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第47話 歩み
康太が目を開けると…隼人が飛び付き…
「オレ様を置いて行くな!
オレ様を呼びに来て…お前が目を醒まさないなんて…!」
と…泣きながら訴えた
瑛太も…康太に縋り着き…泣いた
「お前が…目を醒まさぬのなら…伊織と…後を追おうと…決めていた…。
康太…兄を置いて行くな…!」と泣かれた
そして一生と聡一郎にも泣き付かれた
「早まるとこは直しやがれ!康太!
お前が止めても…俺は後を追うからな!
馬鹿野郎!」
「僕を…置いて行かないで下さい!
僕だって後を追いますからね!
覚えといて下さいね!」
慎一にも
「俺も…貴方と共に逝きますからね!
和希と和馬を…親無しにするのは貴方の所為ですからね!」と脅された
そして…康太は…榊原に腕を伸ばした
「二人きりに…してくれねぇか…」と頼んだ
康太が言うと…瑛太が…一生達を連れて…
部屋を出て行った
「伊織…」
「何ですか?」
「左手を出せ…」
榊原は……えっ??と不思議な顔をして…
左手を出した
康太は…その手に…黄泉から持ち帰った宝珠を首から取り出し…
乗せた
如意宝珠を…榊原の左手に乗せると…
その如意宝珠は…手に吸い込まれるかの様に…
…飲み込まれ……消えた
「僕の…宝珠?……ですね?
わざわざ置いて…去ったのに…兄の黒龍辺りが?」
「赤龍…と言わねぇ所が…青龍だな。」
康太は…苦笑した
青龍は…赤龍が大嫌いだったから……
ナルシストで…我が儘で節操がなくて…恋人を泣かす…赤龍が……大嫌いだったのだ
青龍は…一人の人しか愛せない…
なのに赤龍は…一度に幾人も…掛け持ちをして…その優柔不断な行為が許せなかった…
康太は「黄泉で黒龍に逢った、その時に…渡された」と告げた
「黒龍は…元気でしたか?」
「我が友は…何一つ変わってはいなかった。
あの頃のまま…全然…変わってねぇよ…。
何時もの様にオレの前に姿を現した
逢わなくなって久しいのに…
アイツはオレの悪友のままでいてくれて…
懐かしかったな…。」
「そうですか…。
僕は…てっきり…宝珠は赤龍辺りが…叩き壊したのかと……」
「相変わらず…仲悪りぃな。」
「嫌いなんですよ…。」
康太は…苦笑した
「その赤龍も…心配してると…黒龍は言っていたぞ…。
そうも…嫌ってやるな…兄だろ?お前の…」
「まぁ、還れば兄でしょうが…
僕の今の兄は…榊原笙ですから。
他は…その時に考えます。」
榊原らしい台詞に、康太は笑った
「所で…今日は何日だ…」
「2月9日です。
君が黄泉から帰らなかったら…僕が…迎えに行こうかと…思っていました。」
「宝珠もないのに?」
「そんなもの…無くても何とかなります。」
康太は笑って、榊原に抱き着いた
「ただいま!伊織。
愛してる…オレの…伊織」
「お帰りなさい…僕の康太。
愛していますよ……君だけを愛しています」
「帰ろうか?オレ等の家へ…」
「帰りましょう!僕達の家へ。」
「さてと、起きるか!」
康太は立ち上がると、榊原がコートを着せた
そして本殿に敷いた布団を畳み…片付けて荷造りをした
キチンと片付けて、榊原は康太を促して…部屋の外に出た
康太はニカッと笑い
「待たせたな!帰ろうぜ!」と告げた
そして、瑛太のスーツの裾を引っ張った
瑛太が康太を抱き上げ「どうした?」と聞くと…
「腹減った…何か食わせろ!」と兄に甘えた
「では帰りにレストランでも行きますか?」
「嫌…和風な飯が食いてぇ…。
沢庵…食いてぇ…」
「なら、料亭に…?
料亭に沢庵は有りますか?
伊織…沢庵!どうしましょう?」
「飛鳥井の家まで我慢させて…義母さんに沢庵を用意してもらうしか…有りませんよ
康太は……沢庵には煩い…。
下手なのを食べさせたら…暴れるかも…」
「それは……困る…かも。」
瑛太は…康太を榊原に渡し
「康太、飛鳥井の家に帰りましょう!
