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第60話 命
日曜の朝…赤面しまくりの恵太が…栗田に連れられキッチンにやって来た
康太は榊原や、一生達と共に食事をしていた
日曜は皆、勝手に起きてきて食べていた
今朝は榊原が作って、康太に食べさせていた
恵太の姿を見て、慎一が榊原を手伝い食事の準備をする
榊原は、恵太と栗田の前に…珈琲を置くと、「何を食べます?」と聞いた
康太の前には…和食が…他にはサラダと珈琲とクロワッサンが……。
恵太は「クロワッサンとサラダを。」と言うと、クロワッサンとサラダを置いた
食卓に康太の沢庵を食べるポリポリと言う音が響いていた
康太は果てを見て……ポリポリ沢庵を食べていた
榊原は、沢庵を隠すと…やっと手元を見て…榊原を、見た
「意地悪……」
箸を食わえながら…榊原をじぃーっと見ると
…仕方なく榊原は沢庵を返した
「一生、明日は学校には行けねぇと、貴史に伝えといてくれ!
聡一郎、ホテルニューグランドに取ってある部屋を替えてくれ
グレードの高い部屋に交換だ
慎一、聡一郎に確認したら戸浪に連絡を入れといてくれ。
オレは11時にはホテルに行ってるってな」
康太は明日の予定を辿って行く
「帰りに飛鳥井へ寄らねぇとな!
社員の様子を見て回る!
会社はもうリフオームに入ってんだよな?瑛兄?」
康太は前を向いたまま…後ろに姿を現した瑛太に声をかけた
瑛太は「はい。三階の部屋の壁は総て取っ払われ、広々とした空間が広がってます。
来週には企業説明会でしょ?
社員は首を切られない為に緊張してますよ…」と康太に説明した
「解雇通告の社員の解雇もしたんだよな?」
「しました。本人は不当だと裁判を起こしたみたいです!」
「捨てておけ!裁判の前に自爆する!
企業相手に裁判をするには、金も準備も相当要る…考えるだけで気が遠い作業だ」
「解りました、捨て置きます」
「飛鳥井は緊張感が足らねぇんだよ!
この不景気なご時世に終身雇用なんて夢見てるんじゃねぇっていうんだ!
首を切った奴が報復の為に誰かを刺されたとしても…揺らがねぇぜ!
働く人間の上に会社と言う屋台骨が在るんだ!働かずに役職に胡座をかく人間の為に在るんじゃねぇよ!」
康太はさらっと言った…
「康太…今…物騒な事をさらっと言いましたね!誰か‥‥刺されるのですか?」
「言ったっけ?んな事?」
康太は、しらばっくれた
「瑛兄、企業説明会の面接官は、オレと瑛兄と、進藤と言う、議員を育てる仕事をする奴が当たる!
後、議員の三木繁雄!
そして、相賀和成、須賀直人を特別面接官として入れる!異存はねぇよな?」
「有りません!」
「そして、脇田誠一。」
「えっ!」瑛太は驚愕の瞳で康太を見た
「企業説明会の場には報道も入れる
オレは、直ぐに使える社員が欲しい訳で、育てるのは新入社員を育てれば良いかんな!
使えて、人間性も良く、頭の回転が良い奴が良い。
幾ら頭が良くても、機転が効かねぇ奴は御免だ!
後、飛鳥井は昇進するのに昇進試験を登用する。
資格のない者はずっとヒラで十分だ!
今年度から、やる。
会社に残りたいなら努力を怠るな!と、言うことだ!」
「解りました。
佐伯に伝令を流させます。」
「嫌、月曜の午後に集会を開く!
社員を集めて告示する!
実力なき者は、容赦なく振り落とす!
それがオレの狙いだ!」
「副社長室にはかなりの人間が命乞いに来てるので…佐伯が…怒りまくりです…」
「命乞いしたって、無能なバカは要らねぇんだよ!
命乞いに来る前に仕事しろって話だけどな!
今までは…社長や副社長に泣き付けば何とかなった…と、言う考えなんだろうな
そんな甘い会社が…何処に有るんだよ!
今企業は戦国の世の中と同じで生きてくのに大変なんだぜ!
飛鳥井は甘かった…
それで会社の収益は赤字で下方修正しねぇと成り立たねぇなんて…。
この不景気な中…そんなん続けたら3年も持たねぇよ!
今だって下手したらヤバイんだぜ…。
生きてく為には仕方ねぇ事もあんだよ!」
「解っております。」
「飛鳥井が生き残れるかの瀬戸際だ…
非情になれ!
例え…誰かが刺されようとも…屈してはいけねぇんだよ!」
「……………解っております。」
康太はそう言うと、後は、何も言わなかった
恵太と栗田が食事を終えると、康太は恵太に
「さぁ飛鳥井恵太、引っ越ししょうぜ!」とニカッと笑った
恵太は「え?今日?」と焦った
「おう!無理矢理でも引っ越さねぇとな、来ねぇだろ?
