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第50話 現世で
この日も、康太は兵藤を迎えに行った
兵藤は康太の顔を見ると嬉しそうに笑った
「家に帰ってポケット見たら驚いた!」
「オレの血で作ったんだぜ!
これでおめぇは一人じゃねぇ!」
康太は笑った
「おめぇはよぉ!
すげぇデザインで驚いた…」
「最高だろ?
鳳凰の赤い目はオレの血で出来てんだぜ!お前に相応しいだろ?」
「……ありがとな…。」
「さて、行こうぜ貴史!
朝会の後、全校練習だぜ!」
兵藤は、玄関から出て…榊原を見た
榊原は……兵藤を見ると…頭を下げた
「行くぞ!走れ貴史!」
康太はそう言い走り出した
「待ちやがれ!
なんで毎日走らなきゃなんねぇんだよ!」
「鈍るのは千年早ぇんだよ!」
「くそ!てめぇ!そう言う事言うかぁ!」
兵藤は走った
康太を追いかけて…走った
ムキになって競い合う……姿は悪友の如く…
一生は苦笑した
聡一郎と隼人と慎一は後を追って走った
榊原は…………二人の姿を追い…そして走った
全校練習を見て、お祭り騒ぎを満喫して
帰宅途中に、矢野の事務所に顔を出した
チョコレートの出来具合を確かめる為に…
事務所を訪れた
呼び鈴を鳴らすと、蒼太が出迎えてくれた
「チョコの状況確認ですか?」
蒼太は、康太を見るなり…言った
「それもあるけど、オレの誕生日が出来なかったからな
週末には、飛鳥井の家に来いよ。」
「解りました。ぜひ伺います。」
「所で…宙夢は?」
康太が聞くと…蒼太は気まずい顔をした
「喧嘩か?」
「……僕が追い詰めるから…。」
康太はため息を着いた
「一生、小鳥遊の所に宙夢がいるから、呼んでこい。
ついでに小鳥遊と神野も呼んで来い!」
「了解!」
一生は外へと出て行った
暫くすると…矢野と小鳥遊と神野がやって来た
ソファーに座る康太に…矢野は抱き着いた
「どうしたよ?喧嘩か?」
「僕が悪いんです…。」
「宙夢、喧嘩は相手を思い遣り過ぎるからなるって知ってるか?」
え?………矢野は顔を上げて…康太を見た
「相手を思い遣るから、必死になるし、心配するんだぜ!
どうでも良いなら…相手は必死にはならねぇんだよ!
愛されてるって…そう言う事だろ?
生きているから喧嘩も出来るし…愛し合える
無くしたくねぇなら…話し合え!
隼人も…一生も…永遠に…愛する人を無くした!
それに比べたら…幸せだと思え…。なっ、宙夢…。」
矢野は…康太を見上げて泣いた
「ごめん…辛い事思い出させて…ごめん…」
「お前には蒼太がいる。
蒼太は、愛するが故に…追い詰める癖がまだ抜けてねぇ…。
宙夢は…許してやれ…そんな蒼太を許してやれ。」
「解りました…。」
康太は矢野を撫でて…落ち着かせた
神野は…隼人を見ていた
それに気付いた康太は
「隼人は大人になったろ?」と声をかけた
神野は「はい。これ程までに…変わろうとは…。」と驚きを隠せない風だった
「神野、飛鳥井建設との契約はまだ切れてねぇぜ!
しかも、契約してから一本しかCMは撮ってねぇ。
だから撮るぞ。
無論オレが撮ってやる!
オレしか撮れねぇだろ?」
「貴方の想いのままに。
貴方がいたからこそ、一条隼人は…生きてこられた。
貴方が育てた宝でしょ?
宜しく御願いします」
神野は康太に頭を下げた
「神野…よせ。
それより、オレの誕生日は、今週末にずれ込んだ。
週末には来ると良い。
待ってるな。
神野も最近瑛兄に逢ってねぇだろ?」
「はい。飛鳥井の家から…足が遠のいていました。」
「瑛兄は、凄い我が儘な奴になってるのを見ると良い。
伊織とまるで兄弟のように仲良く我が儘を言うからな。」
「嘘…瑛太が我が儘……想像つきません…。」
「待ってるから週末に来い。」
「はい。」と神野が頭を下げると康太は
「所で宙夢、チョコはどうなった?」
「明日には出来るので飛鳥井の家へ持って行こうか…喧嘩になりました…」
「飛鳥井の家の敷居が蒼太は高いんだ。
解ってやれ。」
「でも乗り越えないと…君がくれた幸せから逃げるみたいで…僕は許せなかった…」
「宙夢と蒼太が幸せならオレは何も言わねぇよ。
飛鳥井の家の敷居が高いなら…距離を置くしかねぇ…。
気持ちの問題だ…強制は出来ねぇだろ?」
「………そうですね…。でも僕は、君の子の…子守りをしたい…。」
「宙夢…飛鳥井蒼太と言う人間は…誰よりも、飛鳥井の家や家族を愛してるんだ。
家族が…好きなんだ…。
その家族を…飛鳥井の家を捨てたと言う負い目が…抜けねぇんだよ。
昔は…飛鳥井の家を捨てれば…二度と再び…飛鳥井の家には踏み込めなかった…定めだ
その中で生きて来たんだよ…蒼太は。
……血の定めと…掟が…厳しい一族だからこそ…生き残れた…訳だからな…」
康太は蒼太を見詰め
「蒼兄…飛鳥井の敷居が高いなら…もっと遠くで住むか?」
と問い質した
飛鳥井の家も家族も見えぬ地で…住むか?
