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第52話 変革

康太は営業部の人間を帰宅させ、部屋を閉鎖した そして、その中の書類を総て持ち出し、空にした 社長室に戻ると、天宮はいなかった 康太は社長室のソファーに座ると足を組んだ 「飛鳥井建設は生まれ変わる。 それしか、生き残る事は出来ねぇ! 今、手を打たなきゃ、飛鳥井は残りもしねぇ! 潰れるのは時間の問題だ。 これからは、一般の仕事を増やしてかなきゃな! 大企業に頼って仕事する時代は終わった 後、役職を良い事に、使えねぇ古株が好き勝手してたら 風通しが悪くて空気が澱む! ふるいにかけて、風通しを良くしねぇと、これから先は難しくなる 飛鳥井建設は生まれ変わる それには一新しねぇとな。 何時までも企業接待してたら、会社は接待費ばかり嵩んで潰れるぜ! 経理と経費の透明性を打ち出さねぇとな! オレに逆らえば、例え親でもオレは切る! それが飛鳥井の為になる!」 清隆は「反対などしませんが、強引すぎやしませんか?」と問い質した 「強引にしねぇとな、証拠を隠滅するだろ? まぁ証拠を隠滅したって、こっちは証拠を握ってるけどな! 何故強引か解るか?」 「いいえ…」 「この会社はけっこう昔堅気な人間が多い そんな奴は役職に胡座をかいて、ふんぞり返って、ろくに仕事してねぇ 役職があろうが、何だろうが!不正は許さねぇ! と知らしめる必要があんだよ! 曝して…現実を見せる必要があんだよ!」 康太はそう言い、もう一枚のパンフレットを出して見せた 「今は就職難だからな、大々的な企業説明会を開いて、優秀な人材を確保するつもりだ! だからな、多少、退職してもな影響はねぇんだよ! 営業なら営業のエキスパートを、募集して、入れる。 今ならなかなりの人材が確保出来る。 これを、廊下に貼る! そうすれば、会社に残りたい奴は起爆剤になる筈だ。 ならねぇ奴は退職すれば良い。 生き残るには甘い事を言っていたらダメなんだよ! そんな甘い奴は生き残れねぇ!」 過酷な現状を口にする 康太は「飛鳥井建設の中身は腐りかけてる‥‥」とまで謂った そしてそれを招いたのは会社の体質でもある‥‥と。 「社長や副社長は、下にまで目が届いてなかったんだよ! それをやらなきゃいけねぇ、源右衛門は年を取りすぎて、見届けられなかった… ってのもあり、無法地帯だ! 好き勝手やっても見てねぇぞ! と使い込み…ヤクザに目を付けられた 経営者がバカでチョロいと思われたからな! そうならねぇ為に、絞めとく所は締めねぇとな! でないと、あっと言う間に、外資系の会社に吸収合併と言う名目で乗っ取られる! 目をつけられてんだよ!飛鳥井は! そう言う企業にも、飛鳥井建設には真贋、飛鳥井康太!と言う、名を通さねぇとな! 卒業と同時にオレはネットとTVと、戦略で時代を一歩リードする気だ 誰にも手出し出来ねぇ様にしねぇとな!」 康太はそう言い、立ち上がるとドアを開けた 急にドアを開けられた栗田と恵太は、唖然と立っていた 何たって…今、ドアをノックしょうと思っていたのに…ドアが開けたから… ドアの前には…恵太が栗田と立っていた 「栗田!恵太!文句は聞く耳は持ち合わせちゃいねぇんだよ! 飛鳥井家真贋に口を出すのはお前でも許しはしない!」 恵太は!それでも敢えて言わせて下さい!と頭を下げた 康太は部屋に入れてやった 「恵太、お前は既に飛鳥井の人間ではない! 敢えて言う資格など、ないのを忘れるな! 況してや真贋のオレに何を言う? 聞いてやるが、タダで済むとは想うなよ! お前の首で済ませてやる程、オレは甘くはねぇぜ!」 「こんな強引な事を許したら! 社員は着いて行けず…辞めてしまいますよ!」 「辞めるなら辞めれば良い。お前もな!」 