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第74話 問題多発②

人は…愛してるからと言って……結ばれる訳ではない…… どんなに愛していたって…振り切って…進む…道もある…… その想いを…胸に突き刺して…人は…歩いて行く… その胸から…血を流そうとも… 人は…そんな想いを…服の下に隠し…生きて行くのだ… 緑川…一生も…こんな想いをして… 愛する人を…手離したのだろう… だから、三木は…一生を気にかけて…声をかけるのだろう… 榊原は、刹那くて…堪らなかった… 飛鳥井の家に帰ると、応接間には神野や小鳥遊、そして笙が酒を飲んでいた そして一生達が…何時ものソファーに座っていた 榊原は「先に着替えてきます!」と告げ、寝室へと向かう 寝室でスーツを脱ぎ…私服に着替えると…康太は榊原を抱き締めた 「オレはお前のモノだ!他は要らねぇ! オレ等は、死しても離れねぇ!そうだろ?」 「そうです…。 絶対に僕は…君を離しません! 死しても…離れる気はありません! 君は、僕のモノです…」 榊原は康太に…息も着かない接吻をした 康太の膝が…ガクッと崩れるまで…その体を…手離さなかった… 応接間に行くと、康太は何時ものソファーに…座れず…榊原の膝の上に…抱き締められていた 絶対に…離す気のない榊原に……一生が…康太を剥がす 「旦那、珈琲を飲め! そして、康太に茶漬けと沢庵を食わせろ! ほれ、離してやれ」 一生が言うと……榊原は、一生……と、情けなく呟き…康太を離した 一生は榊原の横に座ると…榊原を抱き締めた 「どうしたよ?、何があった? そんな顔して…何があった?」 「刹那過ぎて…堪らなくなりました…」 「三木か?」 榊原は頷いた… 「お前は悩まなくて良い…」 一生は、優しく…榊原を抱き締めてやった… その横で…康太はお茶漬けと沢庵をポリポリ食べ、榊原に手を出した 「すみません…携帯忘れました…」 服を脱いで…スマホは机に置いて来てしまった 康太は慎一に手を差し出すと、慎一は康太の掌に携帯を置いた。 すると何処かへ電話をした 「オレ、今から時間あるか? お前の親父が居れば…もっと良いんだがな?」 そして、何やら喋ると、康太は立ち上がり 「裏に行って来る!着いてくるな!」と言い、家を出た 兵藤の家に歩いて行く途中、迎えに来た兵藤と出会した 薄着の康太を見て、兵藤は慌てて自分の着ていたブルゾンを康太に着せた 「あんで、こんな薄着で家を出て来んだよ!」と兵藤は怒っていた 「裏だからな…構わねぇと思ったんだよ!」 「少しは構え!風邪引くだろ…それでなくても、死にかけたんだからよぉ」 「その死にかけを…コキ使うヤツがいてよぉ 呼び出されて…働かされた… オレは隼人の事で動いていたって言うのによぉ! 濱田に付き合わされ…さっきまで出掛けてたんだよ!」 「叔父貴に?あんでだよ!」 「頼み事だ!金を積まれてもな… だから、金は受け取らずに…アドバスをして来た…」 「………あのクソ親父は落選すれば良いんだよ!」 「すると、お前の親父が困るぞ…」 「………嫌になる。」 兵藤は愚痴を言いながら、門を開け家に入る 康太を促すと…応接間へと招き入れた 応接間には美緒と昭一郎が座って康太を待っていた 兵藤のブルゾンを脱ぐと、康太は不敵に嗤った そして、二人の前に座ると足を組んだ 「オレはさっき、濱田に呼ばれた! 三木を使い…呼び出しやがって… 行ったら…頼み事だ…。 濱田は必死だな…泣き付かれて…金を積まれたが…引き受けられねぇ程……情勢は悪化してる…。 美緒、それはお前の亭主も…変わらねぇだろ?」 美緒は…笑って 「変わりはせんな! 