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第13話 聖夜

X'masの日、飛鳥井の家はパーティーとなった 康太はサンタの服を着て………髭は…… ソファーの上に捨ててあった 酸素を取っただけあって…口の回りに何か有るのは嫌みたいだった 榊原は青っ鼻のトナカイの姿をしていた ……………ちょっと待て! 一生が騒いでいた 「旦那!それじゃあサンタのお供のトナイじゃねぇじゃん! トナカイはピンクい帽子は被ってねぇぞ!」 榊原は、知らん顔して 「僕の妻がこのキャラクターが好きなんです! 僕は愛する妻の為に、せっせと頑張ったのに!文句は受け付けません!」 妻の為と言いつつ…楽しんでる榊原だった 榊原は、慎一の双子の子供にプレゼントを渡し、自分の子供を抱き上げると、口吻けた。 「翔!来年の君はどんな顔して喜んでくれるんでしょうね。」 濃いピンクのハットを被った青っ鼻のトナカイは、翔を父、清四郎に渡し微笑んだ 「とうさん。僕の息子の翔です。」 清四郎は翔を榊原から渡されると、抱き締め……頬にキスした トナカイの姿をした息子が……サンタの妻を連れて清四郎の所へやって来た 「清四郎さん オレと伊織の息子の翔だ。 今日は来てくださってありがとうございました 大晦日前には引っ越しが出来ますね 初詣は一緒に行きましょう。」 康太はそう言い、暑いのか、サンタの服を脱ぎ捨てた サンタの服の下は、Tシャツとショートパンツ姿だった 榊原の頑丈な腕が……康太を抱く 「merryChristmas!愛してる伊織。」 康太は榊原を見上げ……キスをねだった 榊原は屈むと康太の唇にキスを落とした 「merryChristmas!愛してます康太。」 熱々の夫婦の姿が……そこにあった 玲香は、清隆と仲良く飲み、X'masを楽しんでいた 瑛太は回って来た翔を抱き締めていた この先も……父親とは名乗らず生きていく この子を誰よりも愛してやろう…… 叔父として……康太と共に……愛そう…と改めて心に誓った 京香は、あの日から変わった 顔付きも変わり……仕事も始めた 飛鳥井建設の蒼太の穴を埋めるべく、その部署で手腕を奮っていた 翔を玲香と京香で、見る事となり…… 京香は、午前中仕事を片付け、午後から子育てや食事の支度をする 玲香は、午前中子育てをしつつ、仕事を家で片付け、午後から会社へ出勤する フレックスタイムを導入して、手分けして子育てをしている この日のX'masの用意も京香がした 清四郎は、この日初めて瑛太の嫁と対面し……余りの美しさに…驚いた 翔は………この女性が産んだのだ… 我が子を……腕に抱きつつも親とは名乗れぬとは……… それ等の事情も含めて、清四郎は孫を可愛がろうと心に決めた X'masには、隼人と菜々子も飛鳥井の家に来ていた 隼人は……顔付きがまた変わった 大人の……苦しみや哀しみを知った……男の顔になってきた 仕事も再開して……菜々子の治療費は自分で支払っていた 隼人は菜々子に寄り添い笑っていた 今年は……音のないクラッカーを引いて、テープで飾ったり……楽しんでいた 康太がウェディングケーキを花菱デパートで特注して買って来た。 菜々子の為に買って来たウェディングヴェールを…………、康太は被せた 暑くて脱いだサンタ服を着て、康太は笑ってケーキ入刀しろよ!とナイフを渡した 菜々子は………泣いていた 泣いて……ケーキに入刀した そしてケーキを切り分けて、お皿に移す頃 康太は兵藤の家へ逃げ出した 「コオを連れて、兵藤んちへmerryX'mas言って来るかんな!」 