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第65話 宣言祭

オレの前には道はねぇ! オレの後ろの道は… 塗り替えろ! オレ等は伝説になるから… いつの日か…その伝説を越えて行け… 道は…続く 果しなく… 道は続く… 宣言祭、当日 昨日は念入りなリハーサルと、プログラムの調整をして、チョコの確認をした そして、全員、納得の行くものになり… 当日を迎えた 康太は朝礼台の上にいた 不敵に嗤い、全校生徒と中等部の生徒を見据えていた 兵藤も同じだった これが、終われば…一週間足らずで…卒業となる… 今、この瞬間を感じていた 康太と兵藤の後ろには、四悪童と前期生徒会と執行部の役員が顔を揃えていた これが!本当に、最後の勇姿だった 次に見る時は…卒業式だ 康太の髪が…風に靡く 康太は手を差し出すと、清家がマイクを乗せた 康太は全身の力を振り絞って 「皆!元気かぁー!」と声を掛けた 【うおおおおっ!元気だぞー!】と、校庭から声が返る 康太は胸に手をあて…深呼吸をすると 「宣誓!お前達に追い出される前に! 出ていってやる! それを此処に宣言します! 皆!お待たせ!宣言祭を始めるぞ!」 【おおおおおおおぉっ!】 皆、遣る気満々だった 「3年は悔いのない集大成を! 1、2年は…オレ達の姿を…忘れるなぁぁぁ!」 【おおおおおおおぉっ! 忘れるもんかぁ!】 泣いている者もいた 泣かないまでも…胸が痛くて…押さえていた 「中等部の皆!お前らもだぞ!」 【はぁぁぁぁぁぁい!忘れません!!!】 中等部の生徒も…泣いていた 「泣くんじゃねぇ! これから始まるんだぞ!」 康太は兵藤にマイクを渡した 「お前ら!感激するのは!早いんだよ! 始まるぜ! これより宣言祭を開始する! お前等の伝説に、俺等はなってやる! 忘れんじゃねぇぜ!始まるぞ!」 兵藤は榊原にマイクを渡した 「この日を迎えられて…感激です! 僕達は…この日を忘れません!!!!」 榊原は清家にマイクを渡した 「皆!有り難う! そして、君達に出逢えて…本当に良かったです」 清家は…康太や兵藤、榊原達に頭を下げた そして、マイクを康太に渡した 「始めるぞ!開始だ!野郎ども!動けぇ!」 康太の号令で、生徒が動く 現 生徒会と執行部が生徒を誘導する ダンスのトーナメントが火蓋を切って落とされた この日…来賓も多く駆け付けていた その中に飛鳥井瑛太の姿が有った 戸浪海里、榊 清四郎、真矢、笙 神野や小鳥遊の姿もその中に在った 理事長の神楽四季が、折角のイベントだからと… 父兄や参加者を許した所…かなりの人間が…宣言祭を見に…やって来た 瑛太は…朝礼台の上で不敵に嗤う…弟が…誇らしく…愛しかった 戸浪は…あの忙しさの中、こんな行事まで…進めていた…事に…改めて、その実力を見せ付けられた 清四郎、真矢、笙も、息子や…弟、そして、康太の姿が…誇らしく… そして、その道の険しさを…痛感していた 目の前で…康太が、宣誓をする 康太が呼び掛けると、校庭にいる生徒が関して…応える それを煽って…火を着ける… 風に靡く姿は…毅然と胸を張り…誰よりも果敢に…立ち向かっていた その姿を目にして…生徒が泣く… そして、吠える… 今、この時が、一体化して…皆を駆り立てる その姿は…今……この時しか見られない… 生徒達の………宝…だった 瑛太が「同じ時代に生きていたかったな…」 と呟く程に羨ましく…輝いている…瞬間だった 笙は瑛太の呟きに 「本当に……羨ましい…。 同じ時を…生きればこそ…味わえる…空間ですね…。 僕達の時代には…なかった…。 