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*** 闇に浮かぶ明るい空港は、今にも飛び立ちそうな宇宙船のように見えた。 国内線ターミナル前に横付けたトレーラーの助手席から、オレは勢いよく飛び下りる。 「ありがとな、吉田。仕事気ぃつけて行けよ!」 「航くんによろしくなっ!」 手を振る吉田に右手を上げてすぐに走り出す。 『やっぱりよぉ、おまえの気持ち、伝わってねーんじゃねぇの?』 走りながら、オレは車中で言われた吉田の言葉を思い出していた。 「くそっ!!」 吐き捨てるように自分自身に悪態を吐く。 ヤってる最中に名前呼んだだけで、あれだけ悦んでたんだぞ? あいつにとって言葉にすることがどれだけ重要か、オレはわかってたはずだ。 それなのにオレは今まで何してたんだ? あの女の血が流れてるから?  師匠んとこで修行したら?  何ビビってんだ、オレ? 自分のことばっか考えて、あいつにここまでさせて、やっと決心がついたオレは最高にカッコ悪りぃ……! 『好きだ……奏ちゃん、好きだ』 前にオレが寝ちまったと思った航が、耳元で切なげに囁いた声が蘇る。 あの時、航は泣いていた。 それなのにオレはあいつに何も言ってやれなかった。

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