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第45話 守る‥
康太は……想いを乗せた隼人の…声を拾った…
その瞬間…
魂ごと…隼人の…側へと…自分を飛ばした…
下手したら…この命は…尽きてしまう…
危険を覚悟して…康太は…魂を飛ばした
聡一郎が失踪した時に…
弥勒が康太の魂と共に康太の幻影を飛ばした…
あれを……誰の力も借りず…やった…
康太は…自分で自分の魂を…飛ばし、隼人の側へと向かった
弥勒が…慌てて止めるのを…
振り切り…
紫雲が…阻止しようとするのを…
聞きもせず…
康太は…隼人の側へと…
魂を飛ばした…
唯…側にいてやりたいと言う…
想いが逸り…
康太は…隼人に…逢いに行く為に……
その魂を…飛ばした…
康太は…キッチンで夕飯を食べていた…
その時…隼人の声を拾い…
康太は…その瞬間…その体から…抜けて出た
榊原が慌てて…倒れる…康太を支えた…
家族は…突然の事で…何がおこったか理解が追い付かず、慌てて……救急車を呼ぼうとした
その時…飛鳥井の家の呼び鈴が鳴らされた
慎一が出ると…弥勒高徳と紫雲龍騎が立っていた
弥勒は、飛鳥井の家族に…頭を下げると
「康太は…魂を飛ばして…隼人の元へと行った…!
下手したら…この体に…二度と再び…戻れぬや知れぬリスクを…恐れもせず…
止めるのも聞かず…行ってしまった。
伴侶殿…康太の体に厚着をさせて車に乗せてくだされ。
俺と龍騎を…青森の竜飛岬まで連れて行って下され。スノータイヤを履かせて…。
冬支度して行かねば…辿りは着けませぬ。
早く!早くお願いだ!」
弥勒と紫雲の顔は蒼白になっていた
それだけ‥‥事は急を要していると謂う現実があった
榊原は一生に康太を預けると、部屋にコートと毛布を取りに行った
そして、部屋から戻ってくると康太を毛布で包み…コートを慎一に持たせた
「力哉、龍騎さんと、一生、聡一郎、慎一を乗せて着いて来て下さい!
僕は弥勒を乗せて道案内してもらい、康太を乗せて走ります
途中でタイヤをスパイクに履き替えさせるとして、行きますよ!」
榊原は康太を抱き上げた
駐車場に出て、車の助手席の椅子を倒し…
康太を寝かせた
そして、後部座席に弥勒を乗せた
榊原は唯…黙々と…走った…
高速に乗る前に…タイヤを履き替えて…
榊原は、高速に乗った…
「こーた……。オレ様は…どうしたら良いのだ…」
泣き崩れる…隼人は…体の上に…雪を積もらせ…白く埋まって…行った
その時…体に…ふっと…温もりを…感じた…
隼人は…体を起こし…辺りを見渡した…
すると…康太が…隼人の………
体を…抱き締めていた
『隼人…泣くな…。
オレの側に帰って来い…
お前は親になったのだろ?
…音弥は…お前の戸籍に入ったぞ
お前は…父親だろ?
…我が子を…その手で…抱き締めてやれ…』
「できな…オレ様には…むり…」
『オレが側にいてやる…。
お前を拾って…育てたのは…オレだぞ?
お前の…居場所は…オレの側にしかないんじゃねぇのか?』
「こーた…!康太…!
オレ様は…例え何処に居ようとも…お前の側へ行きたいと…涙が出るのだ…。
奈々子の…側へ行こうと…思っても……!
オレ様は…康太に逢いたくて…仕方がなくなるのだ!
何故だ!オレ様は…どうして良いのか…解らない…こーた…解らないのだ…。」
『ならば、この命…くれてやろう…。
どの道…無茶をして…飛ばした魂が…体に還れるか…解りはしない…
お前が…逝きたいのなら…共に逝ってやろう…。だから……泣くな…』
「康太!それは嫌だ!それは…ダメだ…」
『お前が…泣いていたから…オレは体を捨てて…来てしまった…。
お前の…側に来たが…お前を助ける事は…出来る…。
最後の力を振り絞って…誰かを呼ぶ位…してやれる』
「嫌だ!康太が死ぬならオレ様も死ぬ!