……と言う事を聞かれた
「嫌です…君が逢いに来てくれない…所へは行きたくない…。
康太…僕は…逢わす顔がないんです…。
後悔はしてません。
僕は…色々遊んで来て……本当の愛を知らない愚かな…人間でした。
宙夢と出逢って…本当に愛しました。
総てを捨てて…愛しました。
そんな僕が…飛鳥井の家に行くのは…違う気がしています…。」
「ならば、無理して…飛鳥井の家に来なくて良い。
オレはな蒼兄、父ちゃんや母ちゃんの、息子を取り上げる様な事は、したくはなかったんだ!
親だからな飛鳥井の掟に縛られたって…子を想うのは…親としてない筈がねぇだろ?
蒼兄は、母 玲香の泣いた顔は見た事ねぇだろ?
泣いてんだよ!あの人は!
夜になると泣いて…泣いて…!
そんな姿をお前は見た事が有るのか!
子を無くして!平気だと想ったのか!
父 清隆にしてもそうだ!
飛鳥井の掟に逆らえず…苦しんでるんだよ!
あの夫婦が1つの部屋で寝ないのは!
そんな苦悩を…抱えてるからだ!
子供を戦地に送り出す…そんな想いで…毎日生きてんだよ!
だから、幸せな姿位!
オレは見せてやりてぇんだよ!
掟があるなら!
掟に従って、お前等を出すしかなかった!
でもな、玲香は誰よりも蒼太を愛してた…
自分に良く似た子を危惧してた。
そんな親の想いを少し位知りやがれ!」
康太は叫んだ
痛々しい康太を榊原は抱き締めた
「すまねぇ…今日は帰る。
伊織、オレを家まで連れて帰ってくれ…」
康太が言うと榊原は康太を抱き上げて立ち上がった
その後ろに…一生や聡一郎、そして男の顔付きになった隼人が守り…慎一が並んだ
蒼太は……康太に声すらかけられなかった
慎一が「では、お邪魔しました。」と一礼して…外へと出て行く
彼等は…あぁして、康太を守って…共に生きているのだと…想った
神野は蒼太に
「肩の力を抜け…。
我が友…飛鳥井瑛太は…お前の事を昔…何をやっても卒がない男と言ってたぞ。
それはお前の本性ではなかったんだな…。
それがお前の姿なら、その姿のまま、親や兄弟に逢いに行け。
飛鳥井の家に行くんじゃねぇぞ!
家族や兄弟に逢いに行くんだ!
遠慮はねぇだろ?
康太は…慈悲深い…アイツの懐は…果てしなく広い。
側に居れば良く解る。その分…苦しみや悲しみを背負ってアイツは生きている
飛鳥井の家族は…掟の為に康太を守ってるんじゃねぇ!
掟に生きなければならねぇ…康太を守ってるんだ!
だから、離せねぇ隼人達を…あの家に住まわせてる。
親の愛だ。どうせ苦しむなら…支えてくれる人間は…側に置いてやろう…と言う、親の愛だ!
解ってやれ…さてと帰るぞ。」
神野は小鳥遊を連れて部屋に帰って行った
康太達や神野達が帰り、部屋に…二人きりになると…蒼太は…泣いた
床に…崩れ落ちて…泣いた
飛鳥井の家を出る裏切りをしてしまった事は…心に根付いて…苦しめた
母を…捨てて…出てきた
父を捨てて…出るしかなかった
兄…瑛太の…期待を裏切り…
弟…恵太を見捨てて…出た
そして…母の様に愛し育てた…康太を…捨てきれず…康太の情けに縋り着いてしましった
悠太…に限っては…口さえ聞いた事すらない…弟なのに…
飛鳥井の家の前に…何度も立った…
車で…通り過ぎれずに…停まって…見ていた
捨てきれぬ未練があった…
親を…兄弟を……捨てられる…筈などなかった
……でも…遊びに来ました…なんて気楽に…家の敷居が高くて…行けなかった…
「宙夢…飛鳥井の家に行きます…。
僕…一人だと行けないので…来て下さい……」
蒼太は、年上の矢野に甘えた…
何処までも甘やかしてくれる男は…蒼太が甘えれば…どんな喧嘩をしていても許してしまう…
だから、今回は…小鳥遊の所へ逃げたのに…
こんな蒼太の姿を眼にしたら…許すしかないではないか…
「一緒に行きますよ…僕は…。
君となら例え地獄でも…行ってあげます。」
蒼太は、矢野を抱き締めた
「そんなに泣いてると、飛鳥井の家へ行けなくなるよ?」
優しく撫でる指は誰よりも優しく…蒼太を愛していた
「宙夢…愛してます!」
「僕だって愛してるよ!