康太は冷たい目で恵太を射抜いた 「んな甘い事をして来たから、漬け込まれるんだよ! 飛鳥井が潰れたら、社員の生活はどうする? んな甘い事を謂って、甘い汁を吸わせて来たから、会社は乗っ取られる一歩手前まで落ちるゆだろうが! その書類を見てみろ! これで黙ってたら…飛鳥井は外資系の会社に乗っ取られても文句は言えねぇな!」 瑛太は恵太に、書類を渡した 書類を見た恵太は…唖然となった 栗田もそれを見て……言葉をなくした 「飛鳥井建設の規律を正す! それは、真贋としての努め! 強引だろうが、恐怖に陥れようが! オレの務めだ!口を出すな! 口を出すなら、オレはお前等二人を切らねぇといけなくなる! オレは親でも迷うことなく切る! それが、オレの飛鳥井にいる、存在理由だ! 理由がなくなればオレは飛鳥井など捨ててやるのだがな!」 「康太…」恵太は…呟いた あまりにも辛い仕事を…康太がするから、いてもたってもいられずに来てしまった… 「瑛兄が入院した辺りから、飛鳥井は標的にされてたんだよ! 聡一郎に頼んで常に飛鳥井を見張らせてたら、出るわ!出るわ! それ等を潰して境界線を張らねぇとな、飛鳥井の明日は確実に来ねぇ! 社員の意識改革も求められて来るからな、まずは、恐怖を植え付けて、その後に誇りを植え付ける! 働いていて自慢出来る会社と言うのは、社員の意識も違う! と、まぁ、そう言う事だ! お前等は黙って見てろよ!口は出すな! 口を出せば、オレは切るぜ!例え兄でもな! それが飛鳥井家真贋の使命だ!帰れ!」 恵太と栗田は頭を下げて、社長室を後にしようとした 「恵兄!」 康太は、恵兄と呼んだ 恵太は振り返った 「週末に飛鳥井の家に来るのなら、仕事は持ち込むな…。蒼太も来る。 母ちゃんや父ちゃんは、お前等の事も心配してる! たまには顔を見せてやれ!解ったな」 「はい。仕事に口を挟む気はないです! でも……僕は…君が悪者になるのは堪えられなかったんだ! 何故?君は飛鳥井の為に命を懸けているのに…と、想うと…堪らなくなるんだ…。 飛鳥井の仕事には口を挟む気はない! でも弟の…身を案じる位は…… させてくれても…良いじゃないか!」 恵太は泣いていた 康太は立ち上がると…恵太の手を取った そしてソファーに座らせると、抱き締めた 「恵兄、父ちゃんや母ちゃんだって、お前や蒼太の事を心配してる…。 お前は飛鳥井の家は出たが…二人の子供じゃねぇのかよ? 親に何故逢いに来ない? そんなにお前や蒼太にとって、飛鳥井の家は敷居が高いのか? オレは……飛鳥井の真贋だ! 動く時に感情は…入れられないねぇ…。 でもな、親子や兄弟の情はあるぞ! 飛鳥井を出ても…お前は兄だと想い…精一杯の事はしてやった。 それはな、お前を…兄だと想うからだ! 母ちゃん達もそうだ! 定めだけどな…誰が自分の子供を切り捨てたい? 自分の子供が、幸せなら…と願って…止まねぇんだよ! そんな親の気持ちを…お前は解ってるのか…?」 「康太…」 恵太は…涙で濡れた顔で…康太を見上げた 「オレに…父ちゃんや母ちゃんの息子まで取り上げさせてくれるな。」 「康太…、僕は…君が苦手でした。 何でも見透かされて…可奈子と結婚した時に…君が寮に入ると聞いた時…はっきり言って安心しました…。 でも、僕は…君から目を離せなかった…。 やはり……君は僕の弟だから…。 君が軌道修正をしてくれたので…今は…凄く…楽に生きられてます…。 はっきり言って結婚生活は…苦痛でした…。 ヤケクソでしたから。 でも、子供が出来て…僕は…装っていました…。 それが出来なくなったのは…飛鳥井の家を出てから…… 一度も抱く気がなかったのに…可奈子は妊娠し……どうしようか…と、思ってた時に… 君が現れて…話を着けてくれました。 僕は…何も出来なかった…。 栗田から逃げて…不幸な女を作っただけでした…。 