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第28話 お節介な康太

天宮は「康太君……。」と呟いた 「見たくねぇのにな! どうやら、お前も分岐点に差し掛かってにいるみてぇだな …逃げ出す算段をしてるのは、桜林の3年B組の天宮東真 お前の息子だ あんな所にお前の息子がいたとはな… まぁ、お前のじゃねぇがな 綺麗が惚れた歌手の皆川真也の子供だが… 妊娠が解って…お前は惚れた男の子が欲しいと綺麗に言った 綺麗はそれを飲んでお前に東真を渡した なんともまぁ複雑な世界だな。」 康太は、天宮から見た経緯を…話すと… 寸分違わず言い当てられ…改めて康太の力を見せ付けられた 「東青、お前は真也に惚れてるのか? 東真に惚れてるのか?そこが知りたい…。」 「真也が好きでした あの男の…人を惹き付けて病まない所を愛して病まなかった。 アイツの子を綺麗が妊娠して…欲しいと思った 綺麗は承知してくれ入籍した 離婚しないのは、婚姻してる方が社会的な信用を得られるから、互いに離婚はしてないが、愛情はない 今は…私が育てた東真を愛して病まない……だけど、あの子には…嫌われてるからな かと言って……父親にもなれない 貴方に見られてしまうとは…不覚でした」 「東青、オレが見える時言うのはな、お前の人生の岐路に立っている時なんだよ お前が岐路なのか、東真が岐路なのかは知らねぇが、お前達二人が岐路に直面してる どっちに進みたいか…解らねぇから、オレは見る 適材適所、配置する為に、オレの目は、それを見る お前は東真を無くせば…生きる屍…だな そして、東真は…ヤケクソで堕ちる… 帰路だな お節介焼いてやんよ。 だから、お前は…覚悟を決めやがれ! 逃げんな! 見たくもねぇ、お前等のエッチなんぞ見せやがって! 東青、お前…抱くのにも…理性が有りすぎ… あれなら、性欲の処理にか捉えられねぇわ… ひでぇ……。 犯ったら、ピロートークもなしに、寝るのも許せねぇし!」 天宮は「スミマセン…」と小さくなった 「東青、お前は東真に愛されてるか知りてぇか?」 「はい。それだけは…聞けませんから…」 「なら、明日の晩、お前んちに行く 東真の帰る前に必ず帰って来い!」 康太はほくそ笑んでいた 「伴侶も共に行くぞ 一生、聡一郎、お前等も行くか?」 榊原が康太の背後に立つと、その腕で康太を抱き締めた 榊原の腕に収まった康太の視線がが、天宮を捉えて突き抜ける 一生は「帰りはファミレス奢りな。」と乗り気だ 聡一郎は「デザートも着けて下さいね。」と行く気満々だった 康太は榊原に、腕を伸ばすと、榊原は康太を抱き上げた 「ならな、東青 お前を今、軌道修正せねば、使い物にはならなさそうだからな。」 天宮は「そうですか……。私の家は解りますか?」と納得して康太に聞いた 「お前の覇道を捉えるかんな 手繰り寄せればオレに解らねぇ事はねぇ オレは飛鳥井の真贋だからよ!」 「解りました。では明日の晩に。」と、頭を下げた 「東真はバイトしてんだろ? 8時半までバイトだから、9時前にはお前んちに行く。」 「えっ!バイト?嘘???」 「お前の家を出るには金が要るからな。」 「えっ!………そんなぁ…」 「お前は…愛情すら確かめねぇで、エッチしてるから、そうなんだよ。」 康太はそう言い、榊原にキスした 「無くしたくねぇなら、愛してる!って言わねぇとな!」 天宮東青…38歳…初めて直面した苦悩だった 翌日、康太は3年B組を訪ねた このクラスでも…飛鳥井康太のファンは多かった… 飛鳥井康太、緑川一生、四宮聡一郎の三人が…クラスに来たからパニックになっていた 康太は、天宮東真の前に立つと 「ツラ貸せよ!」と言った 不敵に笑い、挑戦的な瞳に…ムカッとして 「何か用かよ!」と言い捨てた 「用があるから、来てんだよ! 一生、連れて来て差し上げて。」 