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第27話 紡ぎ行く明日

一生との話が終わると、康太は榊原を呼んだ 榊原は、優しく微笑むと、運転席に座った 慎一の病院へ向かう 途中で聡一郎を拾い、病院に向かった 康太は病院の途中にある花屋で… 車を停めてくれと、榊原に頼んだ 榊原は、花屋の前で、車を停めた 康太は……車から降りて花屋へ入っていった 店員にエリーの花束を注文すると… お見舞いに逝くのでエリーの花束を作って欲しいと頼んだ 康太の注文通りエリーの可憐な花束を渡された 康太はお金を払うと、その花束を貰い…店を出た そして車に乗ると、榊原が 「花束ですか?」と尋ねた 「あぁ。エリーって名前の薔薇の花束だ。」 榊原は……絵理…だから、エリーか……と、その意図に気付いた 康太は……こう言う細かい気配りが出来る人間なのだと…榊原は、改めて感心した 康太は自分の母親でさえ、髪型を変えたら 「似合ってるよ。母ちゃん。」と言う 会社の受付嬢には 「今日も綺麗だね。デートか?」 とか、 「その口紅の色は新色だね。」 とか、極め細かい心配りが出来る人間だった 飛鳥井の主治医の病院の駐車場に着くと、康太は車から下り歩いて逝く 花束を持った…康太は目立った 康太は気にするでもなく、慎一の病室へと向かい…ノックをした 「どうぞ。」と慎一の声がする 康太は薔薇の花束を抱え…慎一に近付くと… 慎一は…康太を凝視した 「康太…何故…エリーを?」 「やはり。知っていたか……」 康太はそう言い…慎一に…花束を渡し…… ……慎一に抱き着いた 「ならば…絵理…久宝絵理が…この世を去ったのも…承知か…」 辛い…質問を…慎一にせねばならない… 「知ってますよ 久宝の親が…和希と和馬を引き取る話も出てましたから…。」 「生きていたら…お前の世話をさせたかった…。」 「絵里の両親からは自殺と聞きました 俺と別れて直ぐに…家に戻された…… それ以降…精神を病み…自分を責め… 自殺を繰り返し…とうとう天に召されたと…お前の所為だと随分責められました…。 向こうの弁護士からは、和希と和真を返せと謂われてました その後……久宝の家が…震災で…倒壊し…ご両親もなくなられて…って、聞きました。 和希と和馬が、遺産相続人だって言われました。」 康太は…そうか……と、聞き…後は何も言わなかった だが……ふと、気になり…質問をした 「久宝の…親類は…いるのか?」 「います あそこの家はかなりの資産家です…。 遺産が欲しいのはウヨウヨいますが…」 「ヤバイな…和希と和馬が狙われるかも…」 戸籍を施設から緑川にした事くらい調べれば直ぐに解る事だった 「………!!嘘…!それは嫌です…」 「一生、伊織と共に牧場へ行き、双子を飛鳥井へ連れて行ってくれ。」 康太は病室を出て非常階段のドアを開けると、スマホを取り出した 相手は…天宮東青 飛鳥井の顧問弁護士だ。 「東青、月曜の朝、戸浪海運の会社に来てくれ 認知の書類を持って来てくれ。 後、緑川に養子に入れた和希と和馬だけど、遺産争いに巻き込まれたら困る…手はないのか?」 天宮は、認知は承知しました。と言い、 和希と和真の件は…緑川綾香が親権者ですから…法律上は…手出しは出来ないでしょう? と、述べた 「でもな、東青…何故か気になってオレが調べあげたって事は… 分岐点に差し掛かっていのかも知れねぇ… 強硬に出られたら困る…対処してくれ…。」と頼んだ 天宮は、承知しました。と述べ…電話を切った 「弥勒!