同じ時に生まれた弟が…羨ましいです…」と、涙を流し…見ていた 戸浪も「これが…桜林…ですか。 この時代に…居合わせた生徒は…本当に…幸せだ…。」 と、自分の子供の万里と千里を見守っていた… 泣きじゃくり……康太の姿を追う… 我が子が……羨ましく…刹那かった 清四郎と、真矢は…幸せそうな…それでいて必死に、愛する康太と共に生きている伊織の姿に……涙が溢れた 「あなた…伊織が……輝いています… 康太と出逢って…本当に…あの子は…変わった…。 私は…あの子が…あんな風に変わるなんて…想いもしませんでしたよ…」 「本当に…輝いていますね。 誇らしいですね…。 本当に…。こんな日が迎えられるとは思いませんでしたからね…」 ブレイクダンスやら、ロボットダンスやら 予選を勝ち抜いて来た生徒が、ダンスを披露する 【おら!おら!おら! 気合いを入れねぇかぁ!】 康太が…生徒を煽ると…康太の回りには…生徒が集まり… その塊を連れて…移動する… 飛鳥井康太が動く時、人は…迷う事なく…     その後へと続く 康太はエレキギターを持ってニカッと嗤うと、兵藤も不敵に嗤った 「貴史!遣るか!」 「当たり前じゃねぇかよ!遣るぜ!」 現 生徒会役員にグランドの真ん中に、楽器を用意させた 何が始まるか…見ている生徒の前で…セッティングが始まる キィィィィ~ンと言うエレキギターの音に…生徒は動きを止めた 康太がエレキギターで、兵藤はエレキベース、榊原はトランペット、一生はドラム、聡一郎と、慎一はシンセサイザーを二人で駆使していた、清家は音響に回っていた そして一条隼人が…マイクを持っていた 康太は隼人にマイクを向けてもらうと 「ベスト8からは、オレ等の生演奏だぜ! その前に、ブレイクダンスの決勝の奴、光栄に思え! 一条隼人が歌ってくれる 中々ねぇかんな!聞いてやれ!」 康太がそう言うと、演奏が始まり… 全校生徒は…釘付けになった 奇跡の時代……と、言われた生徒が… そこにいた 今…この時…この時代に… 生きていないと…見れない… 時代が…そこに在った… まさか…康太がエレキギターを弾けるとは思わなかった瑛太は…驚いていた 隼人が…流行りの英語の歌を歌っていた それに合わせて…ダンスが繰り広げられ… 校庭は…物凄い熱気に包まれていた 神野と小鳥遊は…まさか隼人の歌声を… この場で聞こうとは思わなかった 隼人はノリノリでマイクを握り、エレキの康太に抱き着いて…歌を歌っていた 康太の歌も…全校生徒は…聞いたことすらなかった 二人は…カラオケに行くとノリノリで、マイクを離さない…そんな奴だった 隼人の声に…康太の声がハモって… 息が合ったコーラスを入れていた 校庭からは歓声が上がる… 生徒は…密かに…忍び込ませた携帯やカメラで…その勇姿を撮った 瑛太も…持参したビデオで撮影した ちゃっかり、戸浪も清四郎もカメラやビデオを構え、撮影していた 兵藤貴史の……弦捌きは…プロ並みで… 榊原のトランペットも…見世物だった 聡一郎と慎一のシンセサイザーも、一生のドラム捌きも…息が合っていて… 気の知れた仲間でないと…出せない音だった 悠太は…「やはり……康兄は……凄すぎるよ…」と、涙で…康太の姿が…歪んだ 葛西は…何も言えず…康太を見守っていた 午前の部は…終え…午後からは決勝と表彰式と、全校生徒によるフォークダンスだけとなった 「楽器が在るからな、誰か弁当買ってこい!」 康太が言うと、慎一が力哉からお金を貰って 前期生徒会、執行部の役員と、兵藤、清家、康太達、全員の弁当を用意して、持ってきて貰ってる!