向こうも厳しいなら、こっちは前総理なんて肩書きがない分苦戦だわ!」 と溢した 「さっきも濱田に言って来た! 同じ事を、兵藤昭一郎、お前にも言ってやろう! 国民の目線と…お前の見ている目線が違うんだよ! さっき、濱田には、どや街とか、ガード下の屋台に連れて行って、社会の現実を見せてきた! 昭一郎、お前は底辺で這いつくばって生きている人間に目を向けたか? 不本意に…家を無くし…仕事に着けねぇ若者に目を向けたか? 雇用対策なんて…机上の空論を幾ら唱えたって、現実にホームレスになってる若者は救えねぇぜ! サラリーマンの小遣いも、パートの時給も知らねぇのに…空論を唱えても…国民はお前には見向きもしなくなるぞ! お前は、裕福な家庭に産まれて…苦労を知らねぇだろ? だがな、早くに両親を亡くし…落ちてく人間もいるんだよ! 天災が相次ぎ、例年になく死者が出て家をなくしている者が大量に出た今…この先を踏まえて…政策を立てねばな… 現実に目を向けろ! 目を向けて…国民を見ろ! お前は国民の代表として国政に出てるんだろ?ならば、国民を見ろ! 貴史が躍起になってるのを黙って見てるのは忍びねぇ… 口は出さねぇつもりだった… だがな、本人に自覚させねぇとな…次は確実に落ちるぜ!それを忘れるな!」 昭一郎は……言葉もなかった 美緒は…「流石は飛鳥井家真贋…」と康太を睨んだ 康太はその瞳に受けて立ち…美緒を睨み付けた 双方…一歩も引かぬ…姿勢を取った… 「飛鳥井の家、真贋…タダでは助言はせぬよな?」 「当然だ!飛鳥井家真贋は、代価に値する仕事をする為に命を削ってる! その代価が…タダである筈がねぇだろ!」 「ならば!何が望みじゃ!」 「美緒、望みは金でもモノでもねぇよ! オレが此処にいる代価は、貴史から取り立てる! その布石だ!オレはみすみす損はしねぇぜ! 自分に還るのなら…その時は、タダでも動くがな! その証拠に…濱田からは金は受け取ってねぇぜ! オレは、タダでアドバスをしてやったんだ! 払う気なら、当選して、今後の見通しを聞きに来い!と言ってやった! そしたら、その時は代価を受け取ってやるとな!」 康太は美緒から視線を外す事なく…告げた 「どの道、世襲政治家は禁止された今… 地盤の引き継ぎは出来ねぇんだから、親父が当選しようが落選しようが関係ねぇけどな 兵藤の事業も…不景気で、美緒の実家も不景気の煽りを受けてる…。 貴史は…急に上へ行くと言い出した… 留学も断った…これで父親が落選したら… 本気で…大学もヤバい…それは避けてぇんだよ! 美緒が代表をしている企業だけで…親父と息子は支えられねぇだろ? だから来たんだよ!」 美緒は…静かに瞳を閉じた… 「飛鳥井も今…生き残りをかけて、大幅なリストラを敢行した! それでオレの伴侶と一生が刺されたんだからな! それでもな、やらねぇと、3年後の飛鳥井は…ねぇ! 無駄な幹部は…首にして…接待費は…カットした! 昇進試験制度にして、能力に合わない給料は支払わない…! そうして、飛鳥井は生き残りに必死になってる…! 必死にならねぇと、明日は紡げねぇ… と、言う事だ…」 康太は現状の厳しさを口にした… 兵藤が康太に「お前の来た目的を話せ!」と問い掛けた 「言わなかったか? 将来の布石に来たんだよ!」 「康太……」 康太は兵藤は無視して 「美緒!」と名前を呼んだ 美緒は康太から目を離さず「はい!」と答えた 「戦略を練る!その戦略通りに動け!」 「了解した!」 「ならな、オレは今夜は帰る…」 康太が立ち上がると、兵藤も立ち上がろうとした 「良い!外に伴侶が来ている! ならな貴史」 「おう!月曜は卒業式だぞ! 無理するんじゃねぇぞ!」 「解ってんよ!」 