母さんに食事を用意するように頼んでおきます。」
そう言うと、早足で…菩提寺を後にした
康太も榊原の車に…弥勒を乗せて…帰宅の徒に着いた
弥勒は…車の中で…榊原に声をかけた
「伴侶殿は…青龍でござったな…確か。
四龍…の一人、四天王の一人、東を司る青龍は…永らく不在だと…魔界は嘆いていた…。」
「弥勒…カビが生えてる話は…良いですよ。」
康太と同じ事を言ってる榊原に、弥勒は…笑顔を溢した
「宝珠を……手にされましたな…。」
弥勒は…呟いた
圧倒的な…存在感が…更に増していたから…
榊原は、苦笑した
「息苦しくて…堅苦しい…堅物…とよく言われます…。それが増してますか?」
「貴方が…康太が言っていた…蒼い龍…なんですね。」
榊原は頷き…何も言わなかった
弥勒を家まで送り、下ろすと、榊原は飛鳥井の家へと向かった
飛鳥井の家へと帰ると、玲香が康太の食事を用意してくれて、待っていてくれた
康太は…ガツガツ食べて…自分の部屋に帰った
康太の服を…総て脱がせて…ベッドに押し倒すと…息も尽かせぬ接吻をした
「眠り姫の様に……眠り続ける君を…見るだけは…もう止めます…。」
「伊織…抱く気がねぇなら、寝るぞ…」
「まさか…僕が大人しく寝させるとでも思ってますか?」
「思ってねぇよ…なら…早く…」
「早く…何なんですか?」
康太は…榊原の熱い…肉棒を触って…擦った
「先が…濡れてる…挿れねぇなら、食べるぞ…」
康太は…榊原の性器を…咥えた…
舐めて…吸って…擦って…弄ると、榊原は康太を抱き上げた
「悪戯は…ダメだって言いませんでしたか?」
「挿れねぇお前がいけねぇんだろ?」
康太は…自分で尻の割れ目を開き…榊原の肉棒を飲み込もうと…体の力を弛緩した
「ぁ…康太…!今日は…積極的すぎでしょ?」
「お前が触れば…オレは何時でも欲しい…
お前の…熱い…肉棒で掻き回されたくて…
うずうずしてる…解る?蠢いてるだろ?」
「解りますよ…君の中が…僕を飲み込み…
蠢いて食べてます。
食い尽くされそうです」
「食ってやんぜ。骨もなくなる程に…」
康太はニカッと笑った
「康太…。僕のモノです…君の総ては…僕のモノです!」
榊原は、康太を抱き締め…下から突き上げ貫いた
仰け反る康太の…頭を抑え…激しい接吻で口腔を犯す…
「ゃ…息が……できな…ぁん…イクぅ!」
「イキたいなら…触らず…擦らず…噴き上げなさい…。」
「擦っちゃ…だめ?…ゃあ…」
仰け反る康太を…そのままベッドに倒し…
榊原は、腰を抱えて…抽挿を早めた
榊原の腹に…擦り付けられない康太は…悶えた…
「ぁぁっ…伊織!……イクっ…ぁぁっ!」
康太は…射精した…
飛び散った精液が…自分の腹を濡らし…汚した
「はぁ…はぁ…ひでぇ…伊織…。」
物凄い…快感だった…
「良くなかったですか?」
榊原は抜かずに…康太に重なった
「良かったよ…でも…伊織に抱き着けなかった…」
「なら、次は…抱き着いて…良いですよ…」
脈打つ…肉棒を…康太の腸壁が育てて…硬くする…
康太は…止まらない性欲に…蹂躙され…喘ぎまくりで…榊原を抱き締め…イッた
その夜…榊原の暴走を…その体で受け止め…
康太は…気絶した
朝…登校の支度をしてもらい、リビングのソファーに康太が座っていると…
隼人が制服を着て…康太へと飛び込んで来た
「康太、追い出される前に出ていってやる!宣言祭にオレ様も出るのだ!」
「大丈夫か?無理しなくて良いぞ?」
康太が言うと…隼人は笑った
「康太がオレ様の為に用意してくれたヤツだろ?
ならオレ様が出なくてどうするよ?
オレ様は…康太といたいのだ…
康太と想い出を…沢山作りたいのだ…
近くのマンションは…引き払った
オレ様は…もうこの家から出る気はないのだ!」
「結婚しねぇ気か?」
康太が笑って隼人を抱き締めると、隼人は康太に擦り寄った
「来年には…オレ様は飛鳥井の家を新築してやる
5階建てのビルにして家族連れ全員、住めるようにする
そのビルにオレ様は結婚しても住む…でも当分は良い…。
そして…康太…音弥をお前にやる。」
「隼人?お前の大切な子供だろ?」
「オレ様は当分は結婚しないのだ
康太と一緒にいたいのだ!