と、告げた 兵藤は「なら、飲み物は俺が奢る」と、兵藤家の執事に飲み物を持って来させた 慎一に弁当を渡してもらい、兵藤んちの執事にお茶を渡してもらい昼食を取る 食事が終わると、瑛太が康太の側にやって来た すると、校庭からは土煙を上げ…走ってくる人物がいた 「瑛兄、彦ちゃんが来ちまった。」 康太が言うと、グランドに目をやった 「瑛太ぁ!溺愛四男坊の有終の美を見に来たか!」 と、駆け寄る 「春彦、晟雅も田代も来てますよ。」 「アイツ等とは1ヶ月に一度は飲んでるから良い! お前とは康太の高等部の入学式以来じゃねぇかよ」 「だから、飲みに誘ったのに来なかったのは君でしょ?」 「誘われた時は、お前んちの弟の戦略で動いてて…時間が作れなかった!」 「なら、晟雅も田代もいますから、この後どうです? 悪知恵を出し合った仲間が…いるんです! 飲まないでどうします!」 「おっ!良いな!なら、帰りにな! 康太…もう、お前の様な奴は…出ねぇな 留年しろよ…卒業するな…」 佐野春彦は…泣き出して…康太に慰められた 懐かしい学園が…瑛太の目には…全く違うものに…映っていた… 飛鳥井康太… 我が弟が…全く違う学園を作って…いたのだ 午後の部の合図が流れると… 康太達はスタンバイをした 「午後からはベスト3からか。 優勝が決まったら、楽器を片付けて表彰台を出せ! その後、全校生徒によるフォークダンスだ! それが終わると…ファイヤーストームの準備だぜ!気を抜くなよ!」 康太は兵藤に発破をかけた 「誰に言ってるよ! 気を抜く奴なんか、誰もいねぇよ!」 「チョコは表彰式が終わった時に配る手筈だったよな?」 「おう!理事長室に持ち込んであるだろ?」 「後、半分か…早ぇな…」 「楽しい事は…早く終わるんだよ! 精一杯…必死に…楽しんでる…アイツ等も、そんな気持ちだぜ…」 「さてと、やるもんよー! マイク貸せ!」 康太はマイクを貰うと 「始めんぞぉぉぉぉ!楽しんでるかぁ!」 と、声を掛けた 【楽しんでるぞぉぉぉぉぉぉ!!!!】 「高等部3年、全敗かよ! 追い出されてんじゃねぇよ! オレ等はな、追い出される前に出ていってやる!と宣言したんだぞ! 後、3クラス!高等部の威厳に懸けて負けんじゃねぇぞ!」 【おおおおおおおぉっ!        解ってるがな!】 「中等部!お前等すげぇじゃん! その勢いで、高等部に上がって来い! 明日の桜林を作るのはお前等なんだぜ!」 中等部の生徒は…泣いて…声にならなかった 康太はエレキギターで、軽快な音楽を流した 「やんぜ!出てこいよ!」 康太の合図で…ダンスが始まる 中等部が、一クラス、エントリーされていた 高等部は……何とか…威厳を保った だが…この時点で…どのクラスが優勝したって…皆は良かった この場に居られただけで、幸せなんだから… 優勝は、中等部3年のクラスが栄光の座に輝いた 高等部は…1年と2年が健闘し、宣言祭を盛り上げた 康太達は、優勝が決まった瞬間、楽器を片付けた 表彰式には、飛鳥井康太特製メダルを用意した メダルには………康太の親指を立てる…グッジョブが描かれていた 一応…ベスト3まで、メダルをクラス全員用意した 康太が優勝したクラスにかけて行く 兵藤が準優勝したクラスにかけて行く 榊原がベスト3のクラスにかけて行った 表彰台を片付けた後に、全校生徒か手を繋ぎ…輪になった 中等部も高等部も区別なく手を繋ぎ輪になって、グルグルと円を書きながら…… 輪を巻く そして、フォークダンスの曲を数曲かけた 相手は変わらず回り続けるのも結構楽しかった それが終わると閉会式が行われる 朝礼台が出された 康太はその上に上って…生徒を見渡した 兵藤もその横に立ち、生徒を見渡した 榊原も康太の少し後ろに立ち… 一生達はその横に立った 校庭の生徒は…静まり返って…鼻を啜る音が響いた 康太は朝礼台の上に置かれたマイクを拾うと 「宣言祭は、皆の協力があったからこそ大成功に終わった! 