ほら、引っ越し業者の車が着く前に、行くぜ!」
「引っ越し業者ぁ~!嘘ぉ!」
「オレが嘘言った事があんのかよ!」
「ない…」
「ならば、行くぞ!」
康太は恵太と栗田を急かした
榊原は動きやすい服を着て、康太は可愛らしい服を着ていた
「オレは戦力にならねぇかんな!
その分オレの愛する伊織が動いてくれる。
って言っても作業は引っ越し業者がするからな、肉体労働はしねぇけどな…」
康太は榊原に抱き上げられ、榊原に擦り擦りしていた
栗田は「本気で言ってますか?」と康太に問い返した
康太の変わりに慎一が前に出て栗田に
「我が主は冗談など言わない!」と迫った
康太は「グズグズすんな!早く荷物を纏めねぇと、放り出すぞ!」と怒った
「家具は動かすな!
お前等の服や必需品だけ動かせ。」
康太の言葉に…恵太は
「なら…?家具はなし?
持ってっちゃダメなの?」と聞いた
「家具はもう入ってる。
本当なら神野のビルが建った時に引っ越させようと思ってたんだが…子供が先に産まれちまったからな…遅くなった。
だから、蒼太の隣の部屋には、もうお前達の部屋があんだよ!
家具も総て入ってる。
あのビルはオレのビルじゃねぇかんな、共益費は払えよ。
今いるビルはオレの持ちビルだけどな、蒼太の所は神野の持ちビルなんだよ!」
「ええぇっ!嘘…知らなかった…」
「飛鳥井は馬を育てる。
その馬が利益を上げし時、飛鳥井へ返還する。飛鳥井の家の為だ
そうして、飛鳥井は受け継がれて行く…
それを、絶やすのは…許されねぇんだよ!
さぁ、行くぜ!」
恵太と栗田は、言葉もなかった
飛鳥井家 真贋
その重さに…口など…開ける筈もなかった…
頃合いを見付けて慎一が康太の変わりに動き出す
慎一は康太に神野のビルの部屋の鍵を持って来た
康太は慎一に渡してやれ、と言うと慎一が、恵太に渡した
「これが新しいマンションの鍵です。
そして、これが、マンションの権利書です
固定資産税は、無論かかりますので、支払って下さいね。
後、管理費と共益費が毎月掛かります。
詳しい事はこのパンフレットに書いておきました。解らない所は有りますか?」
恵太と栗田は、首をふった
康太が動かなくても…回りの人間が…変わりに動いていた
飛鳥井の家にいる……存在理由が…明確に役割分担されていた
栗田は康太に頭を下げた
「宜しくお願いします!」
そう言うと、恵太を立たせた
「伊織、さっさと逝くぞ!」
榊原に抱き上げられたまま、外の駐車場に行くと、康太は恵太と栗田に榊原の車の後ろに乗れ…と、言った
車に乗り込むと、康太は榊原に、神野のビルに先に行ってくれねぇか?と言った
「先に、新居を教える。」
榊原は、康太の指示通り、神野のビルに向かって走った
神野のビルに着くと、康太は車を降りた
「1階が芸能事務所だ。
2階をタレントのマンションとスタジオだ
1階と2階は入り口が別になってて入れねぇ様になってる。
3階と4階がテナントだ。
宙夢のテナントは3階に入ってる。
テナントは既に埋ってる。
マンションもお前の部屋以外は満室だ。
で、5階と6階をマンションだが、6階は、3LDKの部屋が5部屋入ってる。
神野の家と蒼太の家とお前達の部屋と、神野ん所の人気タレントが入ってるだけだ安心しろ
芸能事務所には、24時間監視カメラが着いててセキュリティは確かだぜ
入り口は全く別になってる。
こっちの、方がマンションのエントランスで、このエレベータで上に上がる。
伊織、3階に止まってくれ。」
榊原は3階のボタンを押した
宙夢のアトリエの呼び鈴を押すと、蒼太が出迎えてくれた
「康太、やっと恵太の引っ越ですか?」と嬉しそうに話した
飛鳥井にいた頃の…面影などなかった
「そう。これから引っ越して来るぜ」
「恵太、栗田君、宜しく」
蒼太が二人に挨拶する
「ならな、蒼兄、部屋を見に行かせる」
「荷物が来たら手伝うからね!
声をかけて!」
康太は、あぁ、頼む。と答え片手をあげた
そして、エレベータに乗り込み6階へと向かう
「オレは合鍵なんか持ってねぇかんな!