だから康太君の気持ちに添いたいんだ…。
彼の子を…子守したい。
彼の子に愛を沢山与えたい。
幸せですからね。
この幸せをくれた康太君に…少しでも還したい…。
それが僕の気持ちです。」
「宙夢…」
矢野の想いは…蒼太を想い…
それをくれた康太へと続き…
還そうと思ってくれていたのだ
蒼太は立ち上がると…着替えに行った
矢野も…着替えに…後に続いた
康太は、榊原に連れられ…飛鳥井の家に帰った
榊原は康太を寝室に連れて行き、制服を脱がせて、私服に着替えさせた
どうせ…蒼太は来るだろうから…
「康太、泣かないの。
あんまり泣くと…ベッドに縫い止めて…鳴かせますよ!」
「それは嫌だかんな」
榊原は、康太の額にキスして
「なら、泣き止みなさい。」
と優しく…抱き締めた
康太は、伊織…と擦り寄った
榊原は、康太を抱き上げて、応接間に、向かった
応接間に、行くと…既に着替えを終えた…
一生達が…ソファーに座っていた
そこには源右衛門もいた
翔も流生もいて、源右衛門は子守りをする優しい曾祖父の顔をしていた
「じぃちゃん、無理すんなよ。」
康太が声をかけると、源右衛門は
「無理などしてはおらんわ。
康太の子は可愛いからのぉ。
ついつい時間を忘れてしまうわ。」
と幸せそうに笑った
康太は流生を源右衛門からもらい、頬にキスした
「流生、もうじき、お前の兄弟が3人も来るぞ…。」
と、賑やかになる事を想像して笑った
「5人兄弟か…。手がかかるのぉ。
わしもまだくたばってはおれんな。」
「そうだってば、じぃちゃん!
どの子も可愛い。
慎一の所の双子は力持ちだからな、翔と共に修業させねぇとな。
そしたらこの家に住まわせる。」
「そしたら、7人か。
コオの散歩で足腰鍛えぬばな!」
源右衛門は笑っていた
その時…インターフォンが鳴った
慎一がカメラを作動すると…蒼太達だった
慎一は康太に「蒼太さん達です、どうします?」と問い掛けた
「追ってくるのは解ってた、家に入れてやれ!」
慎一は、「今開けます。」と言い解錠し、玄関まで迎えに行った
ドアを開け、スリッパを用意する
「どうぞ、お入り下さい。」
慎一が促すと…蒼太と矢野は…玄関に入り…靴を脱いだ
慎一が応接間のドアを開け、部屋の中へ促す
そして「どうぞ。」とソファーを勧められ…座った
慎一の手際の良さに…蒼太と矢野は唖然となった
康太は優しく微笑むと…手の中の流生を矢野に渡した
「可愛いだろ?
オレの次男の流生だ!
可愛くない筈がねぇ。
なんたってこの男の子供だからな。」
康太はそう言い…一生を抱き締めた
「オレの戸籍に入る実子だが…この男が…愛した女と作りし子だ。
一生は…我が子と名乗れず…側で見守る。
それがオレの下した…一生へ科す…罪だ…。覚えておいてやれ。
そして、源右衛門が、抱くのが瑛兄と京香の子だ。
継ぎの真贋だ。
名実共に…翔もオレの戸籍に入っている。
瑛兄は父親とは名乗れぬ…。
オレが科した瑛兄への罪だ…。
覚えておいてくれ。」
康太は源右衛門から翔を受け取ると、蒼太に渡した
「飛鳥井翔だ。
宙夢の抱いてるのが、飛鳥井流生だ。
後、太陽に大空。
これは双子で、伊織の母がオレにくれる伊織の血を引く子だ。
そして音弥。
この子は一条隼人がオレにくれた、音弥を産んで亡くなった奈々子と隼人との子だ。この3人が子供が加わり、オレは5人の子持ちになる
宙夢、蒼太、子育ては大変なんだぜ!」
康太はそう言い笑った
そこへ京香が、ミルクの時間だと入って来た
康太は「母ちゃんが午前中、京香が午後から、子供を見てくれてるんだ
母ちゃんは今、会社だ。
もうじき帰ってくる。
瑛兄も父ちゃんも、もうじき帰ってくる。それまでいろ。」と矢野と蒼太に告げた
矢野と蒼太の、目の前で…美しい…京香が、我が子の…翔にミルクを飲ませていた
「京香、翔は、また少し大きくなったな
やっぱ飛鳥井の人間はむさ苦しい大きさなんかな?」
「…どうだろ?