本当に……お前等頑張ったな! ありがとう! 本当に…ありがとう!皆! 最高だぜ!お前等! オレは…修学館 桜林学園にいた証を残したかった! 軌跡を遺す…絶対の足跡をベタッ!と着けたかった! 宣言祭を遣ると言ったオレに賛同してくれた、兵藤貴史、榊原伊織、清家静流!緑川一生、四宮聡一郎、一条隼人!緑川慎一! そして、前期生徒会、執行部役員 現、生徒会、執行部 役員、ありがとう! 力を合わせてくれたから、今日と言う日を迎えられた 本当に!ありがとう! オレの前には道はねぇ! オレの後ろに出来る道は、出来る! だけど!そんなのは追い越して行け! オレ等はデケぇ足跡を今日!遺してやる! 愛してるぜ…皆! 本当にありがとうございました」 康太は深々と頭を下げ…榊原にマイクを渡した 榊原はマイクを受け取ると…深々と頭を下げた 「高校生活最後の集大成の宣言祭を無事終えられて…感無量…です。 この桜林に入って…何となく生きてきて、生徒会や執行部の皆と出逢った そして飛鳥井康太と……出逢った… 僕は彼と出逢わなければ…感じる事のなかった日々が愛しい… この場に立っていられる自分が…誇らしく…信じられない… ありがとう…本当に…ありがとう! 僕達は…君達に置き土産が出来れば…良い 僕達の背中なんて!飛び越えていきなさい 僕達の道の後に!君達の道は出来ます 悔いのない日々を送りなさい ありがとう!」 榊原は清家にマイクを渡した 榊原は…泣いていた… その涙を隠す事なく…泣いていた 清家はマイクを貰うと 「僕達の生きた証が…此処に刻まれました 君達の心にも、刻まれた… 僕は生徒会の副会長と言う役職が…こんなに誇らしく…思えた日はありません! 桜林祭すら出来ずに卒業なさった先輩達もいらっしゃったのに… 僕達は…宣言祭まで出来た…。 奇跡の世代と言われる彼等と生きれた事を誇りに思います。 ありがとうございました」 清家は深々と頭を下げ、マイクを兵藤に渡した 兵藤はマイクを掴むと 「飛鳥井康太!!お前と同じ時代に生きられて、俺は…最高に良かったと思う 榊原伊織、清家静流、緑川一生、慎一、四宮聡一郎、一条隼人!前期生徒会、執行部役員、本当にありがとう! 現、生徒会、執行部役員、協力をありがとう 俺は今、この場所に立てて、本当に幸せだと思う! 伝説を作る! 飛鳥井康太は俺にそう言った 俺はそれに乗って…突っ走って来た お前等の心に俺等は刻まれたか? 刻まれたとしたら…大成功だ! 兵藤貴史は!飛鳥井康太が、作り上げた伝説の生徒会長に名を連ねられた! だがな、俺等の作る伝説の向こうに、お前等の伝説は必ずある 俺等の伝説なんて飛び越えて行け! ありがとう! 修学館 桜林学園は、そうして受け継がれて行く。 その道は果しなく…俺等の誇りになり輝き…在り続けてくれると信じて!俺達は明日へと進む!ありがとう!」 兵藤は深々と頭を下げると 康太にマイクを渡した 「オレ等の作る宣言祭は終わる! だが!オレ達の歩みは終わらない! 着いて来いよ!待ってるぜ!」 康太はそう言うと…マイクを朝礼台の上に置いた 兵藤が笑って、康太と拳を合わせた そして…………全員……深々と頭を下げた 朝礼台の上から降りると…兵藤も降りた 榊原や一生達がそれに続き、清家も前期生徒会、執行部役員も、朝礼台から、降りて消えた そして、その場を、現生徒会長に譲り、チョコを取りに行った 康太達はチョコを校庭へと運び込んだ 「高等部、一年A組から並んでチョコを取りに来い!」 