康太が言うと、一生は東真を羽交い締めにした 「一生、空き教室まで持って来い」 康太はそう言い、クラスを出ると空き教室まい行き、椅子に座った すると、一生に羽交い締めされて東真が連れられて来た 良く見れば…歌手の皆川真也に酷似した顔をしていた 「天宮東真!オレは東青を貰うぜ!」 康太が宣戦布告すると……東真は顔色を無くした 「勝手に持ってけば良いだろ! だけど、お前は執行部の鬼が、恋人じゃねぇのかよ!」 「東青が、オレから鬼を引き離した オレは東青のモノになった さて、お前はどうする?」 「嘘だ!親父は真也しか愛してねぇ! お前なんか愛せねぇ!」 「オレの体を知れば、真也なんて、どうでも良くなんだよ オレの体は男を虜にするからな ならな、一応、話は通した。」 「勝手にしろ!あのクソ親父!」 東真は走って逃げて行った 一生は「お子様だな……。 感情と顔がリンクしてるやん あんな単純なお子様相手に…天宮は悩んでんのかよ!」と溢した 聡一郎も「天宮が好きなの丸解りでしょうに……。何で解らないかが不思議です。」とボヤいた 康太は「脈がバシバシ有るじゃん! 親子なんて禁忌の世界か…。 オレは父ちゃんとはエッチ出来ねぇな…。」と呟いた するとヒョイと体が持ち上げられた 見てみると榊原が、康太を持ち上げていた 「当たり前でしょ 君は僕のですからね。」 「伊織!」 康太は榊原に抱き着いた 「飛鳥井の家の回りに、不審者がいて 父が警察に通報したと連絡が有りました」 榊原が清四郎からの連絡を伝えた 「偵察か?かなり切羽詰まってる?」 康太は榊原の腕から降りると、思案した 「久宝は、オレに所縁がねぇからな 見えねぇだよ… オレに所縁があるか、飛鳥井の為に動く人間しかオレは見えねぇ…。 困ったな…動きようがねぇな。」 康太がそう呟くと、榊原は 「一生、君の母親は大丈夫ですか?」と訪ねた 「俺の母親は康太が白馬に隠してくれた」 榊原は「そうですか。」と安堵した 「形振り構わずですか……。」榊原はごちた 聡一郎が思い出した様に 「久宝の一族は、先の震災で多大な損害を被りましたからね どんな事をしてもお金が欲しいんでしょうね 和希と和真を亡き者にすれば、遺産は入って来る訳ですからね…。」 「聡一郎、久宝寺の一族がいる土地は? 何処だ?」康太が尋ねた 「宮城です。」 康太はニャッと、笑った 「双子の相続金額は?」 「推定、300000000越え。」 一生が「3億…越えるのか!」と声を上げた 「倒壊した家は?」 「更地にして…勝手に…何やら建てて…警察が出ました。」 聡一郎にそこまで聞いて、康太は納得していた そして、康太は榊原に 「天宮の家に行くまで時間がある 帰らねぇか?」と持ち掛けた 「良いですよ。 何処へ行くつもりですか?」 「トナミ海運。 家に帰って車で向かう。」 「なら、帰りますよ。」 榊原は、先に出てクラスに戻り鞄を取りに行った 聡一郎が康太と一生の鞄を取りに教室まで戻った そして、康太と一生に鞄を渡すと 一階まで降りて、下駄箱で下履きに変えて、外に出た すると、榊原が現れ、四人は学校の外に出た 飛鳥井の家まで戻り、榊原の車に乗り込むと、康太は戸浪海里に電話を入れた 直通の戸浪の携帯に電話を入れると、戸浪が出た 「若旦那、少しだけ時間あるか?」 『有りますよ。会社に来ますか? それとも私が出ましょうか?』 「会社に行く。待っててくれ。」 『では。お待ちしています。』 康太は電話を切った トナミ海運の駐車場に車を止めると四人は社内に入って行った 会社に入ると受付の前に、戸浪の秘書の田代が康太達を待っていた 「康太さん お久しぶりです」 田代に迎えいられ康太達はエレベーターに乗り最上階へと向かった 田代は社長室の前に逝くと 「田代です!お連れ致しました!」と声をかけてドアを開けた 社長室に迎えられ、ソファーに座ると康太は 「若旦那、宮城の土地は要らねぇか?」 と単刀直入に切り出した 戸浪は…溜め息を着いた… 「貴方は…私に盗聴器でも着けてるんですか?」 「オレにはそんな機械は要らねぇよ。 オレは飛鳥井の真贋、機械より精密だ。」 