まぁ良いではないか。
瑛太は男前だ。
この子も男前になるだろう?」
「本当に京香は、瑛太が好きだな。」
「我の一番は康太じゃ。
瑛太も康太が一番だからな
そんな、瑛太は愛しいな。」
会話が…おかしい…と感じた矢野は…どうして良いか解らなくなった
翔の授乳が終わると、蒼太に翔を渡した
そして、流生を、腕に抱き、授乳をしていた
どの子も同じ…愛して慈しむ…顔をしていた
授乳が終わると、京香は二人のオムツを変えて、康太の頬にキスして
「夕飯を作って参る!」と、告げた
「京香、二人増しな。
ひょっとしたら、神野と小鳥遊も来るな」
「ならば、皆、飲むだろ?
家族や友が来れば飛鳥井は盃を交わす」
「だな。オレの沢庵を用意しするだけで、後はデリバリで良いか?」
今宵は飲むとあれば京香は源右衛門に
「お祖父様は…駄目ですよ。
まだ治療中でしょ?」
と釘を刺す
最近の京香は、怖かった…
「少し位は……」
「ならば薄いヤツをな!」
京香は皆が飲むならば源右衛門も飲みたいであろうと少しだけ容認する
源右衛門は「薄いのしかダメなのか?」と淋しいそうに呟いた
「ちびっとと薄いの、どちらを選びます?源右衛門」
も迫力で迫った
ちびっと‥‥と謂うならばお猪口位しかくれないだろう‥‥
ならば‥‥薄いのを沢山飲めば良いんじゃ!
源右衛門は「なら薄いのでよいわ」と折れた
そこへ瑛太が仕事を終えて帰ってきた
「康太、体はどうだ?」
一番に抱き上げてキスするのは…康太だった
そして流生を抱き上げてすりすりして
翔を抱き上げてすりすりして
源右衛門に頭を下げて
榊原を抱き締め
一生、聡一郎、隼人に慎一を抱き締め…
妻には最後に「帰りました。」と告げた
「妻は一番最後とは、少しだけ怒るぞ我は!」
そう言い京香は瑛太のネクタイを引っ張ると接吻をした
………なんとも…ねちっこいキスを…瑛太に送った
そして京香は接吻を終えると親指を立ててニカッと笑った
「瑛太、今宵は宴会じゃ!」と謂いキッチンへ去って行った
瑛太は「‥‥京香‥‥」と呟き‥‥
「着替えて来ます。」と応接間を後にした
京香なりの愛の証しを康太に見せたのだった
我々だって甘んじてはおらぬと、愛を育んでおると伝えた接吻だった
蒼太と矢野は…もう、どう言う態度をとって良いか…解らなくなった
暫くして、玲香と清隆が、帰って来た
玲香は…応接間の蒼太の姿に…
「どうしたのだ?何か有ったのか…」
と、心配そうに訊ねた
蒼太は立ち上がり…玲香に頭を下げ
「遊びに来ました。」と告げた
玲香は嬉しそうに笑った
子を心配しない…親など…いないのだ
玲香は、翔と流生を抱き上げ、榊原を抱き締め…
康太の頭を撫で
ついでに一生達の頭も撫で
「着替えて参る。」と楽しげに応接間を出て行った
清隆は蒼太に「元気そうで何よりです。」と言葉をかけた
この父は…不器用で…父親の源右衛門が圧倒的で逆らう事が出来なかったのを悔いている…
それが……解る…苦悩が滲み出ていた
清隆は康太を抱き上げて
「体はどうですか?」と聞いた
「父ちゃん、大丈夫だから心配すんな。」
「それでも、心配なんですよ。」
と康太にキスして…皆を撫でて、着替えに行った
蒼太は、家族全員が康太の体を心配してるから…
「何か有ったのですか?」と康太に訊ねた
「ちょっとオレが死にかけていたかんな、家族は心配してるんだよ。」
ちょっと死にかけて‥‥
何とも…重い…言葉に…蒼太は言葉を失った…
着替えを終えた瑛太も玲香も清隆も、応接間に姿を現すと、絶妙なタイミングで京香がつまみとお酒を持って入って来た
そして、康太の前に沢庵を置くと、他にはコップやお酒を置いた
「京香…沢庵だけじゃ嫌だかんな!」
「解っておる!
中華のケータリングと寿司を頼んだ。
それを食べるとよい。」
康太は笑って沢庵を一切れ摘まんで食べた
ポリポリ良い音を立てて、沢庵を食べる
暫くするとケータリングと共に神野が小鳥遊と、飛鳥井の家を訪れた
沢山の差し入れを持って神野は瑛太に会いに来た
飛鳥井の応接間に入って来ると…
康太の隣には一生が座り…隼人は笑って慎一の横にいた
神野は飛鳥井の家族に頭を下げた
「飛鳥井とのCM契約を交わしているのに…まだ一本しか撮影がされてません。
本当に申し訳なく…想います」
「神野、今は野暮な話は抜きでな。
飲み明かせ。」
「康太……。そうは行きません。」
神野はケジメを着けたかった
康太は榊原を見た
榊原は、横に座る瑛太を肘で催促した
「義兄さん、貴方の友でしょうが!