「門まで送る…」 兵藤は、玄関を出ようとする…康太を抱き締めた 「…………無理するな…… 俺の為に無理するな!」 兵藤は声を振り絞り…言葉にした… 「ならな!貴史……」 「愛するのは…お前だけだ… これこらも…それは変わらない!」 兵藤は康太の唇に…自分の唇を押し付け…キスした そして、次の瞬間…離れて…見送った 門を開けると…榊原が立っていた 兵藤は、榊原に向かって…深々と頭を下げた 「ならな、月曜に迎えに来る!」 片手をあげて…康太は門から出て行った 門から出ると…ガチャンと鍵が掛かった 門から康太が出ると、榊原は康太の肩にモコモコのブルゾンをかけた 「そんな格好で出ていったら寒いでしょ?」 康太は榊原を見上げて…笑った 「外に出てから後悔した…」 「帰りましょ?飛鳥井に…」 「おう!帰ろ。今夜はもう寝る。 神野との話は…明日だな」 「酔ってますからね、話は出来ないでしょ?」 康太は榊原と手を繋いだ 榊原の暖かい温もりが…伝わってくる… 二人は…飛鳥井の家に帰っていった 寝室に帰ると…服を脱いで…ベッドに入った… 康太は冷えた体を…榊原に暖めて貰いながら…榊原の胸に擦り寄った 「聞いて良いですか?」 と榊原が康太に問い掛けた 「ん?何が聞きてぇ?」 「貴史の家に何をしに行ったか…」 「兵藤の家の経営状態が…悪化してんだよ 美緒の実家の経営状態も思わしくない そんな状態で…父親が落選したら…大学の進学も危うい! もう少し…親父には頑張らせねぇとな!」 「何故…そんなに貴史を?」 「アイツは明日の飛鳥井に組み込まれし存在 建築屋と議員は昔から…切っても切れねぇ存在! 生かしとかねぇとな! 使える駒は…使える状態で置いとかねぇと意味がねぇんだよ」 康太の一番は……飛鳥井にとって、価値があるか…ないかで決まる… 「貴史は…君を愛してますよ?」 「だから?応えてやれと言うのか?」 「なっ!違います!」 康太はむくっと起きて、服を着た 「……もう…良い…」 康太は寝室を出て行く… 榊原は、慌ててバスロープを着て…康太追った 「康太!待って下さい!」 慌てて部屋を出ると…笙が階段を上がって来た! 「喧嘩か?」 笙が…榊原に問い掛ける… 「康太は?見ませんでしたか?」 「階段の途中で一生が捕まえてました…」 榊原は笙の横を通り過ぎると一生を追い掛けた 一生は榊原の顔を見ると 「旦那…着替えて来い! 康太はリビングのソファーに座らせとく」と言葉にした 「ぁ…解りました…」 榊原は、寝室に入り…着替えてリビングにやって来た ソファーに座った康太は榊原の顔を見なかった 一生はミルクを温めて着て…康太の前に置いた。 「何があった?話してみろ?」 康太は……何も言わなかった 榊原がベッドに入ってからの顛末を総て話した… 康太は一生の背中に…抱き着き… 「疲れた…一生…応接間に瑛兄がいる。 連れてってくれ…。 どの道…そのうちオレはドナドナされかねねぇかんな…」 と皮肉り…一生に眠たい事を告げた 「康太!」 榊原は、康太の名を呼んだ! 笙は…弟に座れ…と告げた 「伊織、お前さぁ…康太を愛してるんですよね?」 「はい!」 「……だったら、他の男が…康太を愛してるって告げてどうするつもりなの? 康太を手放す気なの? 貴史が康太を愛してるなら…お前は貴史に貸してやる気なんですか?」 「違います!違います……兄さん…」 「違わないでしょ? 康太は弥勒や紫雲からも愛されてる…。 そして……瑛太さんには溺愛されている なら、貴史だけに貸すんじゃなく、康太を愛する人に全員に貸し出せば良い…」 榊原は、やっと……康太を怒らせた…事に気付いた 「一生…眠い…連れて行け!」 