7 / 9
第7話
水の音がする。
ピチャピチャと。
ああ、蛇口をちゃんと閉めてなかったのかな。
起きなきゃ…
僕はふと目が覚めて、天井を見上げた。
いつもと違う天井にぼんやりと記憶を蘇らせて。
そういえばコーイチの部屋だったと思った瞬間。
「…?」
自分の手が、自由にならない事に気づいた。
頭の横で縛られているのだ。
思わず起き上がろうとして視線をずらして僕は愕然 とする。
全裸になっている僕の股間辺りにコーイチの頭が見えて、コーイチは僕のソレをしゃぶっていたのだ。
夢現で聞こえた水の音は、蛇口じゃない。
しゃぶられている、この音だ。
「ちょ、コーイチ!!何してんだよ!!」
全裸でいる事、手を縛られている事
そしてコーイチがしゃぶられている事。
信じられなくて僕は叫んだ。
口を離し、コーイチは僕を見る。その目は:恍惚としている。
さっきカラオケ店で見た、あの瞳だ。
「お前まだ残ってたのか」
ニヤリと笑うコーイチ。
「単純だねえ、柏木は。少し優しくされたら身を委 ねるなんて」
「な…!」
コーイチは僕の身体を長い指で触る。
「言ったじゃん。男同士のセックス、気持ちいいらしいよって」
長い指は乳首をさすって僕は思わず声を出す。
「や、やめ…」
「まだ最後までヤッてないよね。自分だけイっちゃって」
もう片方の手で下腹部を撫でる。
そしてまたソコに口を当てる。
「柏木 だって、まんざらじゃない様だし」
下から先端までをペロリと舐める。
「…ッ」
さっきの快楽を思い出して背中がゾクリとした。
僕も望んでいたのかもしれない。
この疼きをどうにかして欲しいと。
コーイチの指が僕の中をかき混ぜる。
グチュグチュという音で更に止まらなくなる。
「やァッ、あっ、あ…」
「そろそろ、入れる、ぞ」
それだけ言うと、コーイチは容赦なく僕の中にそれを入れ、突いてきた。
「んんんっ!あ、はアッ….」
痛みはすぐ快楽となり、指と比較にもならない程だ。
コーイチが動く度に声が止まらない。
「あ、ああッ、あ…!も…ッ」
「やべぇ、ッ、もう出る…!」
大きく突き上げ、コーイチと僕は絶頂を迎えたのだ。
それから。
もう何度イッただろうか。
どれだけ声を荒げただろうか。
「イク…ッ!」
どれだけ、コーイチの声を聞いただろうか。
柔軟剤が香る清潔そうなシーツはもう、ベトベトだ。
僕の手を縛っていた紐はいつの間にか取れていて、コーイチが僕の中で果てる度に、その身体にしがみついていた。
完全に、僕とコーイチは獣になっていた。
欲望のままに出して快楽を求めた。
もうとっくにクスリの効果なんて消えているのに。
ともだちにシェアしよう!