と、康太が言うと、クラスごとに並び…康太や兵藤、榊原、清家の手からチョコを渡してもらった 高等部が配り始めると、中等部の方もチョコを配り 一時間ちょっとで、配布は終わった 総て終わる頃には…辺りは暗くなり、桜林名物ファイヤーストームが始まる 康太は「ファイヤーストームの始まりだ!」と、告げた 現、生徒会、執行部役員がファイヤーストームの準備をする 康太はメガホンを片手に 「桜林学園恒例、ファイヤーストーム!行くぜぇ!!」と、叫んだ 康太はファイヤーストームの準備を見守っていると、清四郎達が近寄ってきた 「良い宣言祭でした。 本当に…素晴らしかった。 伊織が羨ましく思いました。」 と、康太と榊原を抱き締めた 真矢も「康太、伊織と出逢ってくれて、本当にありがとう。 貴方がいたから、伊織は今此処に胸を張って立っていられる。」と、康太に感謝の言葉をかけた 笙も「最高の学園生活を送った自慢は有りますが…それでも、羨ましく思いました」と賛辞を送った そして、康太と榊原を抱き締めて…帰って行った 戸浪海里も…康太の側に来て 「素晴らしい宣言祭を拝見出来て…有意義な1日を送れました 貴方が発案者だとか…。 本当に…貴方は…人々の心を掴むのが…上手ですね まるで魔術を見ているようでした… 今日は最高に良かったです」 と賛辞を述べ、康太を抱き締めて 戸浪は万里と千里を連れて帰って行った 飛鳥井瑛太は…隅の方で…悪友と…楽しそうに話をしていた 康太はファイヤーストームの最後に…花火を上げてもらうように業者に頼んでおいた 三発だけ…打ち上げる…花火だ 高校の三年間分を……打ち上げる…花火を頼んでおいた ファイヤーストーム、ラスト10分前になると… ドッカァァァォァン…パチパチパチ… と言う花火が上がった… 全校生徒は、上を見上げた 兵藤は「おめぇだろ?憎い演出すんだよな!おめぇはよぉ!」と康太をうりうりした 「オレ等の高校3年間分の…想いを上げてみた。 三発…しか、上がらねぇぜ!」 康太も…夜空を見上げた 「康太、俺はお前と同じ時代に生きられて、本当に…幸せだ…。 この命が…終わったとしても…俺はおめぇの事は…忘れねぇ…」 「オレも忘れねぇよ。 そして、これこらも生きていこうぜ貴史! 取り敢えず、明日から卒業式の準備に出ろ…と四季に言われて来た所だ」 「えっ…俺等が…準備するのかよ!」 「進行も…決めろってさ! オレ等の卒業式をしても良いって、四季が… でもな、来賓も来るからな破天荒なのはダメだけどさ、感動させてやれ貴史」 兵藤は、康太に抱き着いた… 「おめぇといると…退屈しねぇわ!」 兵藤は、そっと康太にキスして…その場を離れた 一生は……やっぱ…刹那いやんか…とごちた 3年A組の担任の進藤が、康太の側に寄って来た 「私も…後一週間で…此処を去ります。 まさか、最後の最後で…こんな想い出を…作れるなんて想いませんでした」 「進藤、気負う事なく、その道を進め… 迷ったら…オレに会いに来い…殴ってやるからよぉ」 康太が笑って言うと、進藤は 「貴方らしい…。 面接は、私の初仕事です! 頑張らせてもらいます。」 「お前の人を見る目は確かだ。 育てるのも、お前は上手い。 唯、お前の理想と人の理想は違う……… 感性も違う……そこで、お前は…躓く…かもな 押し付けるんだよ…お前は…そこを注意しろ…。」 的確に突かれて進藤は驚いた その言葉を肝に命じた 「……その言葉を私の指針にします!」 進藤は頭を下げて、面接の時に…と、側を離れた 康太の背後に立つ榊原が……康太に腕を回した 「康太…終わりますね…」 「あぁ…オレは何時も…このファイヤーストームの後が…淋しくて…堪らねぇ… 何でなんかなぁ…?」 「楽しかったからでしょ? 