一生は立ち上がった 「旦那…頭を冷やせ…!ならな!」 一生は、康太を連れて行ってしまった… リビングに取り残された榊原は…頭を抱えた 「伊織…康太を連れに行きなさい!」 榊原は、動けずにいた 笙は…情けなく項垂れてる弟の…頭を撫でた 「ベッドに入って…お前の温もりに触れている時に… 他の男が…お前の事を愛してるんですよ……なんて、言われたら…康太は…泣くよな…」 榊原は顔を上げて…笙を見た 「康太は…泣いていたんですか?」 「泣いていた…泣いて…瑛太さんの所へ行くと言っていた…それを一生が捕まえて連れてきた」 榊原は…後悔に…苛まれた 「僕は…貴史の事を駒と言い切った…康太が…悲しかったんです… 康太を愛してるのに……駒と…片付けてしまったら…あまりにも悲しすぎた… でも、康太の気持ちを考えたら…僕は…無神経でしたね…」 「康太は…受け入れられないなら…ケジメを着けて…線引きをする… 康太の弟の…悠太も…康太を愛してるでしょ? お前は…悠太に敵意を持ってる…あからさまですからね! なら、何故兵藤貴史は…愛してるんですよ…と言えて…飛鳥井悠太は否定する? 君のしている事は…差別でしょ?」 「兄さん…」 「やはり…君は…頭を冷やさないと、いけませんね!」 「康太を愛してます! 本当は誰にも触らせたくなんかない! 誰も康太を愛するな…と言うのが本音です…」 「なら、何故…あんな事を言ったのですか?」 「三木の刹那い想いに引き摺られてました 兄さん…康太は…許してくれるでしょうか…」 「許して欲しいなら…謝らないとね… ねっ…一生、君もそう思うでしょ?」 榊原が、ドアの方を見ると…一生が顔を覗かしていた 「康太は…?」榊原が問う 「瑛太さんの膝で…泣きながら…寝てる 瑛太さんが…伊織を見てらっしゃい…と言ったから来た」 「一生…僕は…」 「旦那……三木の想いを知り…三木と貴史を重ねてしまったんだよ! 康太は…お前だけしか要らねぇ… その康太に……死刑宣告…したも同然の事を、お前はしたんだぜ!」 榊原はくしゅん…と肩を落とした 「許してくれなかったら…」 「康太は…死ぬな…。 迷う事なく…自分の息を止めるだろ? 飛鳥井の為に生きるのは…生きてるうちだけの事だ…。 その命の選択は…康太が持ってる…」 「康太をなくす…?」 そんな、事は嫌だ! 康太をなくしたくない! 康太を誰にも渡す気はない! 手放す気もない… 榊原は、足元が…バラバラに崩れる…危うい感覚に…身震いした 榊原は、立ち上がると…部屋を飛び出した そして、一階の応接間へと向かった 一生と笙も、すぐ後を追った 榊原は、応接間のドアを開け…部屋を見た 康太は…瑛太の膝の上で…丸くなっていた 瑛太は…榊原を見ると…厳しい顔をした 「康太が泣いて来ました…喧嘩ですか? 喧嘩ならば良いが…ドナドナは許しません それなら、康太を返してもらいます!」 瑛太は怒りを露にして…言った 榊原は、深々と頭を下げた 「ドナドナなど、絶対にする気はないです! 康太の髪の毛一本たりとも…僕のモノです! 誰にもあげません! あげる気はないです!」 「夫婦喧嘩は犬も食いません… ですが、私は溺愛し弟が泣いて来るのは…堪りません! 口は挟むつもりはないですが…可愛い私の弟です…泣かせないで下さい」 「瑛太さん…すみませんでした…。 僕に…康太を返して下さい! お願いします…」 榊原は、深々と…頭を下げた 瑛太は一言 「嫌です!」と返した 「君なら康太を任せられる…と想いましたが…泣かせるなら…話は別です! そんな康太を泣かす人間に…康太は渡せません! 違いますか?伊織? 死にかけて…動いてる康太に…君は他の男に行けと…言ったも同然なんですよ…? 