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第24話 想いの先

朝、目を醒ますと、目の前に榊原の顔と一生、聡一郎の顔があった 三人は康太の寝顔を、ずっと見ていたみたいだ…… 「あんだよ? オレの頭の毛でも無くなったのかよ?」 康太が言うと、榊原や一生達は笑った 「君が痛そうに魘されてたから… 心配になってたんですよ。」 「今、何時?」 「朝の7時少し前ですよ。」 「伊織…」 「何ですか?」 「頭を…洗ってくれよ… 血生臭くて…嫌だ。」 「洗って大丈夫なんですか?」 「解らねぇ…」 「今日、病院に行った時に聞きましょ?」 「臭いもん…オレ、獣みたいな臭いしてんもん…」 康太は泣きそうに呟くと… 一生が「洗ってやってくれよ!」と頼んだ 聡一郎は「瑛太さんに聞いてきます…」と言い走って行った 暫くすると瑛太が走ってやって来た 「康太…血生臭いのか? 伊織…洗ってやってはくれぬか? 今日、病院に康太を連れて行ってはくれないか? 私は会社に行かねばならいのでお願いします。」 瑛太は、榊原に頭を下げた。 そしてその手には救急箱が握られていた 榊原は、康太の包帯を外して行くと……!! 額の上の方が…20センチ位縫われていた よく見れば…首筋や体にも血糊が着いている 昨夜は気にならなかったが…… やはり獣みたいな臭いで、榊原に抱き締められたくない… 瑛太が病院に電話すると、防水コーティングしてあるから 軽く傷口以外を洗うのは構わないと、言われた 榊原は、康太を抱き上げ…浴室に向かった 脱衣場で服を脱がせ、榊原も服を脱いだ シャワーで体を濡らし、血糊を流して行く ボディーソープをスポンジに着け、康太の体を洗う。 康太はトリミングされてる猫の様に、気持ちよさげだ 軽く体を洗うと、榊原は座り膝の上に康太を座らせ…頭を…洗った 「痛くないですか?」 「ん。痛くねぇ…」 軽く頭を洗い、シャワーで流すと、バスタオルで包み込んだ そして浴室を出ると、歯を磨いた 病院に行く準備をしながら、洗濯物をドラム式洗濯機に放り込んだ 康太の頭を傷に気を付け…ドライヤーで乾かす 康太は榊原に、抱き着いた 「ハゲになっても…別れないでくれる?」 康太は本気でハゲたら…… 嫌われると思っているらしかった 「例え君がツルツルになっても僕は愛せる自信はあります。」 「伊織…」 康太は榊原の口腔に舌を差し込んで…… 絡ませた 濃厚な接吻へと…なるのに…そんな時間はかからなかった… 康太はトロンと蕩けた顔をして…榊原に抱き着いた そして……静かに榊原から離れた 榊原の下半身は…反応していなかったから… 私服を着せて貰い、部屋を出ると、康太はリビングに出て、ソファーに座った 榊原も支度をして来ると…康太と共に、キッチンへ向かい、朝食を食べた 食事を終えると、応接間に行き、榊原の来るのを待っていた 「飽きちゃったかな…オレの体に……」 康太は……ごちた 誰もいない部屋に…康太の呟きが…悲しく響いた 慎一に逢いに、榊原の車に一生や聡一郎らと乗り込んだ 飛鳥井の主治医のいる病院に行くと 渋々、5分だけ面会させてもらえた 康太の頭の治療が終わると、慎一のいるICUへと、向かった 消毒に、マスクと、エプロンみたいなのを着けさせられ、ICUに行くと… 酸素を嵌められ…色んな機械を着けた慎一が眠っていた 指の先から全身…包帯を巻かれ…顔は腫れ上がり…黒く変色していた 想像以上の……重傷さに………皆は押し黙った 康太は慎一の包帯だらけの手を優しく撫でた 「慎一、一生も聡一郎も来てるぞ… 頑張れ……慎一……生きろ……」 康太は慎一の耳元で励ました そして、5分の面会を終えると、康太は医者に慎一の病状を聞いて帰る事にした 康太は飛鳥井の家に着くと…… 一生の背中におぶさり、榊原は、康太を一生に頼んで3階の自室に戻って行った 康太は眠そうに…応接間のソファーに寝そべった。 「康太…、どうしたよ?」 「ん?疲れただけだ」 「そうか。無理すんなよ」 「ん。