康太のいない世界に…オレ様は!生きていたくないのだ!」
『ならば…生きろ…。オレは…お前を…迎えに来た…』
康太が…優しく抱き締めてくれ…
隼人は…寒さを感じなかった…
康太の……暖かさか…身に染みて……
隼人は…意識を…手放した…
隼人が…目を醒ますと…
心配そうな…顔をした…
慎一がいた…
一生がいた…
聡一郎がいた…
でも……康太の姿と…榊原の姿が…なかった
隼人は…飛び起きた
「康太?……ねぇ、康太は?
何処?……康太は何処?」
隼人は…一生に掴みかかり……叫んだ
「康太の意識は…ねぇんだ!」
「えっ…嘘……」
「今…飛鳥井の菩提寺に…榊原が連れて行ってる…
弥勒と紫雲が…一緒に行ってる…。
瑛太さんも…行ってる…。
康太が…死んだら…あの人は…逝く気だ…。
榊原も…」
「康太が死んだら…オレ様も…逝く…」
隼人が言うと……一生は、隼人を殴った!
「ふざけるな!
誰の為に…康太が命をかけたんだよ!
その命を粗末にするな!」
「一生…。すまない…オレ様が…弱虫だから…」
「隼人…康太は…お前を…誰よりも愛さなかったか?
お前の為に…迎えに行かなかったか…。
後ろを…見るな!
もう振り返るな…。
お前は…それでも…生きていかねぇと行けねぇんだ…。解るな?」
隼人は…頷いた…
「康太の側にいたい…。
康太の手を取って…今度はオレ様が康太を呼ぶ…。
だから、連れて行ってくれ…一生頼む…」
「お前は…まだ無理だ…。」
「無理でも…死にそうでも…例え死んでも…オレ様は行くのだ…康太の側に…。」
一生は……隼人を抱き締めた
「ならば…連れてってやる…」
康太の魂は…隼人の体に………
折り重なり…隼人を…守り通して…
魂が…薄く透けてしまっていた…
弥勒は…康太の体に…魂を、入れても…駄目だと判断して…
紫雲に黄泉まで…康太の魂を……
持って行かせた
女神は…康太の魂を預かり…紫雲に帰れ!と告げた
康太の…体を…飛鳥井の菩提寺に…連れて行く様に…榊原に頼んだ
一生に隼人を頼んで…榊原は、弥勒と紫雲を車に乗せ…
飛鳥井の菩提寺に康太を連れて行った
本殿…儀式の間に…康太は…寝かされていた
そして……飛鳥井の人間は…康太が目を醒まさない事を…聞いて…
飛んできた…
瑛太は…誰よりも…早く駆けつけ…
…意識の戻らぬ康太を抱き締めて……泣いた…
そして…一頻り…泣いた後に…決意の…瞳をしていた
「伊織…私も…共に…逝くのを…許してくれ…」
「義兄さん…!」
「康太のいない世界に…生きてはいたくはないのだ…
私が育てた…弟だ…。
誰よりも…手のかかった子だから……
共に…逝ってやらねば…淋しがる…」
「義兄さん…」
榊原は、瑛太の想いが痛い程解り…泣けた…
涙が…流れ出て…止まらなかった…
瑛太は…榊原を優しく抱き締めた…
「伊織…」
弥勒は…そんな二人に…
「後を追うのも、泣くのも後にしろ!」
と激怒した
その時、紫雲龍騎が、真っ白な着物を着て…
出て来た
「これより、我は黄泉に康太の魂を、迎えに行く。」
と……紫雲は告げた
誰も…康太を死なせる気はなかった…!
そんな時に…後を追う算段は…失礼な話だった
瑛太も榊原も……紫雲龍騎に頭を下げた
「宜しくお願いします!」
縋る想いで……言葉にした
紫雲龍騎は……何やら呪文を唱えるの…康太の体に…重なって…崩れた
その体を…弥勒が横に敷いた布団に寝かせた
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