「そうですね 貴方にはそんな機械は不要ですね。」 康太は微笑み話題を変えた 「オレに仕える緑川慎一は、知らねぇよな若旦那?」 「双児の番犬は…議員の三木さんから聞きました 一生が増殖してた…と興奮して話してましたから…。」 康太は隣に座る一生を抱き締め、 「一生の腹違いの兄になる オレを主と定め仕えてくれる人間なんだがな アレの子供が遺産相続に巻き込まれ…命を狙われてる。 助けてくれねぇか?」 康太の言葉に…戸浪は言葉を無くした 「久宝って名を知ってるか?」 「名家ですからね。知っております。」 「久宝絵里…それが双子の母親の名前だ 慎一と愛し合い…駆け落ちして双子を産んだ後…逝去した 絵里の父親は久宝松太郎。」 「久宝松太郎!!!」 「相変わらずの見込みが早ぇな 助かる。 で、久宝一族が双子を…血眼になって探してる… 遺産を継ぐのは…一人娘が亡き後は…他に子供がいないから、双子のみ。 だが一族は…何処の馬の骨か解らぬ輩の子供に財産を渡したくなんかねぇ! 消し去る算段だった。」 「で、その双子は?」 「国の機関で双子のメカニズムを調査している研究所に預けた 枯れ葉を隠すなら森の中…だと、弁護士が言ったからな。」 「ならば、双子の命は安全ですね。 で、貴方は私に何をさせたいのですか?」 「久宝の倒壊した家を…お前は借り上げ…事務所を建てろ その土地の地価で良い 双子の金として使わせてやりたい うちの弁護士が今、手続きしてる そしたら、久宝の財産は全部、双子に渡す 今は使えねぇが、何時か…渡してやる そして、双子の生活費は、若旦那、事務所を建てた賃貸料として緑川に払ってくれねぇか とてもお得で、誰も損しねぇ一挙両得だろ? 乗らねぇか?若旦那?」 「乗りますよ 乗らさせて下さい。 私の会社も宮城に支店が欲しかった 貴方は私が土地が欲しい時期に現れて… その土地を手にいれろと囁く。」 「若旦那とオレの仲じゃねぇか オレはお前の為なら…多少の危険も顧みず、手助けしてやんぜ! その価値が、若旦那には有るからな。」 「康太、久宝の弁護士には私が話を着けて引かせます 所で…双児の番犬は…一緒ではないのですね」 「慎一は、今、入院してる 危うく死ぬ程の重傷を負った まぁ。慎一を傷付けた奴は…この世にはいねぇけどな。」 康太は……背筋が凍る程の残忍な笑みを浮かべた 「ならば、一度、逢わせて下さい。 正式な書類を作成します。」 「解った 若旦那、月曜日は…一生も来る 良いか?」 戸浪は康太の顔を見て……一生の顔を見た 「ならば、私は妹の手から…一生に子供を渡してあげましょう… 妹は子供を渡した足で…一旦海外に渡ります。 その後、トナミ海運の副社長の席に座ります」 「ありがとう若旦那 一生に誠意を見せてくれて…ありがとう。」 「貴方が…私に見せてくれる誠意に… 此方は添いたいと想うからです。」 戸浪は…一生に深々と頭を下げた 「戸浪の…血筋は何時か…入れ換えねばならぬ 飛鳥井の様に…… でも今は…妹は戸浪の歯車の中にいる 出せは出来ぬのです 許して下さい……」 戸浪海里の苦悩が伺えれた 「一生は納得した それで話は終わってる。 若旦那は…悩まなくて良い 飛鳥井康太の子供として生きて行く定めだったのだ 戸浪と飛鳥井はより、強固になる その礎になる子供なのだ それが定め。」 戸浪は…押し黙った 「それでは、月曜日に。」 「あぁ、総ての書類を弁護士が作成して持ってくる オレに子供をくれて、ありがとう。 この先、戸浪に…外の血が要る時は…力になるだろう。」 戸浪は「この後、何か予定は有りますか?」と尋ねた 「夜の9時まで時間は有る。」 「ならば、ランチでも行きましょう。 田代。予約を取りなさい。」 と、秘書に予約を取りに行かせた 「制服だが大丈夫か?」 「構いません 暫しの休息です。文句は言わせません。」 戸浪は、田代が来ると、立ち上がった 「私の車の後ろに着いて来て下さい。」 榊原が「解りました。」