開けろ!」
康太はドアを開けるように指示した
恵太は鍵を差し込み…ドアを開けると…康太は部屋の中に押し込んだ
「この部屋の家具は、伊織の母親の北城真矢さんが、見立ててくれた。
蒼太の所の家具は、飛鳥井玲香の見立てだ
同じ間取りだが、部屋の雰囲気は全く違う。
オレは買い物は…した事がねぇからな頼んだ」
康太の言葉に…栗田は…
「買い物をした事がない…って……服とか…も、ですか?」
「家を出て寮に入るまでは洗濯も…出来なかった…。
服とかは…瑛兄か母ちゃんが買ってくれてたから…買ったことすらねぇ
今は伊織が総て用意してくれるからな…買ったことすらねぇよ。
オレは買い物すら行かねぇからな…行ったとしても戦力にもなりゃしねぇ
伊織のネクタイ買うだけでも…一生達にやってもらったかんな…さっぱりダメだ…
伊織が…服も着せてくれるかんな…そのうちおれは何も出来なくなったりしてな。」
康太は爆笑した
でも…笑うには無理があり過ぎてて…困った
康太の事総て榊原がやって…榊原がいなきゃ生きていけなくする……榊原の想いが…怖すぎて…
康太はカーテンを開けて、窓を開けた…
見晴らしの良い景色が窓一面に広がっていた
此処は高台の…角地だった
窓の下は…見晴らしが良く日当たりも良かった
そして何より静かだった
「リビングに寝室、そして、恵太の製図が引ける部屋を作った。後一部屋は遺しておけ!
さてと、行くぜ!テキパキやんぜ!」
康太は部屋を出ると、さっさとエレベータのボタンを押した
恵太は慌ててドアに鍵をかって、康太の後を追った
「このマンションは静かだぜ!
買い物も近くにスーパーがあるし
、便利だ……。
伊織…怠い…。」
康太は榊原に腕を伸ばすと、榊原は康太を抱き上げた
「痛いですか?」
「痛くないけど…怠い…。」
「抜けませんでしたからね。」
榊原は、康太の頬にキスして抱き締めた
恵太と栗田は…居たたまれなかった…
新婚の様な熱さに…やられそうだった
駐車場に行くと、榊原は後部座席のドアを開け恵太と栗田を、促し、助手席に康太を座らせた
気配りの出来る男は…何に対しても気配りが出来ていた
康太は榊原の膝に頭を置いて…丸くなった
恵太と栗田のマンションへ向け走っていると…康太は起き上がり…
天を見上げた
「弥勒、どうした?」
『暁慶が中国の地を飛び立った』
「そうか…ならば、明日はホテルに現れるな。」
『李家 総統として、堂々と日本の地へ降り立つ』
「そうか。」
弥勒は…康太の耳元で囁いてから…気配を消した
弥勒の気配は消え…康太は……瞳を閉じた
恵太と栗田は……姿なき声に…康太の背負う重さを感じていた
恵太のマンションへ着くと、引っ越し業者は既に待機していた
業者はサクサクと荷物を積み出す手筈を整え…荷造りをして、恵太と栗田の私物は総て無くなった
康太はソファーに座り…瞳を閉じていた
榊原は、部屋のチェックをして、恵太と栗田に家の鍵や権利書を渡して貰い、それをチェックして鞄に入れた
そして戸締まりして、火の元を元から停め、ブレーカーを下ろした
そして、玄関を開けてくると、総ての部屋のカーテンを閉めた
そして、康太を抱き上げ、部屋を出て、恵太と栗田の新居へと向かった
恵太と栗田の新居の前で二人を下ろすと
「後は業者に下ろして貰い、二人で片付けろ!
後、蒼太の所へ声をかけてやってくれ。
オレはこのまま飛鳥井の家に帰る
これからはちょくちょく遊びに来いよ
オレの子供の子守りをしろ。
宙夢なんて毎日来て、遊んでんぜ!
なら、片付いたら来いよ!じゃあな!」と、二人に声をかけた
恵太は涙ながらに…康太に「ありがとう…」と言い
栗田は「本当に有り難う御座いました。
飛鳥井の家にマメに行く様にします」と頭を下げた
康太は「ならな。」と片手をあげると、榊原は車を走らせた
その日の晩、キッチンで夕飯を家族で食べてる時、康太は恵太と栗田の引っ越しを家族に告げた
「母ちゃん、恵兄も近くに越して来たし、顔が見たきゃ呼べば良い。
もう……自分を責めて泣かなくて…良い…。
気丈に虚勢を張らなくて良い…。
子供に逢いたいなら逢いに行け!
誰も母ちゃんを、責めやしねぇよ」
「康太…」
「父ちゃんもな、もう苦しまなくて良い
もう…背負った荷物は下ろせ!
オレが背負ってやっから下ろせ!