弥勒!」 康太は空へ向けて…声をあげた 『双児か?』 弥勒は康太の覇道を受け止め…総てを知り、総て詠む 「そうだ! 慎一の子を守ってくれ! 大人の汚い欲望に汚されない様に守ってくれ! オレも今から式神を飛ばす。 何か有れば…オレはそいつ等を許しはしねぇ…!」 『承知した!』 慎一の身に…分岐点に差し掛かっているのではなかったか…… まさか…双児の身に…… 康太は式神を綴り…飛ばした 飛べ… 双児を守るべく…飛んで行け… 康太は…空を見上げ…双児に覇道を合わせた 親の縁の薄き子供に… これ以上の…苦境は…酷であろう ……閻魔………よ… 双児の魂を狩るのなら… オレは…貴方を…討ちに…向かいます… この命を賭して……… 貴方を…消し去る…焔に成り下がる 康太を呼びに来た聡一郎は……… そっと……康太を抱き締めた… 「康太……」 「聡一郎……心配すんな オレは消えねぇよ。」 「当たり前です!慎一が心配してます。」 「解った。」 康太が病室に戻ると慎一が心配した顔をしていた 「そんな顔すんな オレがお前のモノを守ってやる。」 康太が慎一を優しく掻き抱くと 慎一は…康太を抱き締めた 「貴方が!無茶する方が! オレは気掛かりです!」 康太は笑った 康太は慎一と聡一郎を抱き締め…… 双児の元へ向かった榊原に想いを馳せた… その時…康太の体に衝撃が走った… 康太はその場に蹲った 式神を飛ばした… その式神に何か有れば…自分に返る… 康太は…その体を焔に染めて…怒っていた 『康太!止め!人に非ず輩に堕ちるな!』 弥勒の声が響いた 慎一が必死に康太に飛び付いた 「あの日と…同じ焔に包まれて… 何処へ行くと言うんですか!」 「慎一、離せ…」 「嫌です!」 康太は…その焔を沈めた… そして髪の毛を抜くと…再び…式神を綴った その手から飛ばし…覇道に合わせた そして!康太は…門倉仁志に電話を入れた 「門倉!助けてくれ!」 康太の声は鬼気迫っていてた 『何処へ行けば…宜しいのですか?』 康太は…緑川牧場の近くの地名と道路を述べた 『そこでしたら、近い 行きます。』 「緑川一生と、オレの恋人の榊原伊織がいる! 助けてくれ!」 『貴方は、そこにいなさい! 俺が行って貴方の手足となり助けます。』 門倉は電話を切った 康太は、通話ボタンを切った そして、慎一を抱き締めた 「何処へも行かねぇから…寝ろ。」 慎一の体を撫でて…落ち着かせた 康太を優しく抱き締める…一陣の風が吹くと…康太は…龍騎と、呟いた 『苦しむでない……康太… 慎一殿の怪我は…我妻、桃香が気を飛ばします…だから、堕ちるな!康太…』 「桃香は、妊娠中だろ? 力を使わせるな 」 『そんなに無理はせず、気を飛ばします… せめて顔だけでも治して…… 双児に逢わせて遣りたいのです…』 紫雲の…優しさが……康太を癒す… 康太は…「龍騎…」と名を呼んだ 『皆が……康太の側にいたいと願ってる… そんな皆の気持ちを解ってやれ…』 「龍騎…解ってる…」 『嫌…お前は何時も解ってないではないか… 食べてはいけぬキノコを、こっそり食べて死にそうになったり 飲んではいけないと言われた甘露酒を飲んで…意識をなくしたり…』 延々と続きそうな康太の恥辱を言われ、康太は紫雲の名を呼んだ 「龍騎!もう良いってばよぉ…」 『無茶しないと約束なさい。』 「しねぇよ。オレには亭主がいる 仲間がいる 家族がいる 此処がオレのいる場所だかんな 何処へも行かねぇよ。」 『ならば、良いです もうじき伴侶殿が来ます 外に出てた方が良いだろ…』 「ありがと、龍騎。」 