何とかなさい!」
「伊織!そう言う事を言いますか?」
「言います!
康太が困ってるでしょ?
何とかなさい!」
「伊織は兄には優しくない!」
「優しくしてます!
仕事も手伝って差し上げてます。」
「えぇっ~私の仕事を取ってるの間違いでしょ?」
「その口…縫いますよ!」
「縫われたら康太に話が出来ないじゃないですか!嫌です。」
「ならば、黙りなさい!
って言うか、友が来たなら酒を酌み交わしなさい!」
「神野…我が弟は…厳しくて…兄は何時も伊織に苛められておるのだ!」
「あ~そう言う事を言いますか!」
「言います!」
収集の付かない喧嘩に…蒼太は唖然となった
何時も冷静沈着な兄…瑛太が…
駄々っ子みたいに…嫌…駄々っ子だ…。
神野は唖然となった……
一度も…こんな瑛太の姿は…見た事はなかったから…
「義兄さん、神野と小鳥遊に、翔と流生を見せてあげなさい。」
「伊織がして下さい。
私が紹介してる間に、大トロの寿司を食べる気でしょう?」
「解りましたか?」
榊原はしれっと言った
収集が着かなくなりそうで…
康太は最後の大トロの寿司を…食べた
「あ~食べましたね!」瑛太が叫んだ
「僕が狙っていたのに!」と榊原も叫んだ
「伊織の所為ですからね…」
「義兄さんの所為ですからね!」
「伊織は兄には冷たい!」
「仕方がないですね。」
榊原は、康太の皿の上のマグロを摘まむと…
瑛太の口に運んだ
「あ~伊織!よくも!」康太が吠えた
榊原は、康太の口に沢庵を、放り込んだ
「あんで!瑛兄がマグロでオレが沢庵なんだよ!」
「なら、僕を食べますか?」
康太はぐっ!と堪え…
「別居してやる!」
と捨て台詞を吐いて…慎一の膝に移った
「康太!それは嫌です!」
榊原が慌てる…
康太は無視して、フンとそっぽを向いた
瑛太は仕方なく話題を変えようと、流生を抱き上げ
「晟雅、康太の子です。
康太の次男です。
良い男でしょ?
当たり前です。
一生の愛した人がこの世に送り出した子ですからね。」
と言い神野に抱かせた
そして翔を抱くと
「この子は康太の長男です。
良い男でしょ。当たり前です。
種は私ですからね。
良い男にならない訳がないですよ。」
と笑い、小鳥遊に渡した
神野は…「瑛太、感じ変わった?」と問い質した
瑛太は笑って
「多分、これが私の素でしょうね。
伊織と兄弟喧嘩してると楽しくてなりません。
康太に甘えると楽になります。
私は…総てを背負おうと気張ってました。
今は家族や康太のかけがえのない伴侶や仲間がいてくれますからね
私は肩の荷を下ろすことにしたんです。
まぁ、総てを投げ出せませんが、伊織がいてくれる。
私は…伊織が可愛い。
まるで昔からの兄弟の様に…心を許せる。
伊織になら仕事も任せてる。
伊織は…私の仕事を取ってしまいますからね
来年度は私は社長になります。
父さんが会長です。
伊織は正式に副社長ですよ。」
楽しそうに…そう話した
「瑛太…お前…楽しい奴だったんだな…」
「そうですか?
堅苦しいのは、伊織に譲りました。
伊織は堅苦しいでしょ?
私も堅苦しいと、息が詰まりますからね」
瑛太は大爆笑した
「義兄さん!
僕の何処が堅苦しいんですか!」
「全部!」
「止めて下さい!
硬くなるのは康太を抱く時だけで良いです!」
榊原が言うと、一生が下ネタかよ!と突っ込んだ
康太は慎一の膝でゴロゴロ甘えていた
「康太…。こっち来て…」
榊原が呼ぶのに…康太は知らん顔
そのうち一生の背中にしがみ着いた
「一生、今夜はお前の部屋にお泊まりだ!」
「康太!」
榊原が慌てて康太を捕まえに来た
ぷいっとそっぽを向く康太の頬に、榊原はキスした
そして膝の上に乗せて座ると…その腕を、巻き付け…抜け出せない様にした
瑛太は、神野の側へ行き、酒を酌み交わしていた
蒼太は榊原に捕獲された康太と、話をしていた
矢野は、流生と翔をあやし、眠ると側で何時までも顔を見ていた
玲香は清隆と源右衛門と楽しげに酒を飲んでいた
慎一は…隼人に寄り添っていた
最近、慎一は隼人に寄り添い…支えている事が…多かった
そして、蒼太は…弟の悠太と…初めてマトモに話をした
康太の前に玉露を持って来た悠太を、康太が捕まえ、蒼太と話をさせた
「悠太、お前…無駄にデカくないか?