渡せる筈などないでしょ?」 と瑛太は…榊原を睨んだ 榊原は、瑛太に…土下座をした… 必死に…叫ぶように…謝った 「康太を返して下さい…! 誰にも…渡しはしません! 康太は僕のモノです! 僕だけのモノです! 康太と…離れては生きては行けません! お願いします! 康太を返して下さい!」 その叫びは…悲痛な…魂の叫びだった… 瑛太は…榊原の肩に手をかけた 「伊織、顔を上げなさい!」 瑛太がそう言うと…榊原は、顔を上げた 「本当なら…一発殴りたいのですが、卒業式の前ですからね…止めときます! 私の…溺愛し弟です! 泣かさないで下さい! 解りましたね?」 「はい…すみませんでした…」 榊原の腕に…康太を渡すと…瑛太は笑った 「笙、一生、夫婦喧嘩は犬も食いません! 放っときましょう! それより、さぁ飲みましょう! 一生は食べなさい!」 榊原は、瑛太に頭を下げて…康太を寝室へと連れて行った ベッドに座らせて…康太を抱き締めると… 康太の体が…ピクッと強張った… 涙で濡れた睫毛を…指でなぞると…康太は… 榊原から逃げようと…体をずらした 「康太、怒ってるの?」 康太は首をふった 「違う…」 「僕は…許される?」 康太は……重い口を開き… 「兵藤貴史が…オレを愛してるなんて…知っている! 人になる前から…アイツはオレを愛してる… そんな事は…知ってんだよ!」 叫んだ… 「愛してるから…何なんだ? 認めてやれと言うのか? アイツのモノになってやれねぇのに! アイツの気持ちを解れと言うのか? その方が残酷だろ! それとも…分け与えてやると言うのか? アイツの気持ちを受け入れれば…その均衡は崩れる…。 無にするか…友として…生きるか… 2つに1つしかねぇんだよ! そんな曖昧な…想いなど…貴史も要らねぇんだよ!」 榊原は、康太を抱き締めた… 三木の…事で、刹那くて…引っ張って来てしまった… 「許して…康太…。 君を…誰にも…渡せません! 渡したくない…!僕が…軽率でした…」 「伊織…」 「何ですか…」 「疲れた…寝たい…」 「寝ますか…ごめんね…君を疲れさせてしまいました…」 康太は…瞳を閉じた… 榊原は、服を脱がせ…ベッドに寝かせた… 榊原は…ベッドには入らず…康太を見ていた 「寝ないのか?」 「寝ますよ…」 「なら、入って来い」 康太は布団を捲り…榊原を待った 榊原は、そのその布団には入らず…康太を抱き締めた 「眠りなさい…側にいますから」 「本当に…お前って…オレをバカにしてるよな?」 「え?」 「一緒に寝ようと言ってんだぜ! 服を脱いで入れよ!」 「……康太?解りました…服を脱いで寝ます」 榊原は、服を脱いで…ベッドの中に…入った 素肌に…康太の温もりを感じ……榊原は、自分を押さえた 鉄壁の理性がそこにあった… 「…伊織…」 「何ですか…」 「オレを貴史に渡す気だった?」 康太を抱くてに力が籠った 「そんな気は…全く有りません…」 「オレの事…嫌いになった?」 「なりませんよ! 愛してます…君だけを愛してます…」 刹那く謂う榊原に康太は 「伊織…喧嘩の後は…仲直りだろ?」と謂った 「……康太…」 「仲直りは?伊織…」 榊原は動けずにいた… 愛する康太を泣かせたのだ… 許されるなんて思ってはいない 「………康太…仲直りしてくれるのですか?」 「…喧嘩の後は…愛し合うんじゃねぇのかよ?」 「…え?」 「…もう良い…。」 「拗ねないで…康太…。 君が許してくれるなんて… 信じられないんですよ…」 「何が信じられねぇんだよ?」 「全部……君を泣かせて…しまいましたからね…。 触れるなんて…思いませんでした…」 「オレはお前のモノでいてぇんだ! 