楽しいと…終わる時が…淋しくて堪らなくなる…」 「何か……恋みてぇだな」 榊原は笑って、康太を抱く手に力を込めた 一生が呼びに来て、ファイヤーストームの終わりを告げろと、兵藤が言っている…と、言われ、康太は中央へと向かった マイクを持つと康太は 「修学館 桜林学園 ファイヤーストームは、これで終わるぞ! 皆、楽しめたか? 気を付けて帰れよ! 解散!」 と、終わりを告げた そして、堪えきれなくなって…榊原の胸に…顔を埋め…泣いた 兵藤が「泣くな!泣くんじゃねぇよ!」と康太に声を掛けた 「おめぇも泣いてるじゃねぇかよ!」 康太が榊原の胸から顔を上げると…兵藤も泣いていた 「俺は良いんだよ!」兵藤は叫んだ 「なら、オレも良いんだよ!」 康太も叫んだ 隼人が…泣いて康太に抱き着いた 一生も……慎一も聡一郎も泣いていた 慎一は「高校生活なんて…どうでも良いと…思ってました… だけど…こんなにも大切で…楽しくて…悲しい…ものだとは…知りませんでした。 始めて味わう…想い出です」と康太に言葉を送った 清家も泣いていた ずっと泣いていて…目が腫れていた 康太は清家に「鬼なのに泣くな…」慰めた 清家は「鬼はお前の亭主であろうて…」言葉を返す 清家らしかった 現生徒会長、執行部役員が…ファイヤーストームを片付け始めた だが…生徒達は…まだ、誰一人……帰ろうとはしなかった 康太は、グランドに残ってる生徒に… 「また、明日な!」と声を掛けた 「皆、家に帰れ! 役員が帰れねぇだろ! また、明日、来れば…オレ達には逢えるぜ! 後…一週間は、逢えるぜ!また明日な!」 と片手をあげた そして、康太自ら…グランドを後にした 現生徒会長に「後は…頼めるか?」と声をかけると 「貴方が残ってる方が片付きません… 生徒が…貴方と少しでも居たいと…居着きます…。 どうぞ、お帰りください! 本当に…ありがとうございました…」と深々と頭を下げた 康太は「また明日な!」と、横を通り過ぎて…行った 校門の側には瑛太が佐野春彦や神野、田代と立っていた 瑛太は康太を抱き上げると、頬にキスした 「最高の舞台でしたよ。 君の造る世界は暖かく優しい…。」 「瑛兄…ありがとう…オレ…」 康太は瑛太に抱き着いて…泣いた… 「何も言わなくて良いです。 私はこれから、悪友と飲みに出ます。 君も、悪友と食べに行きなさい。」 と、2万円康太に渡した 「伊織、康太を頼みますね」 康太を下ろすと、瑛太は榊原に頼んだ 「解ってます。 義兄さんも楽しんで来て下さいね」 康太は榊原に促され、歩いて行った 瑛太は…その姿が消えても…見詰めていた… そして……神野に「瑛太、行くぞ!」と言われ振り切るように…切り換えた 歩いて…家まで…帰る帰り道 兵藤は、ちゃっかり着いて来た 「康太、飯奢れや! 明日から卒業式の準備に出なきゃいけねぇんだからよぉ!」 「なら、ファミレスまで行くか? 瑛兄にお金貰うの見てたな…」 「バッチしな!」 「なら、ファミレスに行って、カラオケに行くもんよー!夜通しうたうぜぇ!」 「嘘…それは嫌かも…」 兵藤は……それは辞退したかった……が、榊原に掴まれ…ニャッと笑われた 「最後まで付き合いなさい!」 榊原に迫られ、康太には 「貴史、おめぇの家は政治屋で」 と、言われたら…兵藤も応えるしかなかった 「康太、おめぇの家は建築屋で」 兵藤は、笑う 「オレ達は、オギャーと生まれた時から」 「友達で、死ぬまで腐れ縁だ」 と、拳を合わせ、笑った 「と、言う事で、腐れ縁は切れねぇんだぜ! 夜通し騒ごうぜぇ!」 と、康太は楽しそうに笑った ファミレスで、並ぶ大量の料理を見て…… 兵藤は唖然とした 山盛りポテトにウインナー …なんじゃこれは??