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『奏ちゃんへ オレは奏ちゃんと離れることになって気付けたことがたくさんあります。 オレは奏ちゃんが仕事を頑張る姿が好きです。 奏ちゃんは夏に師匠さんとこに行ってから本当に仕事が楽しくなったみたいで、オレはそんな奏ちゃんを応援したいってずっと思ってました。 だから修行に出ることができて本当によかったと思ってます。 これからは遠く離れた場所に居る奏ちゃんの頑張ってる姿を想像して、オレも負けないくらいに頑張ろうと思っています。 ……って、なんか大人ぶって書いてみたけど、本当は直接奏ちゃんに言ったら怒られることを最後にどうしても伝えたくて、手紙を書こうと思ったんだよ。 オレは奏ちゃんが好きだよ。 好きで好きで好きで、堪らないんだ。 奏ちゃんの傍に居ると今でも胸がドキドキするし、奏ちゃんの手の感触や奏ちゃんの煙草の匂いやオレの名前を呼ぶ少し掠れた声を思い出すたびに、オレはもう泣きそうになる。 こうして奏ちゃんのことを思い出しながら手紙を書いてるだけで、胸の奥が痛くて痛くて堪らないよ。 でもオレはこうやって、いつだって奏ちゃんに自分の気持ちを押し付けてたね。 押し付けといて、奏ちゃんに無理やり好きだって言ってもらおうとしたり、ひとり空回りして他の男と寝たりして……。 奏ちゃんはオレが好きだっていうたびに辛い顔をしたよね。 奏ちゃんがオレを好きじゃないことはわかってたのに、本当にごめん。 だけど、やっとわかったんだ。 奏ちゃんはオレの気持ちをただ嬉しく受け取ってくれればいいんだよ。 オレの気持ちに応えられないからって残酷に思う必要はないんだよ。 この世界に誰よりも何よりも奏ちゃんを好きな人間がいるってことが、少しでもこれからの奏ちゃんの支えになったら、オレはそれだけで救われるんだよ。 怒らないで読んでね。 オレはずっとずっと奏ちゃんだけを愛してる。 さようなら                                      航』

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