稼いだ金で…飛鳥井の家を新築して、ここにジジィになっても住み続ける。
死んだ後は、康太の隣に墓を用意して入る
そして……音弥を…康太の子供と一緒に愛すから…貰ってくれ。
オレ様は康太の長男だから…そのままでいたい」
康太は…隼人…と名を呼んだ
「隼人、無理しなくて良い…無理して…元気にならなくて…良い…」
「無理などしてないのだ…。
あの死にたい位の…寒い場所に康太は…来てくれた…
その時…オレ様は…決めたのだ!
この先の人生は…康太から離れずに…生きるって。
絶対に…康太といる!
康太に助けてもらった……この命を…粗末には扱わないと心に決めた…。
想い出も沢山作るし、人の心に残る仕事をして行こうと思う。
奈々子にも恥じない…康太にも音弥にも恥じない、仕事をすると心に決めたのだ」
「隼人…焦らなくて良い…」
「康太、焦ってなどいない…唯、一人で留守番は嫌なのだ!」
隼人は康太に縋り着いた
榊原が掃除と選択を終えてリビングに戻ると…隼人が康太に抱き着いていて驚いた
「隼人…学校に行く気ですか?」
榊原は、思わず隼人に問い質した
「行く!出ていってやる!宣言祭を康太とやるのだ!」
隼人は榊原の顔を見て笑った
榊原は隼人の横に座ると…そっと抱き締めた
「体は?無理矢理退院したばかりか…学校にも行くんですか…。
無茶は…ダメですよ?」
「無茶ではないのだ!
オレ様は康太と想い出を作り…
共に生きて行くのだ…!」
「隼人…」
榊原が隼人を抱き締めていると、一生がやって来て、隼人の姿に
「隼人!学校に行く気かよ!」
驚いていた
「一生、オレ様は康太と想い出を作りに行くのだ!」
隼人の姿は澱みなく真摯だった
聡一郎も慎一も康太を呼びに来て…
隼人の姿を目にして…驚いていた
聡一郎は「隼人…大丈夫なんですか…」と心配して話し掛けた
慎一も「まだ学校に行くのは…早くはないですか…」と危惧した
康太は笑って立ち上がると隼人に手を出した
隼人はその手を掴み立ち上がり…
康太を抱き上げて…持った
「親孝行するのだ!
康太…軽すぎなのだ…。
奈々子より軽い…心配なのだ…。」
隼人は本気で心配していた
「大丈夫だ、隼人。
オレは元々軽りぃんだ!」
「ならば、良いのだ!
ご飯を沢山食べろ!
これからオレ様は、康太と伊織に親孝行するのだ!」
「そいつは、嬉しいな。
だがな隼人、一番の親孝行はな、お前が誰よりも幸せになる事だ。
誰よりも幸せになれ…隼人…」
「オレ様は、康太と出逢えた時点で幸せも…総て手に入れてる…。
オレ様を作ったのはお前だろ?」
隼人は笑いながら康太をキッチンへと連れて行く、そして何時もの席に康太を座らせた
その姿に…飛鳥井の家族は…驚いていた
瑛太は…「隼人…学校に行く気ですか?」と榊原と同じ事を聞いていた
「オレ様は、学校に行って、康太と高校生活最後の仕上げをせねばならぬのだ!
四悪童…最後の大仕事を完遂せねば、男が廃る!」
隼人は…逞しく…成長していた
その容姿は…一人の男として…精悍さを際立たせていた
「隼人…飛鳥井のCMの契約は切れてねぇぞ
撮るか?
オレが撮ってやろうか?今のお前を?」
隼人は笑った
「今のオレ様を、撮れるのは…康太、お前だけだ。
撮ってくれ…今のオレ様を。」
「もう…何処へ出しても恥ずかしくねぇ…男だな…お前は…。」
「何処かへ出されたくはないのだ!
オレ様は、死ぬまで康太といると決めたのだ!」
「出さねぇよ!なら、やるぜ!隼人!
出ていってやる!宣言祭を四悪童の集大成にしねぇとな!」
康太はメラメラ燃えていた
慎一は…「康太はストーブ要らずかも……」
なんて呟く程に…燃えまくっていた
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