と、逃げた 兵藤んちのドアベルを鳴らすと、兵藤が出て来た 「号泣のサンタなんぞ、見たことねぇぞ!」 兵藤が康太を抱き締め……家の中へ招き入れる 「亭主はどうしたよ?」 兵藤はコオを抱き上げ、頬ずりをした 「子供を見てる……」 「産まれたんだよな?」 「泣くな……康太……X'masに号泣サンタなんて……愛しすぎる。」 兵藤の腕が康太を抱き締める 「オレが死んだら……どうする?貴史…」 兵藤は、ギョッとした顔して康太を見た そして康太の頬に手を遣り 「お前を亡くすのか……? それは許せねぇよ康太! 約束したろ?俺を見届けると。」 そっと康太の唇に接吻した 「すまん貴史……オレは逃げて来たんだよ… 見れてらんなくて……逃げて来た…… すまねぇ…………オレは帰る。」 「もう、泣くなよ……。 お前が泣くと…… 総て捨ててお前を自分のモノにしたくなる 今も……これからも……愛するのはお前だけ……愛を捧げたのは……お前だけだ……」 「貴史……」 兵藤は、康太から目を離した 見ていたら……止まらなくなりそうだから…… 「コオは賢くなったな お前に懐いてる」 「コオは飛鳥井の一員だからな ならオレは帰るな。merryX'mas貴史。」 「気を付けて帰れよ merryX'mas康太。またな。」 ……康太は兵藤の家を後にした 兵藤は康太の姿を見送り……堪えた その手で抱いてしまいそうだったから…… 兵藤の、家を出ると、家の前には榊原が立っていた 「伊織……。」 榊原は康太のサンタの衣装の上にコートを着せた 「帰りましょう。」 榊原は優しく康太を抱き寄せた 「すまねぇ。 オレは堪えきれず……逃げた。」 「良いですよ。 君が……泣いたら……父が心配しまくりますからね……」 「伊織……ごめん。」 「謝る様な事をしたんですか?」 「貴史と?それはねぇよ 分別は有るからよ貴史は 謝ったのは逃げたした事……」 「泣きそうだから逃げたんでしょ?」 康太は頷いた 「毎年、貴史にはmerryX'mas言ってるかんな。言いに言ったのもある。」 榊原は、足元のコオを抱き上げ胸に収めると、康太の肩を抱き締めた 「皆、康太を待ってますよ。」 「うん。帰ろ。なぁ伊織……」 「何ですか?」 「ありがとう オレの伴侶は……やはりお前だけだ……昔も……今も……。」 「僕以外の伴侶など存在はしませんよ。」 榊原は優しく微笑んだ 「伊織、愛してる。」 「なら帰ったら、ベッドへ直行ですね。」 「それも良いな なんたって今夜は聖夜だかんな 恋人達にある……時間だ。」 「僕と君の上にも。 一生と力哉、聡一郎と悠太の上にも…… 世界中の恋人達の上に……至福の時間が齎されます様に……」 「オレはお前とオレが幸せなら……後はどうでも良い。」 康太はそう言い榊原に、抱き着いた 榊原の胸の中のコオが康太の顔を舐めた 「………伊織。コオに舐められた……」 「後で僕が君の全身舐めてあげますから我慢しなさい。」 榊原は微笑んで康太を促した 飛鳥井の家へ戻ると……皆が康太の心配をしていた 康太はサンタの服を脱ぐと、ソファーに座る榊原の膝の上に……座った そこには……何時もと変わらぬ……飛鳥井の光景が在った 瑛太は康太と榊原の胸に、翔を抱かせた そして………康太と榊原と翔の三人を抱き締めた 「私は命に変えて、お前達を守ろう。」 瑛太はそう言うと……優しい瞳で見詰めた 清四郎は、康太の側に来て 「妻が妊娠してます もう7ヶ月になります 康太に妊娠してあげます…と、言った直ぐ後に妊娠が解りました。 高齢出産ですからね、出産まで仕事をせずに入院してます。」 康太は知っていた 白馬に来た時は……もう定着していた 悪阻の最中だった…… 最近……顔を出さないのも……極力外出は避けているのだ 「清四郎さん……オレが貰ってしまって後悔しませんか?