と、凄い量のサラダ 康太はステーキセットをガツガツ食いまくり 榊原は和風セットを静かに食べた 一生や聡一郎、隼人、慎一も好き勝手なモノを頼み…ポテトを摘まむ 皆の食欲に…兵藤は唖然となった 「すげぇな…おめぇ等の食欲は…」 「食える時に食わねぇとな、オレは今、動いてっから、食いっぱぐれるかんな! 食ったら、カラオケだぜ! おめぇも政治家になるなら、食える時の食事は大切だぜ!」 言ってる事は…解る… 解るのだが…いかんせん…兵藤貴史はお坊っちゃま…なのだから… あっと言う間に、平らげて、満足な康太は 「カラオケに行くぞ!」と乗り気だった 榊原に瑛太から貰ったお金を渡す 渡され榊原は支払いに行った カラオケに行くと、一番デカイ部屋に指名して入ると… 康太はマイクを持って離さなかった… 「アニソン行くぜぇ!!」とノリノリで… 隼人とアニソンを熱唱する… ガンダムとエヴァは一生が乱入して、盛り上がりまくった 兵藤も歌わされ…案外ストレス解消になるやん!と兵藤もノリノリで歌を歌い始めた 慎一が「……増殖したか…。歌なんて歌わなそうなのに…」と兵藤を見て…ごちた その時…康太の携帯がバイブで震えた 榊原はドアの外に出て…電話に出ると瑛太だった 『康太…?何処にいますか?』 「康太はノリノリで歌の最中です…。」 『……世話をかけますね…伊織。 今、何処にいますか?』 榊原は、居場所を告げると、行きます…と言い電話は切れた 部屋に入ると…まだアニソンが続いていた 今度は…慎一が犠牲になっていた 案外…慎一は歌が上手かった 暫くすると、ドアが開けられ…瑛太と神野が…顔を出した 榊原は瑛太の顔を見ると…側に寄った 「義兄さん、飲み会の帰りですか?」 榊原は、瑛太と神野をソファーへと進めた 神野は、康太と隼人の、オンステージと化したカラオケを興味津々で見ていた 神野は「康太って、歌上手いな…」と呟くと 榊原が「カラオケに来ると夜通し…マイクを離しません…。隼人と康太が寄ると…アニソン…ばかりです。あの二人はノリが違うんですよ」と溢した 隼人と康太のハーモニーは、聞いてる方が心地よい… 神野は二人に歌わせて…CDデビューさせたいと…秘かに思っていた 「瑛兄!どうしたんだよ? 飲みに行ったんじゃねぇのかよ?」 康太は瑛太に向かってダイブした 瑛太に抱き着いて甘える姿は…子供みたいで …瑛太は、慌てて康太を抱き止めた 「飲みに行った帰りですよ。 田代と、春彦が予定があるからと帰ってしまいましたからね。 帰ろうとしましたけど、君達が帰ったのか確認しようと電話したら、まだカラオケにいるとの事なので来ました」 「瑛兄も歌え!ほれ!マイクな! 隼人、神野にもマイクを渡せ!」 「康太…歌えませんよ!」と瑛太は断った 「なら、伊織、歌え!」 「嫌です!歌うより、犯す方が好きです!」と返されたら…黙るしかなかった 康太はヤケクソで、流行りの歌を隼人と歌い出した 兵藤も駆り出され、肩を組んで、異常に盛り上がっていた そこに一生も慎一も加わり、榊原と聡一郎は、それを楽しそうに見ていた 瑛太は「カラオケに来る康太は……何時もこうですか?」問い掛けた 「大体そうですよ。 ストレス解消にはカラオケに行きますね」 「伊織は歌わないんですか?」 「僕は歌いません。 康太と二人の時は歌いますが…皆がいるときは遠慮したい… 義兄さんは、歌わないんですか?」 「私も…歌は…良いかな?」 と、瑛太が言ってる側で…神野はノリノリで参加して歌っていた カラオケを、終え…外に出ると… 朝陽が昇って、辺りは明るくなり始めていた

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