飛鳥井の一族の明日はオレが導く
だから父ちゃんも母ちゃんも、もう…苦しまなくて良い。
オレには伊織がいる、瑛兄がいる、仲間がいる。オレは負けねぇぜ!絶対に!」
康太はそう言いニカッと親指を立てた
清隆も玲香も……涙で…塩っ辛い夕飯を食べていた
月曜の朝、康太と榊原は、先に朝食を取ってから着替えようと、キッチンへ降り立った
榊原が康太の朝の支度をしてやると、康太はそれを黙々と食べた
康太は何かあると…極端に口数か減る
しかも…今朝はサラダとミルクで良いと言っていた
榊原は、康太の前にサラダとミルクを置くと、自分の前にもサラダと珈琲を置いた
食事をしてると玲香がやって来て、康太の食事を見て驚いていた
………でも、何も言わず…黙々とサラダを食べてる康太を見ると…何も言えなかった
康太は最後まで食べれず、ミルクを飲んで、朝食を終えた
康太が食事を終えると、一生や聡一郎、隼人と慎一がキッチンにやって来た
一生達が席に着くと康太は口を開いた
康太は一生達に「今日は会社に来なくて良い。」と告げた
一生は「えっ?学校休みなのに?」と聞き返した
「今日は来るな!
絶対に!来るな!良いな」と念を押した
そう言うと立ち上がりキッチンを後にした
そして、自室に着替えに行くと、榊原にヴェルサーチのスーツを出してもらった
ポケットチーフをお揃いで入れて、支度をすると、寝室に鍵をかけ、康太は1階まで向かった
途中で瑛太に逢うが…康太は何も言わず…横を通り過ぎた
こんな時の康太は……触れない…から、瑛太は…何も言わずに見送った
「伊織、部屋は取ってある。
行くとするか。」
「まだ……早いですよ?」
「…………伊織…」
「解りました。行きましょうか。」
榊原は康太の言う通りにしてやる
康太を玄関に促し、靴を履いて外に出ると、栗田の車が…それに気付き車を停めた
榊原は、頭を軽く下げるが、康太は無視だった
それどころか、助手席に乗り込むと…瞳を閉じ微動だにしなかった
栗田の車は…通りすぎて行き…榊原もエンジンをかけ、車を走らせた
「何かありましたか?」
榊原は、康太に声をかけた
恵太の引っ越しの途中から…康太は変わった
正確には…弥勒の声がした辺りから…
「何もない…気にするな」
こんな時の康太は口を割らない…
ホテルニューグランドに到着すると、榊原はフロントに予約の飛鳥井ですと、告げkeyを貰った
案内を辞退させ、部屋に行くと、康太はソファーに座った
榊原は、ソファーに座ると、康太を持ち上げ向かい合わせに…跨がせた
額と額を合わせて…瞳を見つめた
「康太、何があったの?話して…」
「………見えてる果ては…言えねぇんだよ伊織…。
丸々変えてはいけねぇんだよ…
変えれば…オレは討たれる存在になる…」
「康太…そうでしたね…」
榊原は、康太を抱き締めた
「……伊織…オレは間違ったのかな…」
榊原は…今朝康太が漏らした……
例え刺されてようとも…の康太の言葉を思い出した…
あれは…言葉のあやではないのだろう…
「君は間違ってはいません!
例え誰かが…刃を向けようとも…屈したりはしない!君は僕が守ります!」
「伊織…」
康太は…榊原を掻き抱いた
そして、そのまま時を止めたかの様に……ずっとい抱き合っていた
11時前に戸浪海里はやって来た
そして、その後直ぐに…ドアがノックされ、榊原が、開けに行くと……
黒い生地に銀糸で龍の刺繍を入れたチャイナ服に身を包み
腰まで長い髪を後ろで1つに三つ編み結った、李 暁慶が立っていた
暁慶の後ろには数人の護衛を引き連れていた
暁慶は部屋に入ってくると、康太に深々と頭を下げた
「本当に…貴方は怖い人だ…。
貴方を味方に着けたからこそ導き出せた勝利でした」
暁慶は艶然と笑った
「オレの力じゃねぇぜ
おめぇが動けばこその勝利だろ?」
康太は不敵に嗤うと、ソファーにドカッと座った
「暁慶、中国のトナミ海運の荷物は渡してくれ!」
「解っております
中国で足止めしてある荷物は総て日本に向けて出国させました
中国のトナミ海運の会社は、私が貴方が投資した金額で買って差上げます」
戸浪は…信じられない想いで一杯だった
「今後、絶対の保証をしてやろう!