死んでも…ずっとずっと…お前だけのモノでいてぇ…。 お前以外は…要らねぇ… 受け入れたくはねぇんだよ!」 そう言い…康太の瞳から…涙が流れた 榊原は、康太の瞼にキスを落とした 「愛してます…君だけを…… 刹那過ぎる想いが残ってしまいましたが… 君を離すのは…嫌です! 絶対に…離したく有りません…!」 「なら……離すな…オレはお前のモノだ… 受け入れられねぇ…想いは…無視するしかねぇんだよ…。 何故なら…お前に決めた…オレは…他の奴は受け入れられねぇんだから…言うな!」 「言いません…君を…ドナドナする気は有りません…愛してます…君だけを…」 深い接吻に舌が口腔を…犯す… 重なる体が…熱を孕み…火を着ける… 榊原の背中に…腕を回すと…熱を持った…性器に触れた… 「伊織…抱いて…お前の体だ…抱いて…」 熱に魘され…康太が哀願する… 榊原は、その体に…愛撫の雨を降らせた 「ん…ああっ…伊織…」 「触って…ねっ…康太のだよ…」 榊原は康太の手を取り…自分の聳え立つ…性器を握らせた… 康太に触れば…火が着く… 止まれない想い… こんなに愛する人は…この世に唯一人しかいない 榊原は、康太の額と自分の額を合わせた… 「ゴメンね…康太…君を泣かせた…」 「仲直り…するんだろ? オレは…お前のなんだろ?」 「仲直りします! 喧嘩の後は…仲直り…ですよね! あんまり、君と…喧嘩しないので…忘れてました…。 僕の…康太…君の総ては…僕のモノです…」 榊原は、康太の乳首を吸った… そして、ヘソを舐め…康太の性器を舐め上げた 「やっ…伊織…あん…イッちゃう…ゃあっ…」 「気持ち良くないですか?」 康太の性器を舐め…亀頭の口に舌を入れ…吸った… そして指は…陰嚢を、揉み…下へと降りて行く 脚を持ち上げ…開いて…穴を見た… ヒクヒク震える…穴にキスして…指を入れた でも…直ぐ様…内腿を吸い上げ……足の指を舐めた 「ダメっ…伊織…汚ない…」 「僕が毎日洗って上げてるでしょ? 汚ない場所なんて…何処にも有りませんよ?」 「あん…やっ…掻き回して…ねっ…」 「まだ…待って…全身に…キスを落として…愛して上げたんです…」 「意地悪しないでぇ…」 「意地悪じゃないでしょ?」 康太は…体を捩って…榊原の性器に手を伸ばし…舐めようとした 愛液を流して濡れているのに…榊原は…乱れない… 榊原は、康太の腕から逃れ…康太に愛撫を施す 「伊織…嫌だ!」 「どうして?良くないですか?」 「欲しい…伊織が欲しい…」 「解さないと…切れますよ?」 「なら触りたい…伊織に触らせて…」 康太の顔の前に…榊原の肉棒を見せると…康太は貪りついた 「康太…イッてしまいます…君の中に…」 耳の穴を舐めながら…榊原が囁く… 康太は…脚を開いて…榊原を、誘った… 「伊織…深く欲しい…向い合わせで座って…突いてぇ…」 「良いですよ…君の好きな体位で…」 榊原は、寝そべり…康太を跨がせた 聳え立つ…性器の上に…康太は…跨がり…榊原の肉棒を…食べ始めた… 「ぅ…康太…狭い…キツいです…緩めて…」 榊原が康太の性器を擦りながら、深い接吻をした 弛緩した…康太の穴に…榊原の肉棒が…飲み込まれ…食べられて行く… 深く1つに繋がって…二人は離れる事なく…求め合った その熱が…冷めるまで…何度も…求め合い…気絶した 気が付くと…まだ康太の中にいた もう何度…犯ったのか、解らなかった… 康太も…まだ中にいる榊原の存在に…気が付き…目を醒ました 「伊織…」 「何ですか?」 しれっと言い…康太にキスをした 「ん…ぁ…あぁっ…まだ中に…あ!太い…ぁん…」 康太は…甘い喘ぎを漏らした… 「喧嘩の後は…仲直りでしょ?」 