…本当に中3かよ」と蒼太はボヤいた
「嫌だなぁ蒼兄、俺は中3です。
康兄が卒業したら、俺は康兄がいた高校へ上がるんですから。」
「何か…ジジィ臭い…」
蒼太が呟くと…悠太はショックで康太の膝に顔を埋めた
「言ってやるな…蒼兄。
中身はまだ未熟な甘えん坊だ。
恋人に甘えっぱなしだと捨てられるぞ!」
「えええっ!それは嫌だ!
俺は強い男になる…予定なんです!」
悠太が言うと、榊原は爆笑した
「ならば、僕が悠太を鍛えましょうか?」
ニャッと笑われ…悠太は聡一郎に抱き着いた
「聡一郎…助けろよ!」
「僕は康太には逆らわないんです。」
「義兄さんだってばさぁ!」
「伊織は間違った事はしません。」
「俺には怖いじゃんかぁ!」
悠太が喚く…。
聡一郎は、仕方なく…頭を撫でてやった
聡一郎は「伊織…悠太を虐めるな…」と溢した
「幾ら嫌いでも…虐めてやるな…」と。
「聡一郎、誤解してます。
僕は悠太は嫌ってませんよ!
悠太はまだ伸びる。
全員が甘やかしたら…康太に見捨てられますよ?
それで良いなら…甘やかしてあげましょう。」
悠太は…ぶるんぶるん首をふった
「悠太は飛鳥井の明日を引く人材になる。
精神的に鍛えて行かねば…
逃げ道ばかり探す…狡い人間にしかなれません!
狡い人間の引く建物に…魅力は感じませんよ
学ばねばならないんです。
高校に入ったら精神面は僕が鍛える!
使える男にしないとね。」
聡一郎は、榊原がそこまで考えているとは思わなかった…
蒼太は…「ひょっとして…悠太の恋人…って…」視線で…聡一郎を見た
榊原は、何も言わなかった…
康太は、笑っただけで、何も言わなかった
それだけで…飛鳥井でのタブーだと知った
蒼太は、母親と話をした…
矢野も…玲香と話をした
そして……夜は更け……康太は眠った
榊原に抱き上げられ…応接間を、後にした
一生達も…部屋へと帰り
蒼太と矢野、神野と小鳥遊は…家へと帰っていった
榊原は……ベッドに運んだ康太に接吻した
でも……起きる気配はなく…抱き締めて寝る事にした
眠りに堕ちると…榊原は
「人の世に住み着いた…赤龍、出て来なさい!」と願った…
ずっとずーっと嫌いだった兄だった
だが黒龍も康太も赤龍は青龍を心配していると謂った
赤龍が心配?
信じられなくて‥‥モヤモヤしていた
自分は兄を見て来なかったのか?と想った
ならば知らねばならないと決断を下した
榊原の目の前に
愛と平和を司る…赤龍が現れた
あぁ。思い出した
1番上の兄、黒龍は、闇と光のバランスを司り
2番目の兄、赤龍は、愛と平和を司る
3番目の自分は…法と秩序と規律と秩序を司る
4番目の弟、地龍は地脈のバランスを司る
四龍兄弟…として、自分は…生きて来たのだ
炎帝の兄は…雷帝…現、閻魔だった…
赤龍は、愛と平和を司る…と言う名目で…女を侍らして…いた
それが不誠実で‥‥嫌悪してしまっていた
榊原の前に立った…赤龍は…笑って
「やっと逢えたな青龍。」と声を掛けた
「…………貴方…僕を呼びに来たわりに、毎日楽しそうですね…。」
「そうか?」
「そうです。
……貴方が…赤龍だったんですね…。」
「おめぇが、中々還って来ねぇからな…
様子を見に…来て、根を下ろした。
今世は無理だぜ!」
「見れば解ります。」
「そう言うな。
お前が余裕もなく康太を愛してるのは解った…。
もう、炎帝とは離れねぇのもな。
前よりも…お前と近くなれるぞ!
今の俺ならな。
腹を割って話も出来る。違うか?」
「そうですね。
今の貴方なら、同じ目線で話が出来ますね。」
「ははっ。お前は本当に変わったな!」
「貴方も変わられた。
僕は気付きませんでした…。」
「宝珠を持たねぇからだろ?」
「違いますよ。
貴方が…人として…馴染み過ぎたんですよ…。」
「そうか?」
「思い出しました…赤龍は…炎帝を…」
「言うな!それは言うな…!
俺と炎帝は友達だ。今も昔もな…。」
「今世を満喫してますか?」
「してるぜ!
悔いのない人生を…送って…康太に報いる。
その為に、俺は毎日を送ってる!
手を抜くことなくな!」
赤龍が炎帝を誰よりも贔屓にしていたから…
余計…目の敵に…していた
赤龍の事だから…絶対に、手を出していると…想った
「…………赤龍、貴方が…愛人を何人も作って…と思ってました…。
でも……誰よりも一途で…誰よりも…愛していたんですね…。」
「カビが生えた様な昔話はもう良い。」
榊原は笑った
「青龍…我が弟よ!
その命…尽きるまで人としての生を全うされよ。
悔いのない日々をな!」
「はい。貴方も…悔いのない日々を…送って下さい……。
緑川一生として。」
「おう。俺は…日々…楽しんでんぜ!」
「…でしょうね。
所で…朱雀は…何故今世にいるのですか?