私は命を懸けて飛鳥井康太を守る
そして、トナミ海運は、李家の名に懸けて、守って差上げます
飛鳥井康太の大切な人間を…私も守る…
私の命の続く限り…それを誓う!」
康太は優しい顔をして笑っていた
話が終わると、暁慶は、遣る事が沢山在るから…と言い帰って行った
康太と戸浪に、落ち着いたらまた中華を食べに来てくださいね!と念を押し…帰って行った
中華料理は…暁慶の趣味…みたいだ
康太も…暁慶が、帰ると、飛鳥井へ行かねばならないので…と、言い帰る事を戸浪に告げた
戸浪は残念がって…落ち着いたらまた食事でもしましょう!と、念を押して帰っていった
榊原はホテルの支払いをして…ホテルを後にした
康太は……飛鳥井建設へと向かった
地下の駐車場に車を停めると…康太は…車から下りた
康太は毅然と前を見据えていた
榊原がエレベータのボタンを押すとドアが開いた
榊原は、エレベータ乗り込み…康太を呼んだ
「康太?どうしました?」
榊原が腕を伸ばし、康太を掴もうとした時…
…康太が乗り込もうとした…その時‥‥
柱の影から…一人の男が飛び出して来た
手にはナイフが握られていた…
康太は逃げる事なくナイフの刃先に立ち…
エレベータの閉じるボタンを押した
榊原は、慌ててドアに手をかけたが……ドアは閉まろうとした
「康太!康太!やめ!」
榊原は、非常緊急停止ボタンを押した
ナイフを持った男は、康太目掛けてナイフを振り回した
榊原は、叫んでいた!
でも、榊原を押し込めなければ………
榊原は康太を庇って…ナイフの前に…出ていた
榊原を傷付ける事は…絶対に嫌だった…
そこへ力哉の車が…入ってきて…慌てて車から、一生は飛び降りた
康太は一生に
「来るな!誰も来るな!」と叫んだ
血だらけの姿は…榊原と一生……だった
だから、わざわざ、一生を置いて来たのに!
なぜ来る?何故いる?
一生は、康太をナイフの刃先から庇おうと、康太を抱き締めた
慎一も車から飛び降り走った
榊原は、閉まりかかったドアに足を挟んでいた
そのエレベータドアをこじ開け…康太の元へと走った
「止めろ!来るなぁ!」
康太は泣き叫んだ!
これじゃぁ!見えてる果てと変わらない…
失うのか…榊原と一生を?
嫌だ!それは嫌だ!
「伊織!止めろ!一生!やめ!」
叫ぶ康太目掛けて…ナイフが向かってくる…
一生は康太を強く抱き締めた…!
慎一は壁になった!
榊原は、そのナイフを…素手で掴んだ!
「伊織!ダメ!止めろ!」
康太は泣き叫んだ!
男は榊原の、握りしめたナイフは捨てて
他の隠し持ったナイフを取り出し、再び…康太を襲った
康太は抱き締める一生を離そうとした
でないと、一生が標的にされてしまうから…
康太は焦った
このままでは…見えてる果てと同じだから…
何故?変わらない?
何故救えない?
ナイフは康太を庇った一生の肩に…突き刺さった!
男は「ははははっ!ざまあみろ!」と叫んだ
慎一はその男の鳩尾に拳を入れ、容赦なく殴り付けた!
慎一は…動けば康太に刃先が行くと出遅れた
…その所為で…一生を傷付けて…自分にも相手にも腹が立って仕方がなかった
聡一郎は…慌てて救急車を呼んだ
そして、警察も呼んだ
騒ぎを聞き付けて…瑛太が地下に来ると…
血だらけの一生と、榊原が救急車に乗せられる所だった
血だらけの康太が……一生にしがみついて…泣いていた
そして、そんな康太を血を流す…榊原が支えていた…
一生と共に救急車に乗って…榊原も手当てを受ける事となり…
榊原は康太を抱き締めたまま…救急車に乗り込んだ
瑛太は「康太!」と叫んだ!
瑛太の目の前を…救急車が通り過ぎて行った……
慎一は、犯人を捕まえて離さなかった!
警察が駆け付けると、慎一は状況を話し
監視カメラが在るから、確認しろ!と監視カメラを指差した
犯人は飛鳥井の…元管理職の人間だった
慎一は瑛太に「社員を一堂に3階に集めなさい!
康太に昨夜…言い遣っている!」
と言い瑛太に指示を出した
「康太は…帰って来る!
例え血だらけに成ろうとも…我が主は、社員の前に立つ!
俺はその場を作る使命を授かって来た。
邪魔立てするな!」
鬼気迫る迫力があった
瑛太は「ならば、副社長に来なさい!
君が伝令を出しなさい!」
と言い、エレベータのボタンを押した
副社長に行くと、慎一は康太の命令を遂行すべく動いた
『慎一…頼みがある…。誰にも言うな!
そして、会社に一生達を越させるな!
約束してくれ!』
と、頼まれた
夜明け前に…寝静まった部屋のドアがノックされた…
ドアを開けると康太が部屋の前に立っていた
『どうやら…オレは狙われるらしい…。
だが…刺されるのは…オレじゃねぇ……
オレを庇って伊織や一生が刺される…
それは嫌だ!
だから、一生を会社に来させるな!
そして…もし…オレが刺されても…オレは会社に帰って来る…
だから、社員を集めといてくれ!
頼む…慎一…主の命令だ!遂行してくれ!』
頼まれれば…嫌とは言えなかった
主の頼みは…何としてでも聞かねばならぬ…
でも……落ち着かずに…いると…一生に問い詰められた…
康太が刺されるかも知れないのに…家になどいられなかった
そこを一生に問い詰められた…!