そうする オレ、寝てくる……」 康太は3階の自室に戻ると、服を着たままベットに入り、目を閉じた ……………気が向けば…抱いてもらえるかな? それとも…… 心配かけ過ぎたからな… 嫌われたら……生きて行けない… 伊織…オレはお前の愛を惹き付けてられる? 伊織…呆れてしまってる? 伊織… 伊織… 康太は…眠りに落ちた 一生が、榊原に「また来てるぞ…アイツ…」と溢した 榊原は、ため息混じりに「また…ですか…」と呟いた 聡一郎が「伊織が、ちゃんと断らないからじゃないのか?」と榊原を睨んだ 「断ってますよ! この家にも来て貰っては迷惑だと言いました!」 一生は「困ったな…」と呟いた その時、寝室のドアが開いた 康太は…寝室から出ると…一階まで降りた 榊原や一生、聡一郎は慌てて…後を追った 康太が玄関を開けると、観月は、立っていた 康太は馬鹿にした様に嗤うと 「別れた男にストーカーか?憐れだな…」 「お前だって遊ばれてるだけなのに…憐れなのはお前だろ?」 「オレは別れたとしても…ストーカーには成り下がらねぇぜ!」 康太が言うと榊原は、康太の横に立ち 「迷惑です! 今後一切、飛鳥井に来ないで下さい! 来れば警察に突き出します!」 ピシャッと言い放った 「色んな男を抱いて来た榊原伊織が、飛鳥井に婿養子かよ!」 観月は悔し紛れに言い放った! 「伊織が、選んだ相手を…ストーカーの君に、とやかく言われる筋合いはないでしょ? 帰りなさい! 飛鳥井の方々に迷惑が掛かります! 帰らねば警察に電話します! 二度と飛鳥井に現れるんじゃありません!」 怒声が聞こえ…後ろを見ると、榊清四郎が翔を抱っこして、怒気を露に立っていた 榊原が「父さん…」と言うと 清四郎は、不愉快そうに、観月を見た 観月は…慌てて…走り去って行った 「伊織、今の男は何なんですか!」 飛鳥井の方々に悪いと…清四郎は、息子に強く当たった 康太は清四郎の手から、翔を受け取り笑った 「清四郎さん、オレの伊織は男前だからな、モテるんだよ。」 康太が言うと、清四郎は、康太の包帯に優しく触れた 「慎一の御見舞いに… 明日、一緒に行きます。」 「清四郎さん……」 康太が言い淀むと、一生は、清四郎を飛鳥井の家に招き入れた そして応接間へと、通した 康太は榊原の膝の上に座ると…榊原の首に腕を回した 「清四郎さんは…見ない方が良い… 慎一は…清四郎さんの見てきた面影すらねぇ…。」 康太は…清四郎に慎一が……拷問に合い… 顔は変形し……爪は剥がされ…顔は…元に戻るか…解らねぇ… と、話すと、清四郎は言葉を無くした 「オレは何年かかっても…… 何十年かかっても…慎一を元に戻してやる! それがオレの決意だ!」 康太が言うと、清四郎は、 「ならば、私も慎一に逢います。 康太を主と定めし人間の見舞いに行くのは当然です。」 と、決意の言葉を述べた そして、康太の包帯に…触れると… 「君の怪我は?どうなんですか?」 と、労りの言葉をかけた 「縫ったので…無理は…出来ない。 ハゲになったら…… 清四郎さん、カツラを買って下さい 伊織に嫌われてしまう…」 榊原は、膝の上の康太の頬に優しく口吻けると 「嫌いませんよ。」と囁いた 康太は嬉しそうに笑うと、榊原の膝の上から降りた その言葉だけで………満足だ…… 康太は清四郎と、楽しそうに談笑した そして、瑛太や玲香、清隆が、戻って来ると、清四郎も交えて夕飯を食べた 清四郎は、夕飯を食べると、自宅へ帰って行った 康太は3階自室に戻り…… 寝室のベットで寝転んだ 頭の出血以降、怠くて直ぐに…眠くなる… 康太は…うとうと…眠りに落ちた 榊原は、眠りに着いた康太を見て………溜め息を着いた 頭の傷は開きやすいから…セックスは禁止と…医者に言われた 開けば…縫い直すのに入院だって…脅された こんな怪我してるのに…この下半は…時々暴走しそうになる 押さえるのに…一苦労していた 頭の中に方程式を思い浮かべ…冷静さを保っていた 康太の服を脱がせ…榊原も服を脱ぐと… 康太を抱き締め…榊原も眠りに落ちた

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