今の僕の幸せは…君がくれた… そう想うと…堪らなくなるんだ…。 君が会社にいる時…姿を見かけると… 元気でいてくれれば良いなって想う位に…」 「恵兄…泣くな…。 恵兄が幸せなら、オレも父ちゃんや母ちゃんだって安心する。 だから、笑ってろ、なっ! 週末には、飛鳥井へ来い。 蒼太も矢野と来る。 お前も栗田と来い。 家族全員揃って、母ちゃんや父ちゃんを安心させてやりてぇ オレが奪った子供を…父ちゃんや母ちゃんに見せられるなら…そうしてやりてぇんだ。 お前には栗田をくれてやったろ? そいつが、ずっと欲しかったんだろ? ならば泣くな…。 飛鳥井の扉は何時も開かれてる。 何時でも来れば良い。」 恵太は、康太…と言い抱き着いた 「恵兄…栗田が肩身の狭い想いをしてるぜ!」 康太が笑うと…栗田は 「貴方は意地悪ですね。」と溢した 「栗田!オレが意地悪なら瑛兄は鬼だな」 康太が言うと瑛太は 「失礼な!鬼は伊織ですよ!」とすかさず突っ込みを入れた 「失礼な!僕の何処が鬼ですか! 僕が鬼なら義兄さんは、悪魔です!」 「私は天使です!悪魔じゃありません!」 兄弟喧嘩が始まり…恵太は唖然となった 「あの二人は放っとけ! 寄ると言い合いばかりだ…」 康太がごちると、恵太は嘘…と信じられなかった 康太は笑って 「最近の瑛兄は、甘えん坊で大人気ねぇんだよ!」と笑った 恵太は、康太を抱き締めた 「康太、敷居は高いですが…歩み寄ります」 と、心から言葉を吐き出した 「そうか。なら、遊びに来い。 オレの子供を子守しやがれ! オレはな五人の子持ちになんだぜ!」 栗田も恵太も…五人の子持ちに…発言に唖然となった 「オレの子は明日の飛鳥井を築く礎になる 飛鳥井は…果てへと続く。 その道を絶やさない為にオレは動いてる 新しい血を入れ、古いしきたりを取っ払い、新しい風を入れ風通しを良くしねぇとな カビが生えて…飛鳥井は息堪える… それは出来ねぇんだよ! そうさせねぇ為に百年の時を越えて転生したんだからな、潰したら意味がねぇんだよ!」 家族の前で…転生したと言うのは初めてだった… でも、家族は知っていた… 菩提樹の、住職が言っていたから… 恵太は………転生…?と、やっと言葉にした 「飛鳥井は終焉を迎える時 力の強い、絶対的な者が転生して飛鳥井を終焉から救って来た。 それが、オレだよ! オレは幾度となく…転生して飛鳥井を軌道修正してきた。 そして、オレと共に転生してきたのは伊織だ。 オレの伴侶は未来永劫唯一人。 幾度転生しようともな、伴侶は一人。 この先もな。 これが最後の仕事だ オレは次は転生はしねぇ! オレの転生はこれで終わりだ。 決まってる 次の転生は源右衛門辺りが頑張るしかねぇな。」 冗談めかして康太は、さらっと言った 「オレは絶対の飛鳥井の明日を築く。 そして、人の世を終える。 後悔なく、想うことなく。 オレは次の真贋に飛鳥井の明日を託す。 それが使命だ! 飛鳥井はそうして、受け継がれ…続いて来た これからも、そうして受け継がれて行く お前はその一族の子供だ! 胸張って生きていけ。」 優しく…康太は、恵太を撫で言葉をかけた 恵太は、頷き…顔を上げた 「飛鳥井の誇りまでは、なくしてはいません! 今に、君に報いる図面を引きます!」 「そうか。頼もしいな!」 康太は笑った 「ならな、恵兄。 週末には必ず飛鳥井の家に来いよ。 兄弟全員揃うぜ!  家族全員揃うんだぜ オレは両親に…そんな姿を見せてやりてぇんだよ! それがオレの……想いだ…。 誰よりも幸せに笑ってろ!」 康太は恵太の頬にキスを落とした そして、笑って立ち上がると 「オレは社内を見回って、そのまま帰るわ!」 と言い、社長室を出て行った その後に榊原や一生達が続いて…出て行った 社長室を出て行く康太を、恵太は見送って…両親に「知っていたんですか?」