問い詰められ……総て白状させられた
康太の頼みも…総て話させられた
慌てて…一生は、会社へと向かって…
刺された…
康太は…一生を守ろうとして…いたのに!!
慎一は自責の念に駆られていた
救急車に乗り込んだ榊原と一生は、応急措置を施されていた
そして、榊原に抱き締められた康太に…
怪我はないのかと…救急隊員は尋ねた
何たって…血だらけで…誰よりも青褪め憔悴しきっていたから…
救急隊員が怪我の状況を見ようとしても…
康太は…「触るな!」と拒んだ
榊原が「康太は怪我などしていません!
触らないで下さい!」と救急隊員に頼んだ
子供の様な顔をして脅えて……
榊原に抱き着く様は…痛々しかった
「何で来るんだよ!一生!
お前を傷付けたくなかったのに!
何でだよ!」
康太は泣き叫んだ!
一生は榊原の胸にしがみつく康太を抱き寄せ…
「オレは死んじゃいねぇ!
お前が死ぬ方が、俺はこの傷よりも痛てぇんだよ!
何で解らねぇんだよ!康太!!」
と、怒鳴った!
「一生……」
「宣言祭も近いかんな!
くたばってる暇はねぇんだよ!
泣くな!康太!!
飛鳥井康太は俺の誇りだ!
泣くんじゃねぇ!」
一生は、康太を抱き締め…そう言った
救急隊員は、その時になって……
やっと目の前の…少年が…飛鳥井康太だと気付いた
子供の様な……姿にしか…映らなかった…
総合病院に運ばれた榊原と一生は、飛鳥井からの搬送だと、緊急を聞き付けた久遠が待ち受けていた
久遠の手によって、緊急オペを受けた
一生は、急所を外していたって事で、5針縫って包帯を巻かれた
榊原は……切った所を縫って貰い…
利き手が四本も負傷…となった
幸い…血管も神経も…傷付けてなくて…
握ったナイフを抜き取られ無かったのが…幸いした
榊原は今回も…康太を張り付けたまま…オペを受けた
榊原の、胸の中で泣きじゃくる康太の姿が…痛々しかった
「飛鳥井康太!
お前の亭主は強運の持ち主だな!
入院する程の怪我でもねぇからな、帰って良いぞ!
後、お前の友人の緑川一生も、急所は外れていた、毎日消毒に来るなら帰してやる!毎日消毒に来るな?」
康太は涙で潤んだ瞳で久遠を見上げ、うんうん!と頷いた
「ならな、精算して帰って良いぞ!」
久遠に言われ…保険証がないのに気付いた
オペ室から出ると…瑛太と慎一が待っていた
「精算は済ませた。
保険証は慎一が飛鳥井まで行って保管庫から取りに行ってくれましたから、精算は済ませました!
慎一が貴方の命令通りに、3階に社員を集めています」
と、瑛太は言った
何かあったら困るからと、応接間に隠し金庫を設置して、その中に皆の保険証を入れた…
それが役に立ち、慎一が直ぐに動けた
康太は榊原から離れると、慎一を殴った!
「何故連れて来た!
何故一生を連れて来た!」
慎一は、康太に…頭を下げた
「済みませんでした…」
「お詫びとして…
毎日伊織と一生を消毒に連れて行け!
勝手に消えるなよ!
お前の主は死ぬまでオレだ!忘れるな!」
「康太…」
消えてしまいたい…程の後悔に苛まれていた
主を忘れるな!……と、言われたら…消える訳にもいかない…
「毎日、連れて行きます!
嫌がっても毎日連れて行きます!」
「頼むぞ!医者と約束したからな!
暴れたらオレじゃぁどうも出来ねぇしな」
康太はそう言い、慎一の肩を叩いた
「さてと、瑛兄、会社に行くぜ!
こんな愉快な事をする人間がいると、社員に解らせてやる!」
瑛太は血だらけの康太を見て……
「そのままの姿で行きますか?」
と問い質した
「血を流せし人間がいたと公表しないでどうするよ!
記者会見だってこのままでやんぜオレは!
慎一、力哉を動かし…大袈裟に記事を煽れ」
心配で駆け付けた力哉に檄を飛ばす!
力哉は檄を飛ばされ、康太の命令通りの動きをする
瑛太の目の前に…包帯だらけの榊原と一生が姿を現した
瑛太は「大丈夫ですか?」と声をかけた
一生は怒っていた
榊原も怒っていた
榊原は康太の腕を掴むと
「君は…僕をエレベータに閉じ込めて…
死にに行くつもりでしたか!」と怒った
一生も康太の肩を掴むと
「何故!慎一に俺を足留めさせた!
俺は自分の命より!お前を救いたいと言わなかったかよ!