と、答え、立ち上がった 康太も一生も聡一郎も立ち上がり、社長室を後にした 駐車場まで行くと、榊原の車の前に、戸浪は車を着けた そして、先に走ると、榊原は後を走った 車は…中華街へと走る 康太は…当分…この景色を見たくはなかった 「康太?どうしました?」 康太は曖昧に笑って「別に…」と、返した 戸浪の車が…中華街でも一番大きな店の駐車場へと停まった 車から降りて戸浪は康太達を待った 康太達が…車を降りると、戸浪が店の中へと誘う 戸浪が店の中へと入って行くと、店員全員が出迎え…頭を下げ 「いらっしゃいませ、戸浪様 」 店の奥から…その店のオーナーも顔を出した そして、康太の姿を見て…オーナーはほくそ笑んだ 「オーナー、今日は、大切な方をお連れした 美味しい料理でもてなしてはくれぬか?」 オーナーは、戸浪に会釈をすると 「解りました。御待ちしておりました。」 とテーブルへと案内した そして………康太の椅子を引いて…座らせた 「戸浪様が、康太様とお知り合いだとは…。」 オーナーは、そう言い、康太の頬にキスをした 戸浪は驚いて「お知り合いなのですか?」と康太に聞いた 「暁慶…良いのかよ…。」 「構いませんよ。この店は私の店です。」 戸浪は………絶対に誰にも呼ばせないオーナーの『名前』を呼んでいるのに驚いた だが戸浪は、そこには触れずにおいた 人当たりの良いオーナーだが…裏に回れば… 非合法な人間だと…言われる… 知り合いなのだとしたら、全うな…方法ではないから…… 「康太、此処の料理は最高に美味しいんですよ。」 「そうか。楽しみだな。」 料理が出て来て、康太はあまりの美味しさに…旨い旨いを連発し 榊原は「僕の知ってる中華料理は…何だったんでしょう…」とまで謂わしめた 一生は「何処までも食える!」と言い、食いまくり 聡一郎は「涙が出る程美味しいです。」と目頭を押さえた 「若旦那、こんなうめえ所に連れて来てくれてありがとな。」 「たまには良いでしょ 私も此処の料理は大好きです。」 食事が済むと、オーナーからです。と言われ杏仁豆腐が差し出された 食事が終わると、李 暁慶 が現れ 「お口に合いましたか?」と尋ねた 康太は「すげぇ旨かった。こんなに旨い所は、始めてだ。」と絶賛した 「喜んで戴けて、オーナー冥利に尽きます」 と、頭を下げた 戸浪の秘書の田代が、料金を支払いに行くと、戸浪は立ち上がった 「それでは、月曜日に。」 康太に頭を下げて、戸浪は歩き出す 店の出口に暁慶が立っていて、康太を見送った 康太は片手を上げて…暁慶の横を通り過ぎて行った 駐車場で車に乗る時、戸浪は康太に軽く頭を下げ、帰って行った 康太は車に乗ると、溜め息を着いた 「だから、中華料理は嫌だったのに…」 榊原の車が、走り出す… 「康太、何処へ行けば良いんですか?」 榊原が康太に問うと、康太は榊原に飛鳥井の会社の近くにある白いデカいビルに行ってくれ…と、告げた 一生が「まだ早くねぇ?」と尋ねた 康太は榊原の腕時計を見ると、まだ午後8時位だった。 「でもな、半端なんだよ…時間が…。」 思案して…いると、クラクションが鳴らされた 榊原は、路肩に車を停めた 榊原の車の後ろに、瑛太の車が停まった 康太は車から飛び降りると、瑛太に飛び付いた 「瑛兄、どおしたんだよぉ。」 「何処へ行ってたんですか?」 「戸浪の若旦那に中華料理を食わせてもらってた。 亜沙美の子供が産まれたよ 来週、家に迎える それと、慎一の双児が狙われてたから、天宮に逢ってた 9時前にも、逢う約束なんだよ。」 瑛太は「そうなんですか。お茶でもしますか?少し時間あるでしょ?」と言った 「伊織に聞いてくる。」 康太は瑛太の腕から降りると榊原の所へ行った 「瑛兄が、お茶しねぇか?って。」 「良いですよ。この近く限定にしてもらって下さいね。」 榊原が言うと、瑛太が顔を出し 「解ってます。行きましょう。」 瑛太は機嫌が良かった

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