貴方と共に来たのですか?」
「四神…として青龍を欠いて、何時まで激務に耐えねばならんのじゃ!と怒って…お前を連れに行くと言うから…
一緒に来た…。」
「朱雀は炎帝贔屓でしたからね…。
今も…刹那過ぎる想いを…抱いて、飛鳥井の家の裏にいたなんて…」
榊原の言葉に赤龍は、笑い…背筋を正した
「青龍!悔いのない日々を送れ!ならな!」
「はい。我が兄…赤龍。」
深い…眠りに堕ち…
意識を…無くした…
目を醒ますと…うっすら回りが明るくなっていた
「夢…?う~ん???リアル過ぎる…」
榊原が唸ってると…康太の手が伸びて来た
「どうしたよ?伊織…?」
「リアル過ぎる夢を…見てました…」
「そうか。」
「リアル過ぎて…不思議です…」
「どんなリアルだよ?」
康太はクスッと笑った
「……我が兄…赤龍の夢です…。
貴方と仲が良かったんですよね?」
「オレは四龍の兄弟とは…お前以外は仲が良かったからな。
そして、今も…仲良しだせ。」
「今も…?」
「そう。四悪童だしな。
共に生きてきたしな。」
「…緑川一生?
夢じゃなかったのですね…
なら、裏にいるのは、朱雀ですか?」
「そう言う事になるな。」
「そうですか。
………でも、何も変わりません。
僕は榊原伊織。……ですからね。」
「……お前らしいな、伊織。」
「康太、僕は君しか愛せません。
何になろうとも、何処へ行こうとも…
僕は君しか愛しません。」
「オレも。お前だけ愛してる…
何になろうとも、何処へ行こうとも…な。
お前だけ…愛してる。」
榊原は、康太に優しい接吻を贈った
そして……手は…康太の素肌を…弄った
康太の体が…榊原に反応する
「んっ…ぁ…伊織…ダメっ…」
「何でですか?」
榊原の舌が、康太を舐め…首筋を吸った
「こんなに乳首が尖ってますよ?」
「ぁん…ぁはん…イッちゃう…」
乳首を指で嬲られると…快感が突き抜ける…
脚の指先が…反り返り…体は…震えた
「君の体は…僕の為だけにあるんでしょ?」
「お前の為だけにある……っ…」
耳の穴に…舌を差し込まれ…舐められると…
感じまくりの辛い時間の始まりとなる…
「ぁ…あぁぁっ…伊織…」
榊原の手を掴み…康太は…自分の性器へと…導く…
が…スルッと…すり抜け…奥へと…指は…
滑って…穴を…触った…
襞を…確かめるように触られると…堪らなくて…康太は脚を開いた
「ねっ…触って…」
「触ってるでしょ?」
「お…奥を…掻いてぇ…ねっ…伊織…」
「奥?ですか?」
康太を俯せにして、お尻を高く向けさせ…
双丘を開いた
開くと…赤く色付く…襞が…ピクピクと蠢いていた
榊原は、そこを舌で…舐めた
襞を…伸ばす様に……舌と指で弄ると…
康太の腰は…妖しく動いた…
枕に顔を埋め…康太は…シーツを握り締めた
快感が…康太を襲う…だが…まだイケない…
一人で…イキたくはない…
苦悶の時間だった…
「蕩けましたよ?ココ。
どうして欲しいですか?」
「挿れてぇ…奥に…欲しい……」
「これを?ですか?」
榊原は焦らす
康太の入り口に…濡れた亀頭を擦り着けてるのに…入ってはくれなかった
「そう…ねっ…伊織…欲しい…」
康太の性器からは…ポタポタ…と滴が…滴る
榊原は、康太の腰を引き寄せると…
一気に貫いた…
榊原の方も…焦らす余裕が…なくなっていた
康太は…その衝撃で…イッてしまっていた
康太は…枕に顔を埋め…泣いた…
一緒にイキたかったのに…
しかも…バックからは…嫌だと…言ってるのに…
「康太?気持ち良くないですか?」
榊原が聞くと…康太は…堪えきれず…鼻を啜った
榊原は、康太から抜くと…膝の上に乗せて…
ゆっくりと肉棒を埋め込んだ
「康太?これで、良いですか?」
涙で濡れた瞳に…榊原は接吻を落とした
「イッて良いですか…?」
榊原は康太の体を抱き締め…抽挿を早めた
そして…康太の奥に…精液を…飛ばした
康太は…榊原の肩に…顔を埋め…抱き付いてはいなかった
「良くなかった?」
康太は…首をふった
「お前に抱かれて…嫌な事は…ねぇ…」
「なら、何で?」
「………続きは?しねぇなら、抜け…」
「康太?」
「……伊織…抜け」
「何で?何か気に触ったの?」
「違う…ぁっ…伊織!デカっ…」
榊原の肉棒は…康太の腸壁に育てられて…
硬く…太くなっていた
「君が、育てたんだよ?」
「ぁ…ぁぁっ…」
康太の腰が…反応して…動いてしまう
「ねっ…康太…言って?