何故!自分の命を囮にする!」
と怒りを露にした
康太は……榊原と一生をちゃんと見て
「オレはお前等を助けたかった…
見えてる果ては変えられないし…言葉にするのも禁じられてるが…
その瞬間に…一生がいなかった事に…オレは安堵した…
あの刃物の刃は…一生の心臓を…一突きに狙っていた…から……だ。
伊織をエレベータに閉じ込めなければ…伊織も……オレを庇って…瀕死の重症を負う…
オレの見てる目の前で…二人を失う…
それは……オレの命を亡くすより…残酷だ…
オレが…伊織を亡くして生きていける筈はねぇ…生きていたくない…」
康太の胸のうちを聞かされれば…怒りなど…消えてなくなる…
誰よりも…怖くて…現実から逃げたかったのは…康太なのだから………
「康太…僕から…君を取り上げないで下さい……」
榊原の腕が康太を包む…
瑛太はそんな二人を見守り…ながらも…
「康太、行きますよ!
社員が待ってます!」
と急かすしかなかった
「伊織と一生は、どうする?」
康太が問い質すと
榊原は「勿論行きます!」と答え
一生も「行かずに済ませるか!」と答えた
瑛太の車の後部座席に康太と榊原を乗せると、一生は助手席に乗り込んだ
慎一は力哉の車に乗り込み、一足早く準備に向かった
榊原は康太の肩を優しく引き寄せ…膝の上に寝かせた
康太は榊原の包帯だらけの手を優しく持つと…すんすん…と鼻を鳴らした
「泣き止みなさい康太!
君の闘いはまだ残ってます!」
康太は榊原を見上げると、怪我してない指が康太の頬を撫でた
「僕の康太は何者にも屈しない!
君の変革を邪魔する奴は排除してあげます!
君が守るべき飛鳥井建設を、潰してなるものですか!」
康太は榊原の膝の上から体を起こした
榊原がいてくれるなら…何としてでも絶えられる
仲間がいてくれるなら…歩いて行ける
瑛太がいてくれるなら…胸を張って…飛鳥井の明日を築かねばならない
康太の瞳は決意を秘めていた
「伊織、オレは誰に恨まれようが、憎まれようが、飛鳥井を守る!
その為なら何でもする!」
「そうです!
君には義兄さんもいる、一生達もいる
そして僕がいます!
この世の中の総てが敵に回ろうとも、僕達は君と共にいます!
だから胸を張りなさい!
君は飛鳥井家の真贋!なんですからね!」
康太は頷いた
変革を止めてはいけない…
今止めれば…空中分解して…跡形もなくなる
遂行してこそ!意味があるし回っていくのだ!
飛鳥井建設の地下駐車場に着くと、康太は車を下りた
車を下りると、慎一が待っていた
「社長も玲香さんも待っておいでです!
そして……どう言う訳か…戸浪海里さんがおみえになっています!」
「若旦那?何故?」
康太が思わず問い質す
慎一がエレベータのドアを開いて待っていた
エレベータに乗り込むと、慎一は3階のボタンを押した
「着きました。降りて下さい!」
慎一は皆が降りるまでドアを持っていた
康太は全社員の前に、鮮血を纏った姿を見せた
次期副社長になる榊原伊織も…スーツを鮮血で染めて右手を包帯で巻いていた
そして緑川一生……は上半身を包帯が、巻かれ…鮮血で染まった上着を肩からかけていた
康太はツカツカと前に出ると、社員を睨み付けた
そして、戸浪海里に頭を下げた
「若旦那、どうして?」
「明日、ランチをどうしても予定に入れて欲しくてね
力哉に電話をいれたら…伴侶殿が緊急搬送されたと、聞いたので寄らせて貰ったよ!
君には今回、本当にトナミ海運は助けられました。
君が動いてくれねばトナミは…致命傷を受けて再起は…不可能になる可能性も在った。
それを救ってくれたのは君です。
すんなり帰れる訳ないでしょ!」
「若旦那、オレは社員に今後の飛鳥井を知らしめる必要が在る!
少し待ってくれねぇか?」
「待ちますよ!どれだけでも待ちます!
飛鳥井建設は真贋の飛鳥井康太の力を知るべきだ!
その存在を受け止め、聞くべきだ!
その力…世界をも変える…なのに彼は飛鳥井の為だけに存在する!
飛鳥井建設の株価が、それ程暴落しなかったのは飛鳥井康太がいるから!
彼をなくせば、飛鳥井建設の明日はない!
それを忘れるな!」
戸浪海里は飛鳥井建設の社員に、その存在を知らしめた
戸浪は、康太に一礼すると、脇の方に立った
康太は社員を見据えると
「飛鳥井建設は生まれ変わると言わなかったか!
飛鳥井建設は今の役職は総て白紙にする!
昇進試験を登用して、社員は昇進試験を受けて、昇進させる
その昇進試験は、能力だけでなく人格も重視する!