……」 中々言い出せなかったのは……迷っていたのも有った 妻が苦労してお腹の中で育てた子供を…… 康太に……養子に出すのは寂しさがあった だけど、妻はその為だけに妊娠して……日々を過ごしている 「後悔がないと言ったら嘘になる……」 「清四郎さん……真矢さんのお腹の中の子は双子だろ?」 「えっ…」 清四郎は、驚愕の瞳で康太を見た 「オレは清四郎さんの所で育てても良いと思ってる 双子を離すのは気が引ける……」 「康太……」 「真矢さんが優しいからオレは甘えた でも双児を離す訳にはいかねぇかんな 諦めるしかねぇと思ってる……」 「康太……それでは妻が……必死に康太に渡す為に育てている意味がなくなります……」 康太は困った顔をして……清四郎さん……と名前を呼んだ 榊原が康太に助け船を出した 「母さんの気持ちは母さんしか解りません 今此処で話をしていても……仕方ありませんからね 明日、御見舞いに行きましょう 父さん、何処の病院ですか?」 榊原は、清四郎に聞いた 清四郎が答えるより早く康太が 「京香の入院してた病院だよ 今隼人の彼女が入院してる病院 院長は、お前に言ったろ? 榊清四郎さんのご親族ですか?って。 榊原で清四郎さんが出るのは、即ち……そこに入院しているからだ。」 榊原は驚いた 京香を迎えに行った時にはもう……入院してたと言うとか…… 「清四郎さん苦しむな。 オレは清四郎さんを苦しめて……幸せなんて手に入れたくねぇ。 誰かを苦しめて手に入れる………果てなんて要らねぇ!」 康太は言い切り、翔を持ち上げると、応接間を出て行った 榊原は父親に「明日、一緒に御見舞いに行きましょう。 父さんは今日泊まって行きますか?」と問い掛けた 清四郎は、頷いた 「なら、父さん。寝室に行きますか? 子守りをして眠って下さいね。 僕は…妻と聖夜ですからね、愛し合うつもりですから、お願いしますね。」 榊原はちゃっかり子守りを頼み、康太を抱き潰す算段をしていた 清四郎は苦笑して「子守しますよ。」と言い榊原と共に立ち上がった 翔は、あまり夜泣きはしない、手の掛からない赤ん坊だった 榊原は3階の自室に行くと寝室の横の部屋を開けた 清四郎が来るから、泊まらなくても用意だけはしておいた その部屋にオムツとポットと乳カンと哺乳瓶を置き、ミネラルウォーターを置いた そして寝室に翔を取りに行くと、清四郎に渡した 榊原は寝室の鍵をかけると、ベットの上の康太を抱き締めた 「康太……どうしたんですか?」 「オレの果てが悉く狂ってる…… 亜沙美は………近いうちに産気付く… 琴音は早すぎる定着……… 真矢さんの所は双児………… オレの瞳が狂ったのか……果てを狂わされたのか………」 康太はそう呟くと押し黙った 榊原は………果てなく続く康太の思考を…… 断ち切る為に……激しい接吻を送った 「聖夜に無粋な考えなど止めなさい さぁ僕を見て………そして感じなさい」 康太は榊原を見た 優しいけど、優しさの中に情熱的な熱を内に秘め欲情していた……康太はじっと見詰めた 「伊織……お前がいるから……生きていける……」 「僕も君がいるから生きていけます 君が逝く時が僕の命日です」 榊原は、康太の服を脱がせ……自分の服も脱ぎ捨てた 産まれたままの姿になって…… 交わり1つに繋がる 愛する男と………深く繋がり 至福の一時に………求め合う 眠りに着くまで…………康太は榊原を受け入れた そして深く………眠りに落ちた

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