何が嫌だったの?」
榊原は腰を使いながら…康太に問い質す
「……伊織に抱き着きたかった……だけだ…」
性欲の…処理…みたいに…抱かれた時期は…
何時も背後から繋がり…抱き着く事すら…
許してはくれなかった
それ以来…康太は…バックから…一方的に…
犯られるのは…苦手だった…
でも愛する男が…抱いてくれるなら…
何でも…受け止めて来た
でも…最初から…バックからだと…堪らなくなって……
心が…着いていかなくなるのだ…
康太の腕は…榊原を、抱かない…
榊原は……康太が…行為の最中…抱き着くのが好きなのを知っていて…背後から…繋がった…
しかも…今日は強引に…
まるで…昔…抱いた時の様に……
榊原は康太を抱き締めた
そして蕩けるような…接吻を…贈る
「康太…僕を抱き締めて…君の男を…抱き締めなさい」
康太の腕が…榊原の背中を掻き抱く…
康太の尻の割れ目からは…赤黒い…血管の浮き出た…肉棒が出し入れされていた…
その肉棒は…照り照りに濡れて光り…白い泡を立てて中を掻き回していた
部屋に卑猥な音が響き渡る…
ぬちゃ…ぐちゅぐちゅ…と穴を擦る……
音が…康太の喘ぎと…共に響き渡る…
「ぁん…イクッ…ねっ…イッて良い?」
「僕もイクので…二回目に突いた時に…一緒に!…………っ…ぁぁ…康太!」
二回目に貫かれた時に…康太は…射精した
榊原も…二回目に貫いた時に…康太の中に…精液を飛ばした
榊原は…康太の唇の端から流れた…
唾液を…舐めて…深い接吻をした
康太の腸壁に育てられてしまうから…中から抜くと…
康太の穴からは…大量の精液が流れ出た…
「康太、ごめんね。
君が最初からバックは嫌がってたのに…」
「…別に…バックから犯されるのが嫌な訳じゃねぇ…。
でも最初からは…心が…着いて行かなくなる…時もある…」
「君の赤く色付く襞を見たら…堪らなくなって…挿れてしまいました…。許してね」
「伊織…気にするな。」
「これ以上…犯ると…起きれなくなるので…起きますか?」
康太は榊原の口に…口付けた
そして……その唇を…下へと…下げた
康太は…榊原の、性器に…口を着けると…
舐めた
まだ満足はしていない筈なのだ…
ここ最近……していなかった
それで、二回で…我慢など…出来る筈などないのだ…
ペロペロと、舐め上げると……愛液を垂らして…亀頭を濡らした
「ぁっ…康太…」
「気持ち、良い?」
「気持ち良いです…あぁっ…堪りません…」
「このままイク?」
康太の指が…陰嚢を揉む…
睾丸を、遊ぶかのように…指で弄り…筋に添って…指を這わせた
「君の中で…イカせて…」
榊原は、熱い吐息で…康太の耳に囁いた
康太は…見せ付ける様に……榊原を舐めた
これから朝になると言うのに…部屋の中は…淫靡な空気で満ちていた
「ねっ…康太…来て…君の中へ…挿れさせて…」
康太は…榊原を、押し倒すと…その上に乗った
聳え立つ…肉棒に…狙いを定めると…
飲み込み始めた
榊原は、体を少し起こし…その様を見詰める
康太の小さな穴が…襞を伸ばし…榊原の肉棒を飲み込む様は…淫猥だった
榊原の腹に…手を着き…腰を揺する
榊原は康太の体を引き寄せた
隙間もなく…康太を抱き締めると…康太の腕が榊原に、巻き付きいた
「ぁん…伊織…」
「抱いて康太…もっとちゃんと僕を抱いて…」
「伊織…愛してる…」
「僕も愛してますよ。」
康太自ら愛する男に火を着けた…
愛する男は…火の着けられた熱を…康太の中へと注ぎ込む…
康太は…その熱が引くまで…蹂躙され悶え喘いだ…
気絶しなかったまでも…腰へのダメージは…凄く…
少しだけ…後悔した
朝から…するもんじゃねぇ!
…………と。
「康太…歩けますか?」
榊原は、責任を感じて康太に声をかける
「ん…。何とか歩ける…けど怠い。」
「止まれませんでした。
君が…あまりにも美味しいから。」
榊原は、許してね!とチュッと康太の頬にキスした
「宣言祭があんのによぉ…。」
「許してね。君を手にすると…止まりません
愛が詰まりすぎてるんです。許してね」
「許してる…許さなかったら別居だ…」
「別居は嫌です!
康太が腕の中にいないと眠れません…」
せっせと掃除に勤しみながらも…康太を労るのを忘れなかった
「康太愛してます。」
掃除機をかけながら言われても…
でも「オレも愛してんぜ!」
と返すしかなかった
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