一陣の風は…康太に纏い…すり抜けて行った 康太は病室を出て、駐車場を抜け 病院の敷地外の道路に出て行った すると物凄い編隊を組んだ…暴走族が…康太の横に止まった 榊原の車を守るように…門倉のバイクが着いていた 門倉はバイクを停めると、康太の方へ歩いてきた 「貴方の要望通り、お連れした。」 「世話を掛けた…門倉…。 本当にありがとう……」 康太は……涙を浮かべ…門倉に頭を下げた 「謝らなくて良い… 貴方の役に立てるなら…俺は本望。」 門倉は康太の頭を上げさせ…抱き締めた 「遼一さんの様に、貴方の役に立てる人間になります。」 「ならば、飛鳥井に来るしかねぇな 待ってんぞ門倉…。」 門倉は何も言わずに…微笑むとヘルメットを被った そして……一斉に走り出し…通り過ぎて行った 榊原の車が駐車場へと、入って行く 康太は…走ってその後を追った 榊原が車を停めて降りると、康太は榊原に飛び着いて…泣いていた 「良かった……」 康太が榊原を見ると…瞳から涙が溢れた 榊原は康太を抱き上げると…目蓋にキスを落とした 「危なかったですが、君が門倉を呼んでくれたので助かりました 最初…暴漢に襲われ…次は暴走族か……と思いましたが、門倉でした 暴漢を追っ払った後に、康太に頼まれたと、言っていました。」 「オレの式神を…壊された…だから… 心配してた…。」 「…………康太…君の式神って、タヌキですか……? タヌキなら…暴漢から僕達を守ってくれ…飛ばされ消えました…」 「仕方ねぇんだよ! 人の形に飛ばすのは…髪の毛が沢山要るもんよー…ハゲたら嫌だし… タヌキなら髪の毛…一本で飛ばせるし… ハゲたら…瑛兄が植毛してあげますって言うけど…不本意だもんよー。」 榊原は、笑って、康太を降ろした 車の後部座席には…一生が和希と和馬を守って座っていた く?と聞いた 「病室に一旦連れて行く 」 と康太が言うと、一生は、おい……と言葉を上げた 「桃香が気を飛ばして顔だけなら治してくれた…顔だけな…。 だから、逢っても怖くはねぇと思う…… 一生、ちょっくら見てきて、OKならドアを開けてくれ ダメなら聡一郎にダメって来させろ。」 一生は、了解!と言い、走って病院の中へ入って行った 康太は和馬を、榊原が和希を抱き上げ、病院の中へ入って行った 「和馬、重くなったな。」 康太が言うと、榊原も「和希も重くなりましたよ。」と言った 子供の成長は早い。 康太が病室に着くと、一生は、顔を出し 「顔はOKだな。良いぞ!」と、言った 康太は病室に入った すると、腕の中の和馬が父へと行きたがり、康太は和馬を下ろした 「和馬、お前の父は怪我をしている 優しく抱き着け…。和希もな。」 と言うと、頷き、和希も榊原の腕から降り… 慎一の所へ走って行った 「とと。とと。」 和希が泣く…我慢してたんだろう… 我慢強さは父親似か… 「とと。いたい?」 和馬が慎一を撫で…泣いていた…やはり 二人は我慢強い…父親似だ 慎一は、父親の顔をして…双子を撫でていた 康太は、病室を出ると非常階段のドアを開けて外へと出た 「東青か?双児が襲われた。動いてくれ」 と、開口一番…言うと、天宮は 『解りました。久宝の親類を片付けねば、事態は悪化して狙われるので完全に叩く必要があるでしょう! その間双児は?どうしますか?』 「飛鳥井に持っていくしかねぇだろ?」 『飛鳥井ですか…? 双子は…飛鳥井より、適任な場所が有りますが?』 「何処だよ?」 『落ち葉を隠すなら森の中…って言うじゃないですか? 