人を引っ張って行けぬ人間に役職などヤラセはしねぇ!
使えねぇ奴は会社を辞めろ!
飛鳥井建設は必死で努力を怠らねぇ奴しか要らねぇ!
給料も能力給にする!
点数制にして、上司や役員が抜き打ちで、個人の能力を見る!
努力すれば給料に返る!
努力せぬ者は辞めろ!
これは、今月から実施する!
今月から実施して、新年度には本格的に軌道に乗せる!
飛鳥井建設は使えねぇ奴は要らねぇと言う訳だ!
刺されようとも!
殺されようとも!
オレは屈しない!
オレが死のうとも兄がオレの意志を継ぐ!
飛鳥井建設は受け継がれ生き残る為に改革をする!
会社の為に働かぬ者は去れ!
新年度まで…役職は白紙だ!
昇進試験で、上司だった奴が平にならねぇようにな!以上だ!
不服の在る奴は不服申し立てをやれ!
飛鳥井は屈しない!
裁判だろうが、何だろうが、絶対に負けねぇ!」
康太は社員を睨み付け、話をした
戸浪海里は、康太に拍手を贈った
「素晴らしい!
この先、企業は飛鳥井建設を真似て、改革を進めようとするでしょう!
康太、記者会見を開くのであれば、私も同席します!」
と、戸浪海里は康太を絶賛した
社員は身を正し…康太の言葉を受け止める事にした
「でも!努力する人間は好きだぜ!
何もかも上手くこなせなくても、努力して乗り越えようとする奴は、力を貸してやりたくなる!
そんな人間になれ!
飛鳥井建設の土台は、お前達社員が造る
オレ達、役員はそんな社員の上に成り立つ!
土台が柔だと、上の屋台骨は崩れ落ちるしかねぇ!皆で支えて作れ!
お前達の会社を自分の手で守れ!
オレはどんな妨害にも屈しはしない!」
飛鳥井建設の生まれ変わる礎になれ…
康太はそう願った…
「そんなん当たり前の事じゃねぇかよ!」
と、社員の中から声が上がった
皆…辺りを見渡した
誰が言ったか解らなかった…
「城田琢也、設計部に戻ってからのお前の働きぶりは、オレの耳にも入ってるぞ!」
康太は、一番後ろに隠れて立っている城田琢也に視線を定め…声をかけた
康太は迷う事なく社員の名を上げた
城田琢也は社員を押し分け、前へと出た
そして、康太に深々と頭を下げた
「日本経済が冷え込んで不況な中、実力主義制でない事、事態が恐ろしい!
年功序列と言う過去の遺産は取っ払うべきでしょう!
仕事をせず役職の上に胡座をかくなら、現場に出ろと俺は言いたいです!
飛鳥井の社員なら一度は現場に出ろ!と、俺は言いたい!
貴方に現場に落とされて…現場の人間の職人魂に触れ、考えが変わった
我が社は建築会社です!
現場の人間を知らずに語るのはおかしい!」
康太は拍手を贈った
榊原も瑛太も清隆も玲香も…そして戸浪も惜しみ無く拍手を贈った
「城田、明日の飛鳥井を背負って行け!
昇進試験をぶっちぎりで通って上に立て!」
康太はニカッと笑って…親指を立てた
榊原は、前に出て
「明日から昇進試験を実施します!
今、役職の着いてる方は…代理扱いとなります!
明日の飛鳥井に不要な人間は去りなさい!
飛鳥井は、使える人間を大幅に採用します!
当然今いるポジションと重なる場合、選考して、決めます!
新人が上司になる事も有ります!
此処で腹を据えて努力せねば解雇させます!
以上!解散!仕事をなさい!」
副社長らしく指示を出した!
榊原の号令の元、社員は一斉に動き出した
戸浪海里は…
「戦国の世が…此処に在る…」と呟いた
康太は戸浪を見て
「乱世だ…乱戦の世界に…人は闘ってる
生き残りを懸けて動き出さねば、明日はない
甘い事は言ってらんねぇんだよ」
「康太…お願いがあります」
「トナミも生き残りを懸けて教育を頼みます…なんて言われてもな、24日までは忙しいんだよ!」
「出ていってやる宣言祭でしたっけ?」
「何で知ってんだよ?」
「千里と万里は桜林の中等部の寮に入れました。二人が興奮して言ってました。」
康太は笑って「それが終わるまでは忙しいんだよオレは!」と言った
「ならば、それが終わったらお願いします。」
戸浪はちゃっかり、便乗して言ってきた
康太はそれを聞いてやり、帰る事にした
「康太、君と伴侶殿と、一生にスーツをプレゼントしますよ。
プレゼントさせて下さい」
「若旦那…」
「君の都合の良い時で良いです。
私の行きつけのテーラーに連れて行きます」
「若旦那……力哉に予定を着けさせます」
戸浪は笑って、帰って行った
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