と問い質した 「康太が転生し子だと…知っていたんですか?」 瑛太は「知っていた。だけど、母の腹から産まれた我が弟だ! 誰よりも私は康太を愛す。 康太の為に私は生きている! そう思っています。」と、恵太に告げた 玲香も「我が腹を痛めし子供だ。 魂は引き継ぎかも知れぬが、我が生んだ子だ! アレの行く末は誰よりも険しい…。 我は康太が、笑って幸せなら、それで良い 伴侶を得て、幸せそうな顔を、見れるなら、それで良い。 我はどの子も可愛い。 お前もな…恵太 康太はそれを解ってくれていて…我から子供を…断ち切らぬようにしてくれた。 康太の愛じゃ。 我を愛してくれる康太の愛を…我は泣ける程に…感じている…」と刹那に語った 清隆は「康太の器の中に転生の魂が入ってるだけで、我が子に変わりはない。 康太は飛鳥井家の真贋と言う、重い鎖に繋がれて出てきただけで、私の子供なのに間違いはない。 妻、玲香と愛し合いし子だ。 私の可愛い子供だ。 お前も康太も変わりはない。 蒼太も悠太も瑛太も私の子供だ。」と揺るぎない想いを語った 親の愛を…目の当たりに…想い知らされた… 恵太は、立ち上がると… 深々と…頭を下げた 「僕は飛鳥井の家に産まれて来た事を誇りに思います。 そして、我が弟、康太を誇りに思います。」 そう言い、栗田と部屋を出て行った 飛鳥井建設の中を康太が歩くと、社員は逃げ出した 榊原は「逃げると言う事は、飛鳥井家の真贋を敬ってないと見做します! 社員でいる資格も資質も無き者には、それなりの対処しかしません!」と、大声で話し、ポスターを貼って歩いた 「教育のなってない社員より、新しく教育をした社員の方が使いやすく、真贋を敬いそうですね。」 と、嗤い、ポスターを貼る姿を…社員は…固唾を飲んで…見ていた 「社訓が出来ねぇ奴は解雇対象だと、書いた契約書にサインしてるしな。 大量に解雇しても、募集すれば良い訳だした。 そろそろ、オレも本気を見せねぇとな!」 と言い、康太は逃げた奴の名前を呼び上げ、力哉にチェックさせた 「逃げた奴は解雇だ!力哉、解雇通告を送っとけ!」 「はい。明日の朝一番に突き着けときます」 と、言われれば…青褪めるしかなかった その時、前から瑛太の秘書の佐伯が歩いて来た 榊原が貼るポスターを見て、佐伯は大爆笑した 「すげぇじゃん! 平社員は歓迎だろうな! 飛鳥井家真贋、飛鳥井康太は、駄目なら親でも切る! 飛鳥井の家の為、会社の為に在る存在だからな! その真贋の決め事なら従わねぇとな! さてと、仕事して来るか! 首になったら堪らねぇもんな!」 と、楽しそうに…最上階のエレベーターに乗り込んだ 康太から逃げた社員は…副社長か社長に泣き付いて…何とかしてもらおうとしたが… 秘書に門前払いにされ…本気で…青褪めた 飛鳥井建設の大量の解雇は…新聞やニュースで大々的に取り上げられ 用意したかの様に、記者会見が開かれた 記者会見を開いたのは…飛鳥井康太 飛鳥井瑛太、顧問弁護士の天宮東青の三人だった 「飛鳥井建設は、この度大量の社員の解雇を行いないます。 経営不振とかではなく、堂々と社内で接待と言う名目の横領が蔓延っておりましたので、今回の社員の解雇を決めました それと同時に、横領に荷担した業者との契約も解消致しました事を此処にご報告申し上げます。」 康太は堂々とした態度で記者会見に姿を表した 「飛鳥井家真贋は、先日世代交代を致しました。 前真贋が高齢と言う事もあり、目が行き届かなかった期間があり、その間に、接待と言う名目で好き放題会社の金を使われた現実があります。 1ヶ月数百万、それらが接待と言う名目で使われ、仕事には生かされなかった現実があります! 手元の資料を後で参考になさって下さい。 この機会に、社内を一掃し、大幅な人員整理と経費削減を打ち出します 今後飛鳥井建設は不透明接待は一切経費として認めません! 