双児を隠すなら、双児の研究所でしょ? そこには、随時、10人以上の双児がいます 国の研究機関ですから、安心です 双子を観察している研究所 24時間観察して研究所ですので、セキュリティも確かで、押し入るのは不可能 しかも研究と言っても、痛いことをするんじゃなく、生態の実験みたいなので、私の妻の綺麗がそこの研究員です 片付くまで、そこの方が安全かも知れませんよ? 飛鳥井に押し入られたら…昼間は源右衛門1人…。危険では有りませんか?』 天宮に言われ…康太は、押し黙った 「ならば、連れに来い 飛鳥井の主治医の病院だ 病棟の二階の階段の前の病室だ、頼むな」 『解りました。妻と共に向かいます。』 康太は電話を切ると、病室に戻った 「慎一、和希と和真を飛鳥井の弁護士が連れて行く 遺産相続がカタを着けるまで、牧場には戻せねぇ 東青の妻が、双子の研究をしてるらしい。 そこへ一旦預ける 飛鳥井は昼は源右衛門1人… 双児にかかる危険は回避出来ねぇ そこの職員も来るから説明を受けて決めろ」 康太が言うと、慎一は 「貴方が、そこが安全だと踏んだのでしたら、そこへ連れて行く方が賢明 俺はこの二人が生きていてくれれは、堪えられます。」 「慎一……。」 「綾香さんは大丈夫でしたか?」 慎一は、綾香の心配までしていた 一生が「俺等が出る時に母さんは、白馬に行くように、康太が警察に頼み込んでくれ、保護してくれた 警察が白馬まで届けてくれる 大丈夫だろ?後で電話を入れる」と答えた 「後じゃなく今連絡しろよ! 俺の事で綾香さんに何かあったら…お前に顔向け出来ねぇだろ!」 慎一は、怒鳴った 一生は、病室から出て行った 暫くして天宮東青が、物凄い美人を連れてやって来た 「天宮綺麗と申します 宜しくお願いします よっ!康太!元気だったか?」 口を開かなきゃ美しい女性が、康太に声をかけた 「今日も男前だな、綺麗。」 「この私、自ら来てやったんだぜ!」 「伊織、この女性は名ばかりの東青の妻だ 綺麗、オレの伴侶だ。」 「またこの!イケメン好きが!」 綺麗が康太にうりうりすると、康太は迷惑そうに笑った そして、綺麗は研究者の顔をして、和希と和馬を見た 「一卵性でも、此処まで双児の一卵性は珍しい… 鏡を見てる様だ…。 康太の大切な宝の子供だ! 傷1つ、着けずに返す! 約束する! 生態を研究させて貰いたい 器具を着けたり、薬を打ったりなんて、しない 約束する! 我等は双児のメカニズムを研究している 頼む、預からせてくれ!」 綺麗は頭を下げた 慎一は「俺の子供を傷付けないなら…良い エリーの忘れ形見だ…、無くしたくない…」と、刹那く言葉にした 綺麗は慎一を抱き締めた 「神の与えし双児を、この私は傷付けたりなどしない。約束しよう。」 「…………ならば、良い。」 綺麗は無線を出すと「迎えに来い!」と命令した すると、待機していた職員が…花柄のエプロンに身を包み、保母さんみたいな格好をした二人がやって来た 「和希くん、お姉さんと、行こうね。」 「和馬くんは、このお姉さんと行こうね。」 と言い、抱き上げた。 そして、パパにバイバイしょうね。と、言い、病室から連れ出した 「ではな康太。また食事をしょうな。」 「あぁ。」 綺麗は康太を抱き締め…帰って行った 康太は天宮に「妻と一緒だと東真がまた逃げ出す算段するぞ… それでさえ真也の経緯を嗅ぎ回ってるってのにな ……永遠に無くすぞ…?良いのか?」 とキツい一撃を食らわせた 天宮は、青褪めた

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