榊原は腰をグラインドさせ、仲直りの行為だと言う 康太は…鳴かされ…喘ぎ続けて…声が枯れてしまった 熱は…康太の中で…擦られ続け…濁流になって放出された… 榊原の胸の上で…康太は…甘えて擦り寄っていた 「康太…無理させましたか?」 「ん…お尻痛い…かも…」 「喧嘩の後の仲直りは…最高に燃えましたね 嫉妬と言うスパイスより…燃えましたね…」 「ねっ、伊織…」 「何ですか?」 「オレが…駒って言ったら怒ったよな… そんなこと言うオレが…悲しかったのか?」 「そうです…そんな事を言わせる…自分にも腹が立ちました…。 後、三木から刹那過ぎる気持ちを引っ張って来てしまったのも原因です…。 君を誰にも渡さないのにね…貴史の気持ちが…刹那くて…つい言葉に出てしまいました それで、君を泣かしたら…意味がないのにね」 「伊織に…ドナドナされるのかと想った… 瑛兄は、そんな事…絶対にない…って言ったけど…貴史の気持ちを…解ると言う事は… 知らないフリは、出来ねぇと言うことだからな…悲しくて…泣けてきた…」 「ドナドナなんてしませんよ! 君は僕のです」 「ん。愛してる…」 「……少し…寝ますか?」 「ん。でも起きねぇと…神野と話し合いが出来ねぇ…」 「向こうもまだ寝てますよ?」 榊原は、枕元の時計を見ると、午前6時を示していた 「まだ6時です…流石と起きてませんよ? 夜中まで飲んでて早起きは…無理でしょ?」 「そうかな…なら、少し…寝る…」 「少し寝ましょう…このまま寝ると…不快感で…目が醒めますからね…」 榊原は、クスッと笑った 精液がベタベタと体に纏とわり着き…ベッドは精液を染み込み…気持ち悪かった だが…疲労には負けた 意識が遠くなり…康太と榊原は、眠りに落ちた 流石と…精液を纏った体は…不快感を覚え…目が醒めた 榊原は起きていて…康太の顔を見詰めていた 「…寝なかったのか?」 「寝ましたよ…でも、目が醒めて、君の顔を見てました」 康太は嬉しそうに笑った 「伊織…今日は蒼太も来る…問題山積だ… だけど…オレの体が…持たねぇかも知れねぇ…」 「え!大丈夫ですか?」 「卒業式は、必ずやる! 問題も片付ける… でもな…オレの内臓はまだ…粘膜が薄くなってんだよ! それで…医者が無理すれば血を吐くかも…って言ってろ? 少し…無理したみてぇだ…」 榊原も、医者から聞いて知っていた 「僕も…君の体に負担をかけましたからね…」 「エッチじゃねぇよ! 力を使えば…って事だ…。 昨日は…隼人に濱田に、兵藤…と三人の人間を見ちまった…からな…」 あ!……何気無く行動しているが…康太が…動けば…力を使う その力が…間違いなく…康太を苦しめて苛める… 「辛いんですか? 痛ければ…病院に行きますか?」 「今は良い…問題山積だ…残りの…後半が…一気に来るからな…片付けねぇと…寝てらんねぇだろ…」 「康太…血を吐くほど辛かったら言って下さい!」 「だから、今、言っている」 「え…?」 「夜にはオレは…血を吐くらしい… オレは…自分の事は見えねぇ… だが、伊織…おめぇのことなら見える… オレは…血だらけで…お前に抱かれてる…。 だがな…心配すんな…オレは…死なねぇかんな!絶対に死なねぇ!」 「解りました…。 でも、聞いていたとしても…君が血を吐けば…僕は正気ではいられませんよ?」 「解ってる…取り乱して…大袈裟に泣け… そうすれば…少しは…自分で動こうって気になるだろ?」 「無理でしょ? 君がいればこそ…の人間しかいませんからね…」 「…………オレは…お前がいれば良い…」 「僕もです…。君だけがいれば良いです!」 康太は榊原の胸に顔を埋めた

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