社内に会談を出きるスペースを作るのでそこでの接待のみとなります! 今回経理を調べて驚いた事は、あまりにも透明性を欠いているモノが多すぎた事です 社員の意識の低下は否めません! 今後、飛鳥井建設は生まれ変わる為に飛鳥井建設は能力性、能力給を取り入れる事を此処に発表致します 社員全員能力試験を受けて貰い、能力と度量と器量を推し量り、それ相応の人間を据えたいと想っています 今現在課長職にあったとしても、能力が低ければ平社員になる可能性もある それに不満ならば会社を辞めれば良い! わが社に相応しくない人間を残らせる気は一切ない事を此処に宣言致します 今後もお客様を第一に、地域に貢献できる会社を目指します。」 康太の独壇場だった 宣言したら…会社は…それに従うしかない… この記者会見を…見た社員は…改革の現実を嫌と言う程に見せ付けられた事となった 社員を解雇にするに、当たっても… 飛鳥井には独特な社内のルールと規律があり、入社前に飛鳥井の家の説明を受け、承諾書も受け取っている それに逆らうならば解雇になったとしても文句は言える筈はない状況も出来ていた 大々的に外に向けて宣言すれば… 飛鳥井家 真贋の存在理由を見せ付け… 手出しをしようとする会社は鳴りを潜める… 飛鳥井康太、此処に在り! と、内外に知らしめた瞬間だった 「飛鳥井建設は新たに社員食堂と託児所を解説します。 その社員食堂は、一般の方にも解放します 企業のランチを低価格で楽しめるように工夫していけたら良いかと思っております 託児所の方は当面、社員対象です 託児所の設置の第一条件が、婚姻による流失を食い止めるためです 結婚しても退職する事なく、仕事が続けられ、女性の企業の力も、飛鳥井建設では大切な戦力として、今後もサポートして行こうと思ってます。 便利で、近くに在る飛鳥井建設を目指して、一般の方でも注文がしやすいように実績を作って行こうと思っております。 新年度から対応出来る様に、認可もとってあります。 飛鳥井建設は生まれ変わります。 それを此処にご報告申し上げます」 戦略で…マスコミを上手く使った宣伝効果になり 尚且つ、社員に…恐怖を与える現実を突き着けた! 一条隼人の記者会見に出た姿とは…違って… 飛鳥井家の真贋を全面に押し出し… 恐怖を抱かせる…戦略は見事に的中した 「飛鳥井建設はこれからも、地域の方に大切に思われる会社で在りたいと思います。」 康太はそう言うと、後は何も言わず、カメラを見詰め微動だにしなかった 記者からの質問は瑛太が答え 天宮が今後の展開や状況を説明し、記者会見は終わった カメラは…説明の瑛太ではなく…天宮ではなく… 康太の場所で止まって…康太は堂々とカメラを見続けた 会見後の質問の時、女性の記者は 「飛鳥井康太! 貴方は真贋として見えてなかったのですか!」 と質問を投げ掛けた 「物事には順番がある オレは真贋を受け継いだのは最近だ! それ以前に口出しは出来ぬ状況に在った! 見えてるからと言って、動けるものではない! 貴方がご亭主との離婚が泥沼化している様に、闇雲に動いて先が変わる訳ではない。 貴方はオレに声をかけた事により、泥沼の離婚は終わる! 貴方の亭主でいるだけで好奇の目で見られるのは勘弁と…離婚してくれますよ?」 康太は嗤って…瞳はその女性記者を貫いていた カメラは…一斉に女性記者に向いた 「オレは飛鳥井に関係のなき者は見ない でもな、貴方の星を詠めば、今の貴方の状況など手に取るように解る。 それと同じで、タイミングと勝機を見極める時期があると言う訳だ。宜しいですか?」 女性記者は、「申し訳有りませんでした」と謝罪した 長く続いた記者会見は終わった 人々の胸に様々な想いを抱かせて‥‥

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