」 航のオレを呼ぶ声が堪らない。 その声がオレをより強い快感へと運んでいく。 オレは激しく腰を打ち付ける。 「航」 そしてオレも、耳元でその名を呼んでやる。 「ああ、奏ちゃん、奏…ちゃ……!」 航の顔を見ると、声を聞くと、その体に触れると、胸の奥が掻きむしられる。 もっともっと酷くしたくなる。 オレがヤりたいのは、おまえだけなのに。 揺らされるたびにオレの名前を呼び続ける航の中に、